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市長記者会見資料(令和3年11月16日)[PDFファイル/1.76MB]
記者会見で使われた資料をまとめたものです。
再生時間38分30秒
【資料1 松本圏域と松本市の感染者の推移(7月1日以降)】
【市長】
まず、新型コロナウイルスの感染状況ですが、本日(11月16日)発表分もございません。
これで、10月19日から28日間連続で新規陽性者はゼロという状況が続いております。今年になってからでは、最も長い新規陽性者ゼロの期間ということであります。これはさまざまな要因が絡み合ってということでございますが、一番はワクチン接種の進展であるということは、医療関係者の皆さんと意見交換をした場でも確認をしました。
【資料2 松本市のワクチン接種状況】
松本市において、昨日(11月15日)現在、2回の接種を完了した方は82%を超えました。年代別に見ても、40代以上の方は80%を超え、また20代以上の方でも70%を超えております。全体の予約率は85%を超えており、85%近い方が、1回、2回の接種を済ませていただけるということで、集団免疫の状況を作っていることが、感染者ゼロということに大きく寄与していると考えております。ワクチンの接種は感染を抑え、そして重症化予防、防止には、非常に大きな効果があると言われておりました。そのようなことが全国的にも、松本においても、今の状況を形づくっていると考えております。
【資料3 コロナウイルスワクチン 3回目接種】
3回目の接種につきまして昨日(11月15日)政府の分科会でもご報告がありましたが、今、我々として認識をしている3回目の接種間隔は、2回目の接種完了から原則8カ月という方針があります。その上で地域の感染状況に応じて、6カ月以上の接種間隔でも、接種が可能なように、国としてはワクチンの供給体制を整えていくことが、昨日(11月15日)、あるいは本日(11月16日)も、政府関係者の記者会見等があったようですが、今のところの情報収集では、そうした認識のもとに準備を進めていくことが松本市の方針でございます。対象者につきましては、2回目の接種を完了した方全員を対象とします。ただし年齢については当面18歳以上ということでスタートをいたします。また、交互接種も認めるということで、ファイザー社製、あるいはモデルナ社製のワクチンであれば、1、2回目ファイザーであった方が3回目にモデルナ、あるいは1、2回目モデルナであった方がファイザーという接種でも問題はないということが、今政府からは示されております。
その上に立って、現段階で準備を進めようとしているスケジュールがこちらの表のようになっております。いずれも1回目、2回目を早く受けた方々から順番に行っていくことになります。まず医療従事者の方々は、今年の3月、4月、5月と接種を受けられております。3月から8カ月先ということで、一番早い医療従事者の方は、12月に接種をしていただけるように、今月下旬には接種券を発送し、それぞれ接種をスタートしていただきます。医療従事者の方については、それぞれ3月から5月までの8カ月先ということで、この1月から2月にかけて接種をしていただく予定です。また第3波でも、集団感染につながったことで非常にリスクが高い高齢者施設の方々などに対する巡回接種につきましては、1月半ば頃から接種がスタートできるように、準備を進めようとしており、接種は可能として6カ月以上というタイミングで予定をしています。また高齢者についても、6カ月になりますと、今年の6月から75歳以上の方に接種をしていただきましたので、12月までで6カ月、1月に入ると、6カ月から7カ月に入っていくわけであります。今のところ、1月後半ぐらいから、高齢者の方々にも3回目の接種を受けていただけるよう準備を進めていこうと思っております。
今日も政府関係者の記者会見などで、3回目の接種間隔は原則8カ月で、今後感染状況が今のように落ち着いた状況であるならば、その原則を大きく変える必要はないという見解が示されております。また地域によっては、12月から1月にかけて感染拡大が進むということも見据え、その場合には6カ月以上の間隔で接種を行うことも可能になります。我々としましても、一番早いタイミングを念頭に置いて、医療関係者の皆さんと具体的な調整を進めていきたいと考えております。私からは以上です。
【記者】
市が決めていた第1クールが11月21日で終了という形ですが、市長として第1クールが終わり市のワクチンの接種の状況を振り返ってみてどのような感想をお持ちでしょうか。
【市長】
最初の高齢者の皆さんの予約状況をはじめ、初めてということでの試行錯誤と、紆余曲折は一定程度ありましたが、国のワクチン供給のスケジュールに即した市民の皆さんへの優先順位に従った接種はできたと考えております。そして7月、8月と急拡大した局面もございましたが、もともと想定していた、集団免疫のために必要なだけのワクチン接種を行うという意味では、これは松本市だけでありませんが10月から11月にかけてワクチンの接種率が80%を超えるということで政策目的はほぼ達したのではないかと考えています。
【記者】
今後、第2クール、3回目の接種という形ですが、20万近くの接種が必要になるとすると、アルピコプラザのような集団接種会場を再び設けるような形になるのでしょうか。
【市長】
はい。そのように考えております。先ほども申しあげましたが、今の新規陽性者ゼロという状況、ゼロではなくても抑えられている状況をこれからも継続するために、最も必要で効果的な対策、対応が、ワクチン接種の80%を超えるような、いわば集団免疫を可能にする接種率を継続していくことだと考えております。今までの知見でいきますと、8カ月を経つと接種の効力が弱まる、場合によっては、もう少し前から弱まる可能性もあるということで、8カ月、あるいは例外的に6カ月ということでワクチンの3回目の接種が計画されています。松本市としては最大のコロナ対策として、1、2回目のワクチン接種を受けた方には、できる限り3回目も受けていただけるような接種の体制、呼びかけを行っていきたいと考えています。集団接種のアルピコプラザの会場は、高齢者向けの接種が始まるタイミングを念頭に、ファイザーの集団接種、そして職域接種によってモデルナを使った方でモデルナを接種する会場をそれぞれアルピコプラザに設ける予定です。
【記者】
巡回接種のスケジュールについては6カ月以上の接種間隔に対応した形という理解でよろしいでしょうか。
【市長】
はい。昨日(11月15日)、今日(11月16日)と政府の方から示され、この原則と例外の位置付けについて、報道ベースと、政府が意図しているものが必ずしも一致していないところも政府の発表などを見ているとあります。ですので、私たちとしては基本8カ月が原則だけれども、感染状況や地域の事情に応じて必要であれば、6カ月以上のところでできるというのが今回の政府の方針と理解しています。そうであるのならば、感染状況の推移も少し見極める必要がありますが、医療機関の皆さんと調整をして可能であれば、そしてワクチンの供給も政府から行われるのであれば、巡回接種は優先度の高い接種と考えますので、必ずしも8カ月を待たず、6カ月を超えて年明け以降の1月のタイミングで行うことを念頭に準備を進めたいということであります。
【記者】
先日市内のバス路線の公設民営化に関する中間報告があり、全体の路線を一括して民間に委託するという方針が示されたと思いますが、改めてそういった方針のメリットをお聞きしたいのと、今後のスケジュールについてお伺いしたいです。
【市長】
先週の中間報告を受け、その後にブリーフィングを行わせていただきましたが、改めて資料を配らせていただきます。路線バスの公設民営化という大きな方針を市長就任前から掲げさせていただいて、具現化を図るプロセスとして経営共創基盤という業務委託先に、具体的な制度設計の検討を依頼して今作業を進めているところです。公設民営化という考えの根本は、松本だけではありませんが、地域の公共交通の核となる路線バスについて、民間だけで事業を継続することが非常に困難な状況を担っている、そしてこれから高齢化や、脱炭素といった社会の在り方を見据えたときに、この路線バスの在り方をいわばリデザインするということが、松本市の政策の中でも非常に重要な課題であるという認識のもとに進めている事業であります。
【資料4 まつもと公設民営バスの制度設計】
こちらの表は、いずれも民間だけでといいながらも、何らかの形で自治体が公共ネットワークの形成に関与をしていることがございます。上から欠損補助、要は、赤字が出たらそこに赤字を補填するという方法、これは現行の松本市で行っている方法でありますが、それ以外に、行政と民間が共同出資をして行うという第三セクターも昭和から平成にかけては行われておりました。そうした中で中間的な領域として、この2つ、色のついている部分が、私としては大きく捉えて公設民営と申しあげてきたところであります。自治体が、責任分野を明確にして路線バスの運行、運営に関わり、そして役割分担のもとに、事業者とバスの運行を継続していくということであります。そうした中で、公有民営と示させていただいた部分と、運行委託と示させていただいた両者の違いは、自治体がバス車両をはじめとした、いわばインフラを自ら購入して保有をするか、そこまではしないでそうした購入、保有は、運行とまとめて民間に委託するかという部分です。運行委託側では、車両購入費や減価償却費、あるいは修繕費といったものは、基本的には事業者の負担になり、そして事業者に購入、保有と運行をまとめて担ってもらうというものです。
今回の中間報告では、運行委託の在り方の方が車両投資額や整備費の最適化、さらには、運行を効率的に進めることにつながるというのが、中間報告の提案であります。
【資料5 「公民連携エリア委託方式」(中間報告)】
それに基づいて運行委託に当たるものをより具体化して今回提案を受けましたのが、名前をあえてつければ、「公民連携エリア委託方式」という形式であります。民間に運行を委託するにあたって、ある路線だけ、あるエリアだけを委託するのではなくて、松本市については、松本市が関わるバス路線は全て一括して事業者に委託をするというものです。エリア委託方式という部分であります。それを行うにあたり、契約年度は一番短ければ、1年単年度という考え方もございますが、車両等の設備投資や、運転手の採用計画を、委託先の事業者に立ててもらって効率的な運営に当たってもらうには、5年程度という契約期間が妥当だろうという内容であります。車両の保有は先ほど申しあげたような運行委託という累計に即して事業者が保有します。その上で、自治体と事業者がどのような収入、あるいはリスクの負担をそれぞれがするかという部分につきましては、運行経費と運送収入の想定をもとにして、5年間の契約で、負担金を自治体から事業者に委託するにあたり支払う金額を設定します。その上で事業者の営業努力、経営努力で、利潤が生まれた場合には、その利潤を一定程度、事業者が手にするということを認める契約内容になります。
改めてそれぞれの役割分担を整理すれば、事業者は、運行の業務やダイヤの編成、あるいは運転や車両操作の設定、そして車両の到達修繕管理などを担うことになります。実際は、最も大元になる運行の条件や水準、つまり運行ルートをどうするか、出発と終点をどこに位置づけるか、また大きな意味でのサービスや、運賃の水準をどう設定するか、最終的には事業者と合意をすることでありますが、負担金の拠出や算出方法をどうするかということを、自治体は担うという、これが今回松本の公設民営バスの制度設計の大きな根幹部分として中間報告で示されたものでございます。
これをもとに、本年度中には最終報告を取りまとめる予定にしております。その取りまとめに向け、運行事業者、具体的にこのエリアにおいては、アルピコ交通や、松本市内のバス路線に関係する地元住民の皆さんから意見聴取を行いながら、国交省をはじめ、関係機関とも調整を進め協議を行ってまいります。地元住民の皆さまへの説明と、意見聴取とにおきましては、今月から来年の2月までを目途に、松本市内の河西部や南部というブロックごとを一つの単位として、説明会を実施していきたいと考えております。また、とりわけ、具体的なバス路線の沿線にあたる町会の皆さんに対しては、より丁寧、具体的な説明、意見聴取も別途行っていく必要があるのではないかと考えております。
そうしたプロセスを通じて今年度中に最終報告を取りまとめた上で、来年度、令和4年度から、新たな運行制度に移行するためには、法定の手続きなどが必要になりますので、さまざまな調整協議を進め、再来年、令和5年の4月から、新たなスキームでの運行の改修を目指しているというのが、現在中間報告を受けた段階でのスケジュールになります。以上、路線バスの公設民営化に向けた中間報告の内容と今後の対応でございます。
【記者】
自治体と事業者の役割を明確に分けることで、結果として今より負担が減る方向になるということですか。
【市長】
必要な経費、これは利便性とセットで論じられなければいけないというのがまず大前提にございます。経費をとにかく抑えていくことで、利便性もそれに応じてどんどん下がっていき、これまでのバス路線地域公共交通は、採算が合わないところはバス事業者が手放していく、そして手放されたところは、欠損を補填的な対応で個別に自治体が公費を投入するという、いわば場当たり的な対応が続いてきたという認識であります。その結果として起きていることは、バスの利便性が下がり、決してそれによって、公費投入額も抑えられるわけでもないという状況が続いてきたと思います。そして、事業者が抱えている路線についても、必ずしも事業者が積極的に、バス経営、運営を行っていく方向にも向いていないという、いわば悪循環にあったというのが路線バスに対する私の認識であります。ですので、運行委託、あるいは公民連携エリア委託方式ということで、まずは松本のバス路線は、タコ足的であるとかあるいはぶつ切り的になっているのではなくて、中心市街地のバス路線も、郊外に向けた主要幹線も、さらには、人口減少地域のバス路線もすべてつながっていて、そしてそのつなぎ目ができるだけ小さくなって利便性が上がり、その利便性が上がることで、必ずしも単独の路線で黒字が出ないことを、トータルとしてはこの範囲の負担金で収められるということにして、事業者も利潤を出せば、負担金とは別に自らのところに入ってくるというインセンティブを設けるようなことで、いわばこの公共交通の負のスパイラルを何とかまずは止め、そしてそれがプラスの方向にいくようにする方式が、今回のご説明、あるいはエリア委託方式だと考えています。ですので、ご質問の、今トータルとして負担している金額よりも、直ちに低い金額になるのかどうかということは現段階では、はっきり申しあげられません。不透明であります。今後事業者と大きな方向性が一致した上で、事業者は最終的にはプロポーザル方式で、この提案の申請、応募を受けることになると思いますが、その上で、負担金の設定や、利潤が出た場合のインセンティブとなる利潤のそれぞれの取得割合の契約内容を詳しく詰めていき、トータルとして、双方にとってウィンウィンになるようなものを目指していくということです。
【記者】
お話を伺っていると、今の路線を大幅に組み替えるような地域もあるというお考えでしょうか。
【市長】
大幅かどうかは分かりませんが、今の路線をそのまま維持することは必ずしも効率的でないと考えられるところはあると思います。そうなったときに、不便さが非常に大きくなる住民の方が出ないようなルート設定が必要だと思います。それといわゆるバス路線だけではカバーできないラストワンマイルという言葉が最近ございますが、バス路線からさらに細かく、当然ですが高齢者の方を中心に、移動が必要な状況をどうカバーするかというのも大きな課題であります。ラストワンマイルの少人数の輸送を、いわゆるデマンド運行というものを導入し、そして新たに交通結節点していくポイントとどうつなげていくかということが、総合的に松本の市民の皆さんの足を確保し、そして負担はできるだけ抑えていくということには不可欠だと思っております。
【記者】
最終的に事業者はプロポーザルで提案をしてもらうということで、アルピコ交通が運営しているところも、他の事業者になる可能性もあるのでしょうか。
【市長】
先ほどから申しあげているエリア全体を一括して、引き受けていただく事業者を求めていきます。ですので、松本市のエリアが分割されるようなことではありません。それが、アルピコ交通になるのか、そうではない事業者も、うちがやると手を挙げてくるのかということは、今の段階ではその可能性もゼロではないということを申しあげております。一方で現実問題としては、これまでアルピコ交通が松本市内のバス事業を担い、そして現在も、あるいはこれからも意見聴取を、さらにこの制度設計をするにあたっては、どういう制度設計がいいかということを詰めていくことになりますので、松本市としても、アルピコ交通側としても、お互いに新たな公設民営バスの制度設計を、今ともに作り上げようとしているということも、一方で事実であります。その上で、方法としては最終的にはプロポーザル方式をとって決めることが原則的に必要だろうと申しあげております。
【秘書広報室】
以上で市長定例会見を終わります。