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松本に居を構え、もう一度故郷を見つめ直そう。そう決意してから4年。市民の皆様の負託を得て、戦後10人目の市長に就任することになりました。
子どもの頃から、政治が好きでした。田中角栄と福田赳夫を比較して、どちらが総理大臣にふさわしいのだろうと、新聞の政治面を読みふけっていたことを思い出します。
政治とは何か。共同体に属する人々が「より善い」社会を目指し、森羅万象について議論→調整→決定すること。私はそう考えます。
大学を卒業してNHKの記者になり、新潟局から東京・政治部に配属されたのが、1993年でした。細川総理大臣がさっそうと官邸に入っていく姿を、すぐ近くで見送ったことが、政治記者のスタートです。
右肩上がりの時代が終わりに近づき、国政の中枢を担う政治家は、連立政権の枠組みを変えながら、次の時代の進路を模索していました。しかし、改革を唱えては挫折することを繰り返し、気がつけば、急速なスピードで坂道を下らざるを得ないところに立ち至ろうとしています。
松本は、自然環境、観光資源、医療機関に恵まれ、人口減少時代に直面する地方都市の中で特筆すべき大きなポテンシャル=潜在力・可能性を持っていると考えます。菅谷市政が掲げた「健康寿命延伸都市」と相まって、そうした認識が内外に広がった今こそ、松本のポテンシャルを最大限に開花させるときです。
そのために、継承すべきは継承し、変革すべきは大胆に変革する。市長の座を引き継ぐにあたっての私の基本的な姿勢です。そして、自ら積極的に動く市長、陣頭に立って働く市長を目指します。
新型コロナウイルスの感染拡大が、市民の暮らしや地域の経済に深刻な影響を及ぼす中で、松本市は新たなスタートを切ります。まずは感染症のリスクに向き合い、心を一つにして苦境を乗り越えていきましょう。
誰も置き去りにしない、どの地域も取り残さない、誰もが豊かな松本を創るため、静から動へ、松本を前に進めます。
松本市長 臥雲 義尚