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市長記者会見 令和4年(2022)2月15日

更新日:2022年2月15日更新 印刷ページ表示

市長記者会見資料(令和4年2月15日)[PDFファイル/1.52MB]

記者会見で使われた資料をまとめたものです。

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新規陽性者数画像

【資料2 新型コロナウイルス感染症の陽性者発生状況等について】 [PDFファイル/417KB]

【市長】
今日は新型コロナウイルスの感染状況と、令和4年度予算についてご報告をさせていただきます。

 まず、新型コロナウイルスの感染状況です。本日(2月15日)、松本市で確認された新規陽性者は101人です。新たに判明した集団感染事例はありません。また、これまでに判明している集団感染事例の追加の情報提供もありません。101人の年代は、10歳未満から90歳以上、すべての年代にわたっています。内訳は、同居外の感染が16人、同居での接触によるものが68人、県外滞在歴のある方が1人、現時点では感染経路不明の方が16人となっています。重症度は、軽症が96人、無症状者が5人です。
 グラフのように、まだ新規陽性者の数は高い状況が続いていますが、直近1週間の新規陽性者は662人で、その前の週が743人でしたので、前の週に比べると89%という数字になっています。

感染状況の画像
【資料2 新型コロナ“第6波”の感染状況【年代別】】

年代別で見ると、まん延防止等重点措置期間に入ってから、60代以上の新規陽性者の占める割合は、13%という状況です。先週と割合は変わっていませんが、1割以上の方は、重症化リスクのある60代以上の方という状況です。

予約状況の画像
【資料3 新型コロナワクチン 3回目接種 接種の予約状況】

 ワクチン3回目接種が松本市でも始まっていますが、その予約状況をまとめた表です。ファイザーが上半分、下側がモデルナですが、真ん中から左側、2月7日から13日、そして2月14日から20日は、ファイザーはほぼ100%に近く、モデルナも95%以上の予約率となっています。来週、再来週ということになると、ファイザーについてはほぼ予約が埋まっていますが、モデルナは、来週が60%台、再来週も50%程度で、こうした数字を見ると、希望される方は、まずできればファイザーでという気持ちで予約をされ、そこで埋まっている状況を確認された方は、モデルナの予約をしていただいているということだと思います。
 改めて、重症化リスクの高い高齢者の皆さんには、そのとき接種できるワクチンで、速やかな接種を積極的に行っていただきたいと思います。ファイザー、モデルナは、効果、副作用ともに、これまでの事例や専門家の指摘でほぼ差はないということが報告されています。ぜひ、ファイザー、モデルナともに、そのとき接種できるワクチンで速やかな3回目接種を行っていただいて、たとえ感染をしても重症化しない、そうした予防を取っていただきたいと思っています。

接種券発送
【資料4 新型コロナワクチン 3回目接種 接種券の発送を前倒し】

 その上で、より3回目接種を促進していくことを現実に即して行うために、接種券の発送を前倒しさせていただきます。まだ接種券を送っていない方もいらっしゃるわけですが、すべての高齢者に対する接種券の発送は、今週の(2月)18日には完了します。これにより、先ほど見ていただいたように、モデルナは今週から来週、まだ予約枠に余裕がありますので、すべての高齢者の皆さんに、速やかに予約をし、接種を行っていただくことにつなげていきたいと思っています。
 また、すべての高齢者の接種券発送完了後、速やかに、その次の重症化リスクの高い方々ということで、基礎疾患をお持ちの64歳以下の方に対しても、来週の(2月)22日から、接種券の発送を順次行います。こちらも高齢者の皆さんと並行する形で、接種券をお受け取りになった、基礎疾患のある64歳以下の方は、予約をその時できる接種、予約をしていただけるようにお願いしたいと思っています。
 さらに、先週ご紹介しました、接種券なしでも、モデルナであれば予約をして接種していただけるという方法をとっていますが、その状況を報告させていただきます。
 二つの方法で、接種券なしで64歳以下の基礎疾患のある方は予約していただけますが、キャンセル待ちは、昨日(2月14日)今日と、それぞれ15人、今日は63人の方に接種をしていただけます。現在のところ、全部で170人の方にキャンセル待ちの登録をしていただいていますが、明日以降も、1回目2回目で15人、63人と、一定の数のキャンセルが出ていますので、登録をしていただいた方には順次接種をしていただきたいと思いますし、キャンセル待ちにまだ登録をしていなくて、できれば早く打ちたいという対象の方は、ぜひご利用いただきたいと思います。
 また、モデルナで空いている枠の接種券なし予約も先週ご紹介させていただきましたが、まずその第1回が明日16日で、この16日の枠は5枠で、すでに満杯ということです。
 接種券の発送の前倒し、また接種券なしでの予約の受け付け、さまざまな形で、重症化リスクの高い高齢者の方や基礎疾患をお持ちの方に、できるだけ速やかな接種をしていただけるよう、きめ細かな対応を続けたいと考えています。
 まずここまで、コロナ、ワクチンについてのご報告をさせていただきましたので、質問を受けます。

【記者】
 まん延防止等重点措置が出されて、今月の20日に一応終わるという予定ですが、先週の火曜日の陽性者は66人で、今日は101人ということで、前週と比べて減っていない状況を見て、市長として、個人的で結構ですが、まん延防止等重点措置、もしくは緊急事態宣言等、今後、感染を抑えるための施策はどのようなものが必要と思われますか。

【市長】
 まず、同じ曜日で、先ほどの比較で減っていないとご指摘でしたが1週間単位で見れば、休日も1日ありましたが、先ほど申しましたように、1割減という状況にもなっています。まだ高止まりの状況ではありますが、ようやくこのピークが見えてきた、あるいはピークを超えつつあるのかなと認識をしています。今日現在の小中学校の休校状況を見ても、全校休校が1校、学級閉鎖が3校で、まだ予断は許しませんが、どんどん上昇が続いていくという局面からは変わりつつあるのかなと認識しています。
 そうした中で、先ほど紹介したように、今、最も留意すべき点は、年代別で見たときの、60才以上の方々の割合もそうですし、絶対数も一定程度占めているという状況だと思います。重症化リスクの高い方が感染されますと、相対的に弱毒化していると言われているオミクロン株であっても、入院する、あるいは重症化するというケースがあり、お一人お一人もそうですし、社会全体としても、重症化リスクの高い方々、高齢者、基礎疾患のある方々にどう感染を抑制し、仮に入院をせざるを得ない状況になっても、入院する状況がスムーズにいくようにということが一番、われわれが今の局面で取り組まなければいけないことだと思っています。
 日々の感染予防措置の徹底、そして、先ほどもご紹介した3回目接種、高齢者、基礎疾患のある方々に対しては、2月中から3月前半にかけて、できるだけ大勢の方々に接種をしていただいて、仮にかかっても、重症化しない、できるだけかからないような効果も、ワクチン接種を通じて得ていくということに、医療機関と協力して取り組みたいと思っています。
 また、まん延防止等重点措置には22日が一つの期限です。まだ今の感染状況では、そこでこの措置を終了するめどが立っている状況ではないと認識しています。沖縄の措置の終了が決まりました。一方で、期間の延長を取っている都道府県もあります。まだあと1週間あり、今週中には、県全体の感染状況を見て、阿部知事が判断をされると思われますので、それを見守っていきたいと思っています。

 他にいかがでしょうか。コロナ関連がよければ、予算のお話に移らせていただきます。

当初予算の画像
【資料5 令和4年度当初予算 「三ガク都のシンカ」本格始動】

 令和4年度の当初予算です。
 令和4年度は、新たな総合計画を本格的にスタートする節目の年です。世界的には、デジタル、あるいはゼロカーボンという新しい基準によって、新たな産業革命が起きつつあるという、非常に激動の局面であると認識しています。私たちも日々コロナと向き合い、ライフスタイルや社会インフラ、一極集中の都市構造の変化や変革も進んでいる状況です。
 こうした状況を踏まえて、松本市が編成する令和4年度予算、これは総合計画にもうたっている、「三ガク都のシンカ」を本格始動させる。そして、そのことによって基本構想でも掲げている、市民一人ひとりが豊かさと幸せを実感できる、松本をそういうまちにしていくスタートの予算だと認識をしています。
 一般会計の総額は、1,035億4,000万円ということで、昨年、前年度過去最高の1,000億円を超えたわけですが、そこからさらに、率にして2.4%増の予算となっています。これは、私としては、未来志向、子どもや孫の世代、あるいは10年20年30年先を見据えた社会づくりを積極的に進めていく予算だと認識しています。

当初予算の画像2
【資料6 令和4年度当初予算 五つの重点戦略】

 予算編成にあたり、五つの重点戦略ということで、DX、ゼロカーボン、ポストコロナ、新交通、人口定常化という重点を掲げて編成に取り組みました。このうち、五つの重点戦略に配分した予算の合計は47億円あまりに上っています。この五つの戦略で、予算項目について新規事業を中心にいくつか説明させていただきます。

DX戦略の画像
【資料7 令和4年度当初予算 DX戦略】

 DX戦略は、一つは、市役所の庁内のまだまだ十分でないインターネット環境、WiFi整備を令和4年度で完備したいということで、庁内どこからでもWeb会議ができる、あるいはチャットツールが利用できる、YouTubeが閲覧できる環境を整えて、市民サービスの向上、充実につながる職員の仕事の環境を整えたいと考えています。
 また、市民の皆さん、とりわけお年寄りの皆さんの中に、まだまだデジタルの最も利用する端末であるスマホの使い方、購入はしているけれど十分使えないという方々が大勢いらっしゃいます。そういう方々に向けての講習会を、公民館、福祉ひろばなどを通じて24回開催したいと考えています。また、そうしたお年寄りの皆さんに使い方を支援できる、サポートできる人材も地域の中に生み出していきたいと考えており、より専門的な講習を受けていただける講習会も、年に6回程度を開催したいと考えています。
 また、小中学校のICT環境は、GIGAスクール構想によって1人1台端末の配備はしているわけですが、より実践的に学校現場で教育環境の充実ということにつなげていくための電子黒板やプロジェクター、プログラミング教材、スピーカーやタブレットスタンドといった必要な機器を松本市の負担で整備したいと思っています。総額8億円あまりを充当しています。
 また、稼ぐ力の底上げもDXによって図っていくということで、農業の分野においてのICT技術の活用ということで、省力化、あるいは高品質な農作物の生産のために、ロボット、トラクター、ドローンなど機械施設を導入する費用について、上限200万円、2分の1での補助をする枠組みも設けたいと思っています。

ゼロカーボン戦略の画像
【資料8 令和4年度当初予算 ゼロカーボン戦略】

二つ目のゼロカーボン戦略です。ゼロカーボンは、新たな国家戦略と位置付けられていますし、これから遠くない将来に世界の動力元の主体は再生可能エネルギーになるという局面を迎えていますので、松本市としても、ゼロカーボンシティ、2050年を目指して、自然環境を最大限に生かした取り組みを進めたいと思っています。
 まず、現実に再生可能エネルギーの事業を中心的に担う会社の設立が必要になってきますので、その検討に向けて専門のコンサルに支援業務を委託し、令和4年度は会社設立に向けた準備作業を加速したいと考えています。
また、ゼロカーボンを稼ぐ力、産業に連動させていくことが必要です。そのために、脱炭素に関連する分野、取り組みを松本市としても支援をしていく。とりわけ大規模な投資をする事業者には支援をしていくということで、投資額3億円以上の事業に対し、上限3,000万円、3%の補助をする枠組みを作ります。
 また、まちづくりとゼロカーボンを相乗効果で進めていくことがゼロカーボンの実現のためには不可欠だと考えます。乗鞍地域については、乗鞍が大半を占める中部山岳国立公園がゼロカーボンパーク第1号に選定され、地元でゼロカーボンを前提とした地域構想が進んでいます。乗鞍高原では、老朽化している乗鞍観光センターの再整備を柱として、このエリアのゼロカーボンセンター、交通ターミナル機能というものもあわせ持ったものを想定していますが、そうした取り組みの計画を作る支援業務の委託を今回の予算でして、令和4年度中に大きな方向性をまとめたいと考えています。
 もう一つは、これは新規事業ではありませんが、森林再生、森林活用については、CO2吸収源としての森林の重要性を、これまで以上に、松本市としても認識をして取り組みを行いたいと思っています。松枯れ対策ということで進めていた薬剤の空中散布を凍結中止し、暫定的に樹幹注入を今年度まで行いましたが、専門者会議の提言を受け、今後、取り組むべき重点を、被害先端地の伐倒くん蒸や、残されたビニールシートの改修のための調査、さらには、今後被害林を防災林として整備をしていくための測量といった事業に方針転換し、森林再生活用にも取り組みたいと考えています。

ポストコロナ戦略の画像
【資料9 令和4年度当初予算 ポストコロナ戦略】

 三つ目の、新たな日常の確立と地域活性の取り組みとしてのポストコロナ戦略です。
 松本城三の丸エリア、今、査定を進めている三の丸エリアビジョンを策定の後に、具現化する組織の運営にあたる、あるいは運営を支援していただく委託費を計上しています。エリアビジョン策定後には、重点エリアで個別計画を作り、地元の皆さんの取り組みを官民一体で進めていただいていけるようなスタートと位置付けている予算です。
 次に、アルプス公園のキャンプ場整備事業費です。昨年度予算計上し、議会によって留保され、議会の皆さんや市民の皆さんの意見や指摘を踏まえ、再提出をさせていただく予算です。園路や広場、そして防護柵を設置するとともに、管理棟、トイレ炊事場等の整備を行おうというものです。
 また、アルプス公園については、キャンプ場整備とともに、小鳥と小動物の森の改修事業も本格化していますが、今年度1億5,000万円程度の新たな予算計上をしています。まきば山荘跡地については、キャンプ場とあわせて、展望広場の改修を進めていきたいと考えていまして、そのための耐震診断、耐震設計の予算、さらに、北側の拡張部の自然活用を検討する委員会を設置する予算も合わせて計上しています。
 また、老朽化が進んでいる中央図書館について、今の中央図書館の大規模改修にとどまらず、次の時代に引き継げるような図書館のあり方を、これまで市民の皆さん、専門家の皆さんの会議を通じて検討していただいています。今、松本市図書館未来プランというものの策定作業を進めていますが、この策定と長寿命化する必要がありますので、まずは今の建物の劣化度調査の予算を計上し、さらに広い視野を持って図書館の未来のあり方を検討していくスタートにしたいと考えています。
 もう一つは、ライフスタイルの転換や、移住の動きを見据えたときに、これから農業の可能性、農業従事者の裾野を広げていくことが、松本市としても非常に重要だと認識をしています。すでに新規及び移住の就農者の皆さんに対して、農業研修を行っていただく場合は、営農生活資金として月7万円支給する制度がありますが、これを拡充して、1年目は金額を月10万円に、また2、3年目も、8万5,000円に底上げをする事業。もう一つは、農業を新たにしようという方々が直面する問題として、住居の確保が非常に課題となります。そうしたことで、新規あるいは移住をして、農業に携わる方々に対しての家賃補助を、上限月1万円ということで、お子様や18歳未満の子どもがいる世帯では、月2万円という上限で新たな制度を設けたいと考えています。

新交通戦略の画像
【資料10 令和4年度当初予算 新交通戦略】

 四つ目の新交通戦略ですが、持続可能な交通網の整備に取り組むために、すでに進めている路線バスの公設民営化を、令和5年度から新しい制度に移行する。それにあたっては、利便性を従来以上のものにしっかりと引き上げていくことが必要ですので、そのための企画制度設計の支援業務を引き続き、コンサルにお願いしたいと考えています。
 また、持続可能な交通網の整備、バスと並んで自転車の活用利用を抜本的に広げていくことが、松本の道路事情を考えたときには非常に重要だと認識しています。そこで、いわゆる自転車レーン、通行空間を整備する事業を抜本的に拡充します。これまで松本市の自転車レーン、一番初めにスタートしたのは、今からもう20数年前、平成10年頃ですが、それから現在に至るまで、総延長で整備できている距離は6.3Kmにとどまっています。これを今後5年間で40Kmを整備するということが今回の事業です。初年度の令和4年度は、1年間で8Kmを整備したいと思っています。これまでの整備は、路側帯の部分を前面塗装する方式で、1Km当たり7,600万円程度の費用がかかっていました。この方法を、矢羽根あるいはピクトグラムということで、一定間隔ごとに目印と言いますか、ナビのマークをつける方式を取ることで、費用が1Km当たり300万円程度ということで25分の1に抑制できる。そうした方法も取って、これから5年で40Km、総事業費で1億2,000万円程度に上りますが、取り組みたいと思っています。
 また、中心市街地は歩いていただく、そしてそれをにぎわいにつなげていくことが、松本の場合は非常に重要であると考えています。今年度まで3カ年、中町通りで、負担金を交付するという形で、トランジットモールへの取り組みを支援してきました。3年経ち、中町通りの取り組みに一つ区切りをつけるとともに、これを中心市街地に広く展開していくために、今までの中町通りへの負担金交付という方式を申請方式の補助金制度に変え、中心市街地の通りや商店街を対象に、交通規制、歩行者天国やトランジットモール化に向けた取り組みの交通規制の経費を、初回100万円、2回目以降50万円ということで進める支援をする事業です。
 もう1点は、市立病院の移転先と決まった、アルピコ交通上高地線波田駅周辺の整備を、これも交通を起点としてまちづくりを進めるという観点から、基本計画の策定を来年度に行いたいと考えています。南北歩行者通路の新設や波田支所への交差点の見直し、こうしたことの基本計画作りの委託費です。

人口定常化戦略の画像
【資料11 令和4年度当初予算 人口定常化戦略】

 五つ目の人口定常化戦略です。安心して結婚、出産、育児ができる環境整備、移住を考える人の定着を通じて、松本市の人口定常化を実現していくスタートを、令和4年度からしっかりと切りたいと考えています。
 まず、大学に進学して、松本から進学にあたって出ていった方が、戻ってくるか来ないか、あるいは信州大学を初めとした県内の大学に進学した方から、松本に住むような状況になるかならないか。そうしたことの一つの後押しとして、奨学金の返還を市として支援するという事業を新たに行いたいと考えています。松本市に居住して、市内に本社、本店を有する中小企業に就職した方が、学生時代に貸与を受けた奨学金返還の3分の2以内、上限15万円と設定し、5年間実施する事業です。初年度100件を見込んで1,500万円の予算を計上しています。
 二つ目は、若い世代の方々が、希望すれば今の収入、生計のもとに結婚に踏み出せる、そういう状況を少しでも後押ししていきたいということで、結婚して新しい生活を支援するにあたって、そういう方々への生活費、主に住宅取得にかかる費用を助成する事業をスタートします。松本市に居住して、世帯所得が400万円未満のご夫婦を対象とします。30代の方には30万円、20代の方には60万円を支給し、その住宅取得が、持ち家を持つ取得、あるいは持ち家をリフォームする費用という場合は、それぞれ30万円、60万円に10万円上乗せをする形の制度です。40件を見込んだ予算計上です。
 もう1点、これも若い世代にできるだけ安価に住まいを提供できるようにということで、市営住宅、非常に老朽化が進み、低廉ではあっても入居者が非常に限定的になっている現状にも鑑み、子育て世帯など若い世帯の入居につながるようなリノベーションを行いたいと考えています。間取りをLDKにすることや、洋室化すること、さらに、ユニットバス、キッチン、トイレなど水回りを新しくすることなどに取り組んで、南松本団地、野溝団地、竹淵団地、まず初年度はそれぞれの団地で1戸ずつ、リノベーションを行いたいと考えています。
 次は、これはすでに方針を示させていただいていますが、子育て支援の医療扶助費、これまで15歳までを対象としていましたが、18歳まで拡充させていただきます。
 さらに、子育て支援ということで、待機児童の解消や、就学前の保育、幼児教育の質の向上ということに欠かせない、保育士の皆さんの処遇改善です。これは、岸田内閣が臨時特例交付金を使って、今月から今年の9月までは基本的に国費で保育士などの処遇改善を実現するという制度です。月9,000円程度、収入の3%にあたる処遇の改善を行う事業です。これについては、対象をどうするか、また、10月以降は基本的に市の負担が3分の1程度になることが見込まれており、そうしたことを見込んで、今回松本市では、私立の保育園あるいは民営の放課後児童クラブ等の皆さんはすべて対象に、公立の保育園幼稚園については、正規の職員以外で常勤的な働き方をしているフルタイム会計年度任用職員の方、それとパートタイム2類という、常勤的な働き方をしている方を対象に処遇改善、月9,000円の引き上げを実施したいと考えています。
 待機児童の問題に関連して、今、待機児童はすべて3歳未満児という、0歳、1歳、2歳のお子さんで起きており、待機児童までいく手前の潜在的待機児童と言われる方や、自らお子さんを育てていても、臨時的にお子さんを預けたいという方の需要にどう応えていくかというのが、子育て支援の大きな鍵になっています。そうしたことに着目し、現在松本市で、ファミリーサポートセンター事業という、一般の方の協力会員を募り、その方に預けていただくという事業を行っていますが、この事業について、現行1時間単位で20時間分、20枚分の無料クーポンを支給しています。令和4年度からは、保育園の一時預かりにも対象を広げて、従来のものに上乗せをして、一時預かりができる2時間単位の無料クーポンを20枚、3歳未満のお子さんをお持ちのご家庭に支給する事業です。合わせて、ファミリーサポートセンター事業の協力会員になっていただく方が、なかなか報償費が低いということで頭打ちになっている現状を解消するために、松本市独自で報償費の上乗せを行う予算も合わせて計上しています。

 もう1点、学都松本寺子屋事業費ですが、学校や家庭以外の場所で、塾に通っているお子さんとそうでないお子さんの格差とを少しでも是正する仕組みをぜひ松本で作りたいということで、学習支援を行う団体に対し、1カ所10万円の事業開始にあたっての交付金を支給し、運営を行う、またその運営に当たる学習支援者を集める方々に費用を提供して、いわば現在の寺子屋的な取り組みを松本市内で広げていきたいと考えています。従来、食事提供をすることを中心として、子どもの居場所づくり事業をこれと類似の制度枠組みで行ってきました。これを一つの土台にもしながら、より学習支援に取り組んでいただける教員OBといった人材を、教育委員会とも連携して集められるような仕組みも並行して作りたいと思っています。
 最後に、この4月から安曇小中学校で小規模特認校制度を導入します。この安曇小中学校には、現段階で区域外から通学される予定の児童生徒が10人程度いらっしゃいます。こうした方々に対し、通学するにあたっての交通費の支援を行おうというものです。波田駅から学校までスクールタクシーを運行し、保護者の皆さんに、小学生は月1,500円、中学生は月3,000円という負担で通学していただけるような、支援、助成を行おうというものです。この小規模特認校制度を軸に、松本市内の公立の学校の多様化をこれから進めていきたいと考えています。そのスタートとなる今回の安曇小中学校の通学支援という形でのサポートです。

 以上、五つの重点戦略に基づいて、新規を中心として事業のご紹介をさせていただきました。あと3点ほど、私からこの当初予算の概要の中で触れさせていただくことをご報告させていただきます。

当初予算推移の画像
【資料12 令和4年度当初予算 一般会計当初予算額の推移】

 まず、改めて今回の一般会計総額ですが、こちらのグラフが10年前からの一般会計当初予算額の推移です。800億円後半で推移をしていたところから、昨年度コロナ対応もあって1,000億を超え、今回、1,035億4,000万円と、2.4%増の予算となりました。計画行政の推進、健全財政の堅持ということをベースにした上で、コロナショックからの再起動、立ち直りや、未来への投資といった観点から、持続可能であり、なおかつ機動的な財政運営を行っていくことが、私たちの基本です。

市債残高の画像
【資料13 令和4年度当初予算 市債の残高】

 松本市の借金、市債の残高の推移をまとめたグラフがこちらです。10年前、860億円あまりの市債残高が720億円台まで圧縮され、そして去年、30億円程度上積みしました。今年は、臨時財政対策債、これは国の方針で大幅に減少をするということが主な要因ではありますが、令和元年度並みの水準の728億円という残高となっています。

財政調整基金の画像
【資料14 令和4年度当初予算 財政調整基金の残高】

 そして、市債の残高と並んで、財政の健全度をどう見るかということの一つの目安としてお示しをさせていただいたのが財政調整基金です。この財政調整基金は毎年度の歳入、歳出の変動に対するセーフティーネット、そして、大規模な災害の発生や景気の急激な悪化による、税収減に対応するために積み立てている基金です。これも10年前、100億円程度であった基金の残高が、平成30年度には140億円まで積み上がりました。そしてこの令和4年度は、125億円という残高で、今予算編成をしています。
 これまでどのような目安で財政調整基金を取り扱ってきたかですが、前市政においては、長岡市で中越沖地震があった際に、復旧経費の一般財源相当額が120億円程度だったということで、長年、災害対応に備えるということで120億円を一定の目安としてきたという報告を受けています。
 こちらに見ていただいたように、120億円程度の目安から平成30年には140億程度まで上がり、その後、若干推移がある中で今年を迎えたわけですが、今回、この財政調整基金の取り扱いをめぐり、改めてこの残高の目安を財政当局とともに整理させていただきました。目安とさせていただいたのが、標準財政規模の20%という数値です。この標準財政規模については、私たちの税収を中心として毎年度、収入としてある程度の目安になるものということで、今年度、令和4年末での見込みでいきますと、603億円、この松本市の標準財政規模を見込んでおります。これの20%を目安にしようということです。
この20%というのは、財政再生団体という自治体の破綻状態になる状況がこの標準財政規模の20%を超える赤字が出るような状況になったときという位置付け、定義がありますので、そうした国の判断の基準を一つの目安として、標準財政規模の20%を財政調整基金の残高の目安にしていこうということで今回考えたところです。
 今回予算編成にあたって、令和3年度の予算で積み立てた財政調整基金の金額が12億4,000万円程度でしたが、それはそのまま令和4年度も同じ額を繰り入れようということで、今120億円を一つの目安としていくときに、これ以上、新たに残高額を積み増す必要性はないだろうということで、令和3年度に積み立てたものは令和4年度にそのまま同額を繰り入れて、残高は基本的に一定額でいく考え方をとろうというものです。今回、この考え方に基づいて、125億2,690万円が、令和4年度当初予算においての財政調整基金の残高になっています。

病院事業会計の画像
【資料15 令和4年度当初予算 病院事業会計 繰出金(市立病院分)】

 もう1点、病院事業会計の繰出金についてご説明をさせていただきます。
 新しい病院の建設にあたり、病院の経営を改善していくことは、新病院設立にあたっても前提となるわけですが、その繰出金の算定方法を来年度から変更をしたいと思っています。これまでは、国から市立病院分として措置される交付税、これがおよそ3億2,000万円毎年ありました。この3億2,000万円毎年国からくる交付税よりも結果として赤字になった部分があれば、そこに積み増していくということで、一般会計からの繰り出しを行ってきました。その結果として、平成25年に4億円程度だったものが、令和元年以降は5億円を超し、5億5,000万円前後という状況になっていました。
 こうした、結果として出た赤字を単純に補填していくという方式から、どういう項目に繰り出しをするのかという基準を明確にして積み上げていく方法に変えようということです。一番基本となるのは、政策医療部門、周産期医療や小児医療、へき地医療、そして感染症対策など、そうした部分に経営目標を病院局で立てるわけですが、その経営目標を達成しても出てくる赤字、いわば構造上の赤字を不採算額として金額を出し、そこに病院事業債の元利償還金の、2分の1ないし3分の2という、これは国で決まった基準ですが、そうしたものを積み上げて算出をするという方式に変えたいと考えています。

繰り出し金グラフの画像
【資料16 令和4年度当初予算 病院事業会計 繰出金(市立病院分) グラフ】

 その結果として来年度の病院事業会計への繰出額は4億6,913万円ということで、令和3年度に比べると9,600万円の縮減となっています。病院については、来年度は、アフターコロナ、ウィズコロナを見据えた経営目標に基づく予算を計上しています。具体的には、コロナ病床の国からの確保量を見込まずに、一般診療の稼働率を高め、そして経営黒字の達成を目指すというものです。
 あわせて、新病院建設も本格化します。ただ、コロナの収束に必ずしも至る見通しは立っていない部分もありますが、コロナと向き合いながら、新たな病院経営を市立病院とともに進めてまいりたいと考えています。

 長くなりましたが、私からの報告は以上です。

【記者】
 まず令和4年度の当初予算の重点配分についてお聞きしたいのですが、令和3年度、本年度の当初予算のときは、確か選挙公約の5分野に重点配分したと思うのですが、今回はDX、ゼロカーボン、ポストコロナ、交通、人口定常化ということで、より対象を全方位型ではなく、絞り込んだようにも見えるのですが、そのねらいと、どのような基準でこの五つのテーマを選んだのかをお聞かせください。

【市長】
 先ほども申しましたが、昨年の10月に、2030年に向けた新たな総合計画を策定しましたので、この総合計画に基づいた当初予算ということでは初年度に当たります。私にとっては2回目の予算編成ですが、本当の意味での仕切り直しという予算が、この令和4年度予算だと考えています。そして、そうした区切り、節目と、2020年から2022年にかけて、コロナという未曽有の感染症と世界が直面し、これによって生き方、働き方の問い直しが幅広くあらゆる世代で行われており、そしてこれはコロナの前から起きていたことですが、デジタル化という、産業や社会の仕組みの根底の部分での変化というものも大きく顕在化してわれわれの対処しなければいけない課題となり、そして、ゼロカーボンという、石炭から石油に変わり、エネルギー源の主体が再生可能エネルギーになるという、何十年に1度の大変革、新たな産業革命も起きつつあるという内外のこうした状況を総合して、再スタートを切るのだということで、この五つの重点戦略を掲げました。
 今申したDX、ゼロカーボン、ポストコロナが五つのうちの三つを占め、それ以外に、松本市が社会インフラとして最も取り組むべき課題である交通政策、そして、東京一極集中からの変化の兆しもある中で、少子化と向き合い、高齢化と向き合い、人口の定常化を、子育て、教育、住宅、そうした総合的な政策で実現していくというこの五つの柱は、これから2030年の総合計画をもとに松本市が取り組んでいく大きな課題を整理したものであり、松本市の施策の中心的、象徴的な分野だと整理をさせていただきました。

【記者】
 この重点戦略は令和4年度限りのものではなくて、毎年度の重点戦略になっていくのでしょうか。

【市長】
 固定的には考えていませんが、今申したように2030年に向けて大きなうねりとして、このDX、ゼロカーボン、ポストコロナがありますし、交通や人口定常化も中長期的な取り組みとして行っていくものだと認識をしていますので、この五つを基本にしながら、適宜適切に付け加えたり、再整理したりすることがあれば考えていくということです。

【記者】
 個別事業になるのですが、アルプス公園のキャンプ場整備に1.4億円、それから三の丸エリアビジョンに関する整備事業費に890万円が計上されていますが、この案件については今、審議会で継続協議中ですが、いつどのようなタイミングで今回の予算計上を決めたのか、それからこの予算審議の先行きについて市長はどのような展望を持っていますか。

【市長】
 最終的には今日の庁議が正式な手続きですので、今日が手続きの決定の日です。そこに向けて、予算編成手順は、実施計画という3年単位の計画づくりを夏から秋に行い、それを踏まえて、11月12月と、各部局あるいは横断的な編成の議論を行い、年明けにある程度の方向性を二役のもとで行うというのが予算編成スケジュールですので、基本的にはそうしたスケジュールの中で最終的にはこのような予算になりました。
 その上で今後の議会に対しては、今日議会への提出をし、予算説明会という場がありますので、改めて現在、継続協議になっている案件ですので、協議をそうした場でも尽くし、そして、来週から始まる2月の議会で、一般質問、さらには、委員会審議、そして予算特別委員会の審議、最終的には本会議での議決というプロセスに向けて、誠心誠意、説明を尽くしてまいりたいと思っています。

【記者】
 議会の中ではキャンプ場など賛否が分かれていて、予算修正もありうるのではないかという見方もありますが、市長は今そういった想定はしていますか。

【市長】
 昨年度原案通りの成立ではなかったというのはご承知のとおりだと思います。常々私は、これは国会審議でもそうですが、日本の場合、政府や当局が提出した予算を、審議を通じて修正するということに対しては、非常に弾力性があまりない状況で、政治プロセスが進んできたなと政治記者時代から感じていました。それは、与党、政府の事前調整という部分もありますし、与野党のあり方、行政府と立法府のあり方に、歴史的な由来があってのことだと思います。松本市と松本市議会においても、当然、われわれとしては、これを提出する以上はすべて成立したい、していただきたいということで提出するわけですので、そこを目指して、全力で取り組んでまいりたいと思っています。

【記者】
 ゼロカーボンの施策の中で、乗鞍高原に合わせて波田駅周辺を街型物件という形でモデル地区にするということで予算計上されているかと思うのですが、なぜ波田駅周辺を選ばれたかということと、将来的にまちづくりとゼロカーボンを一緒にやっていかなければいけないという話があったかと思うのですが、それが、将来的な全市的なゼロカーボンの推進に向けて、どういう効果とか期待をお持ちかお願いします。

【市長】
 これはスーパーシティ構想のときにも、松本の再生エネルギー事業の展開にあたって、街型山型というような表現で、広い松本市、また地域特性に多様性のある松本市において、再生可能エネルギーのあり方も大きく言うと、街側と言いますか、ある程度の人口が集積をしている場所でどういう展開をしていくかということと、今回の安曇、乗鞍などは、山の過疎地の、一方で、小水力や自然エネルギー電源は豊富で、自己完結ができるエリアという、大きく割ると二つの類型を想定して取り組んでいく必要があるということは、ゼロカーボン、再エネ事業推進にあたっての基本認識としてあります。
 そして、この山型については、先ほど申したような安曇地域の取り組み、そしてもう一つ、街場、ある程度の人口の集積や施設の集積で、これをどこかモデル的に取り組む必要があるということで、部局内で検討をしました。そして、今回、波田駅周辺に新たな病院を建設する。しかも、その病院の建設選定理由にも私もしましたが、その周辺には、交通の拠点があり、商業施設があり、役所の支所もあり、小中学校もそう離れていないということで、このエリアを新しい病院建設するにあたっては、ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化というゼロカーボンを意識した建設にもなりますし、そこで単体の病院だけではなくて、周辺を、この再エネ導入のモデル的な、ある程度の人口集積がある場所として選んだということです。街場というには旧波田町は、中心市街地から大きく離れていますので、ちょっとそのイメージとギャップがあるかもしれませんが、私たちの認識としては、人口過疎地、そして自然エネルギー電源完結型のエリアと、そうではない、ある程度人口の多い地域で今後どう再エネ導入を進めていくかということでのモデルとして波田駅周辺を選んだということです。

【記者】
 主要な個別事業を先ほど市長からご案内いただきましたが、今回位置付けているこの未来志向の積極型という意味で象徴的な事業というと、市長として思い入れがあるものを一つ二つ挙げるとなるとどれというのはありますか。

【市長】
 一つ二つという認識ではあまり自分の中で整理をしていませんでしたので、非常に数が多くなって恐縮ですが、今20項目以上挙げさせていただきましたが、5分野で金額の多寡ではなかなかちょっと測りにくいところがあるのですが、新たな企画をたくさん打ち出すということで、この5分野についての新規事業を立ち上げました。また、必ずしも新規かというとそうではない事業についても、各部局に対しては、もっと市民ニーズに即して、事業の範囲を広げたり金額を上積みしたりということを大胆にできないかということを、ずっと査定の最中には、議論をしてきたと考えています。
 すでにこれまでも、予算化以前に路線バスの公設民営化とか、ゼロカーボンに関するいくつかの政策の柱とかは皆さんに申してきて、非常にそれはスケールとか、市民の関与の広さという意味では大きな事業だと認識していますが、その上でこだわりを自分なりに持ったのは、5番目の人口定常化戦略のところの、子どもや若者や教育というところで、何とか市民一人ひとりに、豊かさと幸せを実感できるということにつながるような、まだささやかかもしれませんが、今後大きく展開して、大都会で当たり前に享受できているようなものを、松本市でも享受できるような仕組みをしっかり作っていく。あるいは、大都会では実現できないサービスの提供を、松本だからこそ提供できる、そうした子どもや、若者や、子育てに関する未来の人たちに提供していくことは、意識としては、あるいは庁内のディスカッションとしては非常に力を入れたところです。形として十分出ているかは、まだ発展途上だと認識していますが、昨日の教育大綱でも子どもが主人公ということを掲げましたが、これから松本のまちに今住んでいる方々はより豊かさや幸せを末永く実感できるような、結婚して子どもを産み育てるということは、非常に肯定的で前向きなことだと受け止められるような、そして、そういう状況を見て、大都会を始め、そこから松本に、訪れたり、移り住んでいただける方を増やしていけるような、そうしたことに多角的に取り組んでいくわけではありますが、人口定常化に向けた取り組みのいくつかはそうした思いを込めたものです。

【記者】
 自治体によってはこのコロナ禍で、どちらかというと抑制的にという選択を取る自治体もあるかと思うのですが、改めて松本市で、この状況で、積極的に過去最大規模の予算を2年続けるという選択をした理由をもう一度ご説明していただけますか。

【市長】
 国の予算も、今、これは、日本という国もそうですが、世界の主だった国々を見ても、需要不足にどう対応していくかということは、マクロで言えば人口が減っていくとか、あるいは新たな投資先がなかなか見いだせないとか、そのことが結果として社会の収縮につながってしまうと。経済の循環によって収入や所得の底上げを図っていくという経済のベース、豊かさのベースがなかなか実現できないという状況が、このデフレ下において続いていたということがあると思います。一方で、寿命が延び、高齢化が進む。そうなると、社会全体としても、高齢化、長寿化への対応のために貯蓄を増やす、歳出を抑制するということにも気を配らなければいけないという状況に、いわば困難に陥っていたのがこの数年ではなかったかと認識します。そうした中で、先ほど申したような三つの大きな転機が2020年から2022年にかけて起きた。コロナ、デジタル、ゼロカーボンというのは、私はそうしたものとして、今まで新たな需要、新たな投資先がなかなか見いだせなかった世界において、また日本において、人口減少や高齢化にも対応をしつつ、社会としてもあるいは企業としても、あるいは家計という観点からしても、収入、収益を増やしていくことの可能性を、この三つの大きな転機に私は感じ取っていて、そこに重点化をしながら、公共投資を呼び水にして、さまざまな人や金の動きを生み出していくことが、今、一人ひとりの豊かさや幸せにつながっていくことではないかという基本認識があります。それに基づいた総額として、1,035億円となりましたが、先ほど申したような五つの重点戦略に基づいた予算計上であったり、財政調整基金の取り扱いの考え方だったりということは、ベースとしては、今申したような話があると理解していただければと思います。

【記者】
 市債発行の考え方、あるいは財政調整基金の使い方の説明を踏まえると、令和5年度以降も、積極的な予算組みをしていくということになるのでしょうか。

【市長】
 はい。単年度の取り組みだとは、基本的には今回の予算編成の基本方針は思っていませんので、2030年に向けて、基本的には、未来志向の財政出動に対しては前向きなスタンスで臨んでいきたいと思っています。それは直ちに一般会計総額を右肩上がりにしていくということではないということも付言しておきたいと思います。

【記者】
 予算には直接盛られていないのですが、市役所の新しい分散型の構想についてですが、新年度の中ではどの程度まで議論を進めたいというところはお考えはありますか。

【市長】
 今回の予算に計上した松本城三の丸エリアビジョン関連の取り組みですね、これは議会でもご指摘を受けていますが、三の丸エリアの中には、市役所の今の本庁舎の部分をどう活用するかということが含まれています。これは、今議会の皆さんの中には、市役所の問題が、まだ方向性が決まっていない段階で、そのことが前提となることは認められないという議論にもなっています。そこはもちろん、今の段階で整理ができているという状況ではないという認識をしていますが、一つ、お互いに前に進んで、一致点を見いだすことの、第一歩になればという気持ちも私にはあり、前の市政で策定した、本庁舎に基本的には、集中した市役所を作るという方法と、本庁舎跡は市役所の建物を建てず、本庁舎のスリム化と、私にとってはそれが適地だと思っていますが、松本駅前や南松本や、そしてこれからはデジタル化の進展によって、加速度的に活用レベルが上がっていく、デジタル市民サービスのベースとなる在り方の組み合わせによる市役所の姿との比較をしながら、一義的にはまず議会でしょうし、さらには広く市民の皆さんとも議論を重ね、着地点を見いだすことが、令和4年度の市役所の問題で言えば、目指すところになるのかなと思っています。

【記者】
 人口定常化の話に戻るのですが、今回五つの重点戦略の中でも人口定常化に最多の事業数を盛り込んでいるということで、力を入れていることはわかるのですが、一方で少子化が進む中で今どこの自治体も同じように、移住定住の促進事業というのは本腰を入れてきていると思うのですが、そういった中で松本市としての個性であったり強みがどこにあるのか、またそういったことがあらわれている象徴的な事業があれば教えてください。

【市長】
 おっしゃるとおりだと思います。サービス合戦で、それぞれの自治体が同じような事業のところにやはり重なっていくところはどんどん出てきますし、またわれわれもそうですが、他で、非常に需要のある政策があるなと思えば、それを取り入れていきますので、結果的に違いがなくなるということは当然その個別政策では出てくるだろうと思っています。だからこそ、先ほど、どれか一つか二つというご質問にもなかなかちょっと答えにくかったり、あるいはその上でいくつか指摘をさせていただいたものも、とりたててどこにもないような、あるいはどこにもできないような規模やアイデアかといったら、もちろんそうではありませんので、突き詰めれば、これは総合的に取り組んでいくしかないということだと思います。それは、新たな産業を生み出せるような取り組みのまちなのか。あるいは、広く文化という言葉でくくれるような、市民の皆さんの子育てや、教育や、そうしたものが、意識の面でも、施設の面でも、トータルでそろっているまちなのか、あるいは、生活の基盤となる移動の手段が、安価で快適で、域内においても、域外との交流においても整っているのか。そうしたものを、文字どおり総合的に、これから評価をシビアに、街の立場でいけばされていく。あるいは、一人一人で言えば、そういうことをしていくということになろうかと思います。その上でもう一つ付言すれば、これから、特に、私よりも若い世代の皆さんが暮らしていく上で重要視するであろうというのは、自由で、開かれていて、しがらみが少なくて、オープンで、多様であることが否定をされない、そういうまちである、そういうエリアであるということは、実は非常に大きなことではないかなと思います。それを実現するのは、今回の予算というような形での資金面のありようよりも、ルールとか慣習の見直しとか、そういうことによるものだと私自身は考えます。その一つのこれから大きな尺度になってくるのが、ジェンダー平等と私自身は考えています。このジェンダー平等を行政の立場で実現をしていくのか、あるいは先導していくのかということには、おのずと限界もありますが、やれることもあるなと思っています。少し質問の趣旨から外れてしまっているかもしれませんが、総合的に包括的に、人口定常化のために取り組んでまいりたいと思っています。

【記者】
 アルプス公園の予算の規模ですが、今年度当初で盛った分から3倍ほどになっていると思うのですが、今年度当初に設計とか見通しみたいな部分に甘いところがあったのか、あるいはどういう理由があって、膨らんでいるのか教えてください。

【記者】
 今年度当初については、非常に暫定的に、今年度まずスタートができればということで、非常に限られた整備内容でした。園路と広場、最低限の施設整備ということで、今回盛らせていただいた管理棟、トイレ、炊事場、そうした付帯施設は、スタート段階では計上していませんでしたので、1年経って、来年度スタートをするとすれば、そうした通常のキャンプ場の付帯施設はそろえようということ。それと、この1年、いろいろなご指摘を受けた部分への対応ということを、今回の予算計上ではしています。その一つが、災害防災区域との境のようなところに、柵を設ける。そうした対応が必要ではないかというご指摘がありましたので、より安全性に万全を期すためにそうした対応を取るなど、1年間市民や議会の皆さんから受けたご指摘を予算に反映をしたということもあります。

【記者】
 管理棟とかトイレとか炊事場ですが、仮に今年度の当初でキャンプ場の予算が通っていたとしたら、新年度の予算で盛る予定だったというような形になりますか。

【市長】
 段階的にそうしたことを進めていくことは念頭にありました。

【記者】
 新型コロナの関連ですが、コロナが発生してから今回で3回目の予算編成だと思うのですが、過去2回と比べてある程度ポストコロナを見据えた予算編成なのか、過去2回と何か大きく違う予算、コロナに関してはありますでしょうか。

【市長】
 まず、当初予算という意味では、過去1回です。私が就任する前に、当初予算は編成されていましたので、過去1回との比較になりますが、今年度1,000億円を一般会計総額で超えていますが、そのときと比べて、この直面するコロナへの対策費用に割く予算、単にそれは予算の額だけではないかもしれませんが、それと比べれば、コロナに一つの区切りをつけて、コロナの先を見据えたというのが今回の予算だと認識しています。これからまた、来年度に入って、また今第6波ですが、その先の状況がどのように展開していくかは不透明なところもありますが、ご承知のように、学校での、GIGAスクール構想を基にしたオンライン、リモート対応も、今年度までにかなりベースが整えられて、それにプラスアルファということを今やっています。ですので、コロナ対策費という意味でいけば、今年度はかなりそれがメインでしたが、来年度は、五つの重点戦略の一つがポストコロナであり、もしこれが直面するコロナ対策に、これは国レベルもそうでありますが、対応しなければいけないことがあるとすれば、補正での対応ということが軸になると考えます。

【記者】
 海外プロモーションとか、テレワークの推進とか細々といろいろ、コロナに関連したというものもあるのですが、ウィズコロナということもとらえて、ポストコロナと含めてコロナと共存っていう意味合いもあることなのでしょうか。

【市長】
 ちょうど今、日本社会も行ったり来たりしていると思うのですが、例えばテレワークは、コロナがまん延して、コロナに対応するための臨時的な措置なのか、それともそちらの方が効率的で、他の時間を生み出したり、有意義な本来やるべき仕事を生み出したりする手段として捉えるかということが、私はそれが前者から後者に、すべてが移り変わるとは言いませんが、前者から後者に、この1年、あるいはこの2年でシフトしてきていると思っています。ウィズコロナとポストコロナに大きな何か境目があるのではなく、ポストコロナに移行していくと言いますか、ウィズでやっていたことがこれから常態化していく、あるいは常態化していく必要があることが多々あるのではないかと思いながら、今回ご質問を聞いて思ったことでもありますし、予算編成にあたってもそこは意識したことです。

【秘書広報室】
以上で市長定例記者会見を終わります。

※この内容については、重複した言葉遣いや、明らかな言い直しがあったものなどを整理した上で作成しています。

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