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推定信濃国府(第4次) 1985年(昭和60年)
中学生も国府を探す
信濃国府の場所を探る発掘調査は、昭和57年(1982)、58年(1983)、59年(1984)と3回実施されました。
しかし、国府の存在を裏付ける遺構は出土せず、場所の特定ができなかったことは、このシリーズで紹介したとおりです。
昭和60年(1985)、4回目となる発掘調査が2か所で行われました。
ひとつは山辺中学校敷地(里山辺下原遺跡の範囲)、もうひとつは国府の中心に対する「下」の町にあたるのではないかと推定される「下の丁(しものちょう)」と呼ばれる地籍(横田遺跡の範囲)です。
調査の結果、山辺中学校敷地からは、古墳時代末期の住居跡1軒と、7~8世紀のものと考えられる土器が出土しました。
また、下の丁地籍からは、昭和10年代の排水溝跡と、別の場所から流されてきたと思われる平安時代~現代の遺物が出土しました。
いずれも、国府に関わる遺構や遺物ではなく、今回も国府の遺構は発見されませんでした。
一方で、今回の調査には、山辺中学校の生徒たちが授業の一環として参加しました。
郷土の歴史と調査方法を学ぶといった体験は、地域の文化財保護・継承の将来を考えていくうえで貴重な機会だったと言えるでしょう。
カメラでパチリ!
住居跡発掘風景(山辺中学校敷地) 生徒たちが発掘に挑戦!
住居跡遺物出土状況(山辺中学校敷地)
調査地全景(下の丁地籍)
発掘風景(下の丁地籍)
発掘調査報告書
『推定信濃国府 第四次調査報告書』<外部リンク>
松本市文化財調査報告42
松本市教育委員会 1986年
※書名をクリックすると奈良文化財研究所の「全国遺跡報告総覧」にリンクします。
場所を地図で確認
※地図をクリックすると「松本デジタルまっぷ」の「遺跡地図」にリンクします。
Facebook掲載(初出)
2023年7月28日