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教育長通信(メッセージ)

更新日:2025年4月16日更新 印刷ページ表示

第1回 伝統か革新か

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 令和7年4月1日付けで、松本市教育長として着任した曽根原好彦と申します。これから、教育長通信に、様々なメッセージを綴ってまいりたいと思います。第1回は、学校改革、授業改善に挑戦しようとする学校への願いについてです。

 ○○ラーメンで有名な観光地へ行きました。「どうせ食べるなら名店で」と思うのは常で、昔はタクシーの運転手に聞いたりしたそうですが、ネット社会の今は、検索すれば様々な情報が得られます。私も様々なサイトで検索したところ、どうも伝統店と革新店があることが分かりました。伝統店は戦後このラーメンが作られ出した時からの味を守っているお店、革新店はその味を今に進化させ、東京ラーメンショーで過去5回売り上げNo.1を誇った店です。どちらを食べるか迷います。しかし、あるサイトに、「伝統店こそが昔ながらの本物の味。戦後、労働者が、ラーメンをご飯のおかずとして好んで食した味」と書かれており、「やはり伝統を食さなければここまで来た意味がない」と考え、伝統店へ向かいました。

 店内に入ると、スーツケースや大きなカバンを持った方など、観光客も多いことが分かりました。いよいよラーメンの登場です。最初に一口、スープを飲みます。衝撃が走ります。味が濃い。一緒に頼んだご飯の上に麺をのせ、まさしくご飯のおかずとして食べられますが、普通に食べるのは躊躇してしまいます。その後、スープはほとんどすすらず、麺と具、ご飯を食して、店を後にしました。

 翌日、革新店に向かいました。中に入ると、家族連れや仕事着の方等、地元と思われる方が多数来店されていました。ラーメン登場、見た目は昨日と変わりません。おそるおそるスープを飲むと、美味しい。ご飯のおかずとしてのラーメンではなく、ラーメンそのものを味わえます。東京ラーメンショー売り上げ1位を五回獲得は伊達ではありません。

 2つの店を食べ比べ、この味の違いは、その時々の社会の有り様を表しているのだなと思いました。戦後、肉体労働で働き詰めた方々が、ご飯のおかずとして塩気を求めて食べた濃い味。その頃、お店にはすごい行列ができたそうです。その伝統の味は、今の私の口には合いませんでした。今の時代のニーズに合わせ、きっと試行錯誤しながら極めた革新店の味の方が、私には美味しく感じました。

 さて、教育も、その時代や社会に合わせて、当然変わるべきものと考えます。平成の一桁代、学校は荒れました。私もクラス替えをしない荒れたクラスを途中から受け持ったことがありますが、「席に着いていられない」「他人を馬鹿にする悪口が横行し、順番に標的が変わるいじめがある」「カラフルで乱れた服装」「整列、挨拶、清掃はしない」など、思いやりも規律もない状況でした。その時は、「団結・協力」を重視し、集団に適応するための学級指導を精一杯行い、所属感や仲間意識を高めることに注力しました。みんなで揃え、心を合わせ、全員で行う行事の達成感を味わう。クラスとして落ち着き、卒業を迎えました。今思えば、荒れる集団をそのようにして統制していたように思います。今はどうでしょうか。荒れるように暴れる子どもはどのくらいいるでしょうか。今は、集団に馴染めない、学校に来られない、自己肯定感をもてない子どもを少なからず生み出している、学校のあり方に目を向ける必要があると考えます。

 信州の教育は、子ども第一主義です。これは昔も、今も、これからも変わりません。これからも変わらないからこそ、今の時代、今の社会状況に合わせて、「変わる」べきことがあるように感じます。伝統の味は素晴らしかったと回顧されるものですが、今の私の口には合いませんでした。今の時代に合う教育の味は何なのか、模索し、「子どもが主人公 学都松本のシンカ」に精一杯注力してまいりたいと思います。

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