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令和7年1月28日 市長定例記者会見
【資料1 鍵の受取・返却を窓口レスで 公共施設にスマートロック導入へ】
【市長】
私から3点報告させていただきます。まず松本市の公共施設の鍵の受け取りや返却を窓口に来なくてもできるようにすることについてであります。現在、松本市の公共施設や体育館、公民館、あるいは学校などにつきまして、予約や料金の支払いはオンラインでできるようになっていますが、実際に利用する際には、職員がいる時間に窓口へ鍵を受け取りに来ていただいて、返却はポストでも可能なところもございますが、手続きを踏んでいただく必要がございます。こうしたことから、松本市の101の公共施設につきまして、スマートロックや電子キーといった鍵であれば、できる限り窓口に来なくても施設をスムーズに利用していただけるのではないかと検討してまいりました。その結果、電子キーボックスをドアノブや壁に取り付けて暗証番号で解錠をし、格納されているリアルな鍵で施設を解錠する方向で検討することになりました。通常、スマートロックといった場合、ドアの鍵に直接取り付ける電子錠タイプのものもありますが、松本市の公共施設では1施設しか適合しなかったことから、電子キーボックス方式を採用する方針になっております。
【資料2 鍵の受取・返却を窓口レスで 公共施設にスマートロック導入へ(導入にあたり2月末から実証実験)】
【市長】
実際に採用するにあたって、全ての施設で可能かどうかを検討するために、2月末から実証実験を行うことにしました。実証実験は、2月28日から6月末までの期間で、芳川公民館、芳川体育館、神林体育館、梓川中学校体育館の4つの施設で行われます。利用者の多さ、あるいは公民館と体育館が一体的に利用されているもの、さらには中学校の部活動地域移行のモデル校といった理由で4つを選定いたしました。実際にどのような形で利用していただくかと言いますと、先ほど申しあげたように、すでに施設の予約などはオンラインでできますので、利用料を支払っていただいた上で、暗証番号の通知を受けていただく必要がございます。暗証番号の通知は、松本市LINE公式アカウントの画面で電子鍵サービスを友だち追加し、利用登録をしていただくとスマホに暗証番号が届くことになっております。暗証番号は1時間単位で変わっていくことから、複数の暗証番号がスマホに届けられることになります。その上で、現場の電子キーボックスのところで時間ごとの暗証番号を入力していただいて、ボックスから鍵を取り出し、施設を解錠していただくものでございます。また施設を使った後に施錠をし、キーボックスに返却していただく仕組みであります。現在は使った後に鍵を返却する際、実績報告書を窓口に提出していただいておりますが、スマホからの送信で済むということで、これらが本格導入できますと完全窓口レスで公共施設の利用をしていただけることとなります。今のところ、実証実験を4つの施設で5団体程度に参加していただくことを考えておりまして、利用している団体、あるいは利用をしたいと思っている団体に、参加いただければと思っております。実証実験でいろいろな課題を抽出し、それを解決した上で令和7年度中には、できる限りの施設で導入していきたいと考えております。
【資料3 国道158号 奈川渡改良事業 3月から新入山トンネル工事に着手】
【市長】
2つ目は、国道158号線の奈川渡改良事業についてであります。国道158号線の奈川渡改良は平成23年に事業化をし、14年経つわけでございますが、これまでに(資料3の)緑の点線の部分で1.5キロメートル程度あります大白川(おおじらかわ)トンネルが平成元年の夏に貫通をし、その先の大白川大橋につきましても、令和5年の春に工事が完了しております。そして残る部分が、地図の赤い点線部分の新入山(しんにゅうやま)トンネルで410メートルございます。410メートルの工事区間が貫通しますと、平成23年に事業着手をした奈川渡改良の総延長2.2キロメートルが供用開始となります。
【資料4 国道158号 奈川渡改良事業 新入山トンネル工事のポイント】
【市長】
新入山トンネルの工事を3月から始めることになりましたが、非常に難所でございます。松本側から来て上高地に抜けていく新入山隧道(すいどう)と、奈川方面へ向かう入山隧道で交差をし、また奈川渡ダムの手前で奈川方面から来た道路とも交差をする部分がございまして、この難所についてどのような工事なのかを説明させていただきます。(資料4の)緑部分が現状の入山隧道でございますが、ここに紫部分の新入山トンネルを途中まで掘り進めることになります。最後の奈川渡ダム付近につきましては、現在あります新入山隧道を拡幅して活用し、最終的に新たなトンネルを完成させるものでございます。松本側から上高地への唯一のアクセス道路であり、できる限り交通規制を抑制して工事を進めていくということで、2つのポイントに留意した工事が行われます。1つは先ほど申しあげた奈川渡ダム側で、既存のトンネルを拡幅して活用する43メートルの区間についてであります。ここの工事を進めるにあたりましては、トンネルの上にさらにトンネルのようなプロテクターを設置して、拡幅工事の期間中も既存のトンネルを通行できるようにする工法を取ることが、ポイントの1つでございます。もう1つは、観光シーズンかそうでないかという季節に応じたことと、土曜、日曜、祝日か平日か、さらには昼間か夜間かということで、交通規制をできるだけ抑えて工事を進めるということであります。ちなみに令和7年(の夏場)につきましては、土曜、日曜、祝日の交通規制は行いません。平日の夜間については、上高地へ向かう新入山隧道は全面通行止めで、上高地に向かう時には、通常は一方通行ですが奈川方面に抜ける時に使います入山隧道(1)を片側交互交通にし、回り込んでいただくことで対応をしてまいります。昼間の交通規制はございません。また11月以降の冬場につきましては、今申しあげたように新入山隧道は終日全面通行止めにして、入山隧道(1)側を片側交互通行で往来することになります。国道158号の奈川渡改良の工事区間では、今まですれ違いの難しい隧道が5つありましたが、完了して供用開始となりますと、安全に走行していただけるようになりますので、完成後にはさらにたくさんの方が訪れることが予想されます。今回の工事を安全、迅速に進めていただいて、そこに向けた必要な取り組みもしてまいりたいと思っております。
【資料5 松本市全域で光インターネットが利用可能へ 奈川地区光インターネット整備が完了】
【市長】
最後に、奈川地区で行っておりました光インターネット整備が完了し、1月から奈川地区全域で光回線が利用できるようになりました。全424件で、それぞれの住居、事務所への引き込み工事が完了いたしました。奈川だけが松本市内で通信環境が遅れていたわけですが、これまでの同軸ケーブルと比べて通信速度が6.3倍に向上いたしました。高速で安定したインターネット通信を利用していただくことは、移住、あるいは2拠点居住といった奈川地区での住まいや暮らしという部分で、非常にプラスになると考えておりますので、さまざまな場面で奈川に対する投資も行いたいと思っております。
私からは以上です。
【記者】
あがたの森公園で遊具を施錠し、夜間の使用を禁止された件でお尋ねいたします。音がうるさいという苦情が寄せられて看板を立て、段階的な対応だったと思いますが、1つ疑問が残るのが施錠の時間が午後4時であり、早すぎたのではないかと思います。対応が適切であったかどうか、市長の考えをお聞かせください。
【市長】
住民の方からご指摘を受け、その翌日には公園緑地課として対応したと報告を受けております。今回取った一連の行動は、ゼロではありませんが、ほとんどの市民の皆さんにご迷惑をおかけするようなことはなかったというのが基本的な認識であります。付近の住民の方から、子どもが利用しない夜間の時間帯において、若い世代が騒いでいる声が迷惑だとご指摘をいただき、それに合わせた行動は何かということで公園緑地課が取った手立てでございます。その上で施錠の時間について、当初は日が暮れる時間が早く、午後4時でも大丈夫ではないかというところで始めたと報告を受けました。本来そのことが全てだといけませんが、シルバー人材センターの職員の方に施錠する役割を担っていただいて、勤務の時間から逆算して出たのが午後4時だったと報告を受けました。今後、ここでどのような状況が起きるかは分かりませんが、適宜適切な対応を取っていきたいと思います。
【記者】
今は施錠が解除されている状態ですが、今後も再び騒音被害が起こるかもしれません。今、検討するといったお話がありましたが、収まらなかった場合は日没に近い時間帯で施錠する考えはございますか。
【市長】
皆さんどう思われるか分かりませんが、使わない時間帯とはいえ、鎖で公園の遊具を使えないようにしなければいけない社会というのは、決して好ましいことではないと思っています。今回、報道でも一部ありましたが、我々としましても、あがたの森だけではありませんが、松本市内にあるいろいろな都市公園で、子どもたち、あるいは本当に必要な人が、周りの住民の方々の理解の上で気持ちよく使ってもらえる環境を作っていくために、普段から表示などでの呼びかけや万が一そういう状態が起きた時に、市の職員をはじめとして、そういう行動を起こした人への働きかけとして、施錠など行わなくてもいいような状況を目指していきたいと思っております。
【記者】
取材では、担当課の判断で措置を取られたということでした。公園は市民と多く触れ合う場で、長野市の青木島公園の件もあり、反響が多いところだと思います。今後の施錠などの対応の際に、最終決定を市長がするのか、これまで通り公園緑地課の対応で十分なのかお考えをお聞かせください。
【市長】
事の大小があると思います。森羅万象、24時間、365日、私が本当に意思決定しなければいけないものを優先順位をもって決めていくことが、私の責務だと思っております。このことを軽んじるわけではありませんが、これぐらいの話の判断を全て市長に仰がなければならないような組織は、決して健全で、なおかつ市民の皆さんに信頼される組織ではないと思っております。今私が申しあげたことは、すでに担当課にも伝わっておりますし、そうした原則に基づいて、つかさつかさで担当課が判断をし、判断に迷うことがあれば私のところに「私たちはこうしたいけれど、これでいいでしょうか。」と上がってくるケースはあろうかと思います。付け加えれば、長野市の件と同列に扱うのはあまりにも乱暴です。同じ公園というだけで閉鎖までいった件と、できるだけ子どもたちが使わない時間帯にどんな措置を取るかといった話は、同列ではないと私は思っております。
【記者】
新入山トンネルの工事の件でお伺いします。完了の時期が示されていないと思いますが、いつ頃を見込んでいますか。
【市長】
これは3桁国道ですので県の事業であり、非常に難しい工事ということで国土交通省が実施する事業でありますので、我々がいつまでにやるといった方向性を述べる立場にはありません。なおかつ、先ほども申しあげたように、従来にない工法で非常に難所の事業ですので、いつまでにということを国土交通省も公表しておりません。我々としても工事の進捗をしっかりと見守っていきたいと思っております。
【記者】
上高地周辺では、観光のトップシーズンにおいて渋滞の影響が大きくなっていると言われております。トンネルの設置によって、渋滞の影響にどのような効果が期待できるとお考えでしょうか。
【市長】
まだ供用開始の時期は見通せないところはありますが、ここまで来ましたし、最後の新入山トンネルへの工事着手ということで、これが供用開始になると交通環境が劇的に向上すると思います。現状において、入山隧道をはじめとして、ここに至る隧道のすれ違いは、運転に少し不安があるといいますか、細いところを大型トラックやバスとすれ違うことが心理的な負担になって、トンネルの先にある奈川、乗鞍、あるいは上高地といったところに向かうことをちゅうちょされる方が今まで少なくなかったと認識しております。ですので、そのことが解消されて、松本側から乗鞍や上高地にアクセスすることが便利になると、より通行量も増えることが想定されます。渋滞解消という面では大きな部分でもございますが、今度は車の通行量が増えるということで、去年の行楽シーズンでも顕在化をした沢渡、あるいは自家用車では行けませんが上高地のバスターミナルといった受け皿の問題を関係団体と協議し、まだ供用開始まで相当な時間がありますので、しっかりと対策をハード、ソフトの両面で考えていかなければいけないと思っております。
【記者】
国道の関係で中央の方に市長が要望に行かれたと思いますが、市内には国道158号もありますし、国道19号も改良が進んでいるところだと思います。国道19号について、要望されたことや国からのフィードバックがあれば教えてください。
【市長】
年明けだけではなく、私が市長になってから繰り返し足を運んできた中央要望では、一貫して国道19号の4車線化、中部縦貫道の松本波田道路の早期供用開始、そしていわゆる先線のルート選定を国交省の幹部の皆さんや地元選出の国会議員の皆さんを通じて要望してきました。特に国道19号の4車線化については、事業化から25年以上が経過をしますが、たった600メートルの渚1丁目と白板の4車線化もまだ完了していません。一番のハードルになっていた落合橋の掛け替え工事が本格化をして、令和11年だったと思いますが完成の見通しに近づいてまいりました。ですので、橋ができた時に600メートル区間の供用開始も同時にできることが、今までの長い時間、工事がなかなか進まなかったことをようやく1つの形に表せることになりますので、落合橋の完成と渚1丁目と白板の区間を同時に供用開始することを私たちとしてまず1つの短期的な要望にしております。その外側と言いますか、工区で言いますと第2工区、第3工区の渚2丁目、さらには渚3丁目までの区間の用地買収はかなり進んでおります。また北側の第4工区になりますが、こちらの地元の同意も取り付けております。今、全国的にも公共事業の予算配分の優先順位を巡って、各地から中央に要望が集まっていますが、次のプロセスにできるだけ速やかに進めるために、より潤沢な予算の確保を要望してきたところでございます。同様に、松本波田道路についても、地権者の同意もあとわずかなところまで来ております。工事の進捗を進め、先線については、早く計画段階評価という事業化の一歩手前のプロセスに入っていただくよう国土交通省に要請をしてきたところでございます。
【記者】
スマートロックの導入について確認です。暗証番号が1時間単位で変わるというお話でしたが、LINEでサービスの利用登録をすれば誰でも暗証番号を見ることができるものなのか、それとも利用料を支払わないと見られないのでしょうか。
【市長】
利用料を支払って申請した方にのみ送られてくるものです。
【記者】
防犯の対策についてと公共施設なので災害時に避難所になるところも多いと思いますが、速やかに職員の方で解錠できるのでしょうか。
【市長】
防犯ということで言えば、リアルな鍵も悪用しようと思えばされてしまいます。少なくともキーボックスというものは極めて堅牢で、壊そうと思っても壊せるものではないということが各地ですでに使用されている例で実証されています。また個人で入手をしていただく暗証番号も1時間ごとに変わりますので、もちろん簡単に開けられては困りますが、体育館での悪用といって、それほど神経質になりすぎる話ではないかなと現段階では思っております。そうしたことも含めて、先ほどご質問にあった防災や災害時の対応なども、6月までの実証実験の間で課題を詰めていきたいと思っております。
【記者】
中心市街地の商業施設についてお聞かせください。パルコの閉店まで1カ月、井上百貨店の閉店までは2カ月ぐらいとなっております。両施設の後利用など、まだ不確定なところもあると思いますが、松本は商都と呼ばれる場所でもあります。閉店後の松本の商業のあり方について、市長としてどのように展望されているか今のビジョンをお聞かせください。
【市長】
ご存知のように中心市街地再設計検討会議という場を設けさせていただいて、記者会見や議会でも中間報告をさせていただいております。まずは検討会議の提言が、3月中には私のところに出されますので、しっかりと受け止めさせていただくのが今の立場でございます。また民間企業によるポストパルコ、あるいはポスト井上といった動きは水面下で行われると思いますので、その結果を見定めていきたいと思います。
【記者】
商業振興という観点から言いますと、大型商業施設のあとに穴があくことは大きなことだと思います。市内には個人店や、さまざまな商売をするところがありますが、市としてどのように関わり、また支えていくのかお伺いします。
【市長】
大型商業施設の後が、もし数年も何も利用されない状態が続くとなると、極めて松本にとってダメージは大きいと思います。今のところは、そうでない方向に動きが進んでいると認識をしておりますので、まずはそのことを見守りたいというのが先ほどの話でございます。そして今日、または昨日の市民タイムスのまちづくり関係の記事の中で、40代の商業主の方のコメントが目に入りました。お店を開いて20年ぐらいになるが、こんなに人出が多いことは過去にはなかったという感想と、ある意味では街全体でそれぞれが文字通り商都としてチャレンジをし、大勢の皆さんに訪れていただく努力をしていくといった意欲を示されたコメントだったなと思いました。もちろん、それぞれの状況に応じて、私たちがやるべきミクロな対応もあると思いますが、一番やらなければいけないこと、そして行政という立場でできることは何かと言ったら、人が集い街が賑わう、そしてその賑わいが活力になっていくというマクロな視点から、さまざまな政策を重層的に展開していくことだと私は思っております。また統計的なものではありませんが、我々としては、この20年間で今最も人出があり賑わいが生まれていることに一番着目をして、観光へ訪れる方も長期滞在していただける方も、そして松本に移り住む、二拠点居住、家庭を築き子どもを生み育てる、そういうことを政治が文字通り経世済民という観点から行なっているということだと思っております。繰り返しになりますがミクロについては、検討会議の提言を受けて、松本駅お城口周辺が40年、50年の単位で古いものと新しいものが入れ替る、そのまちづくりの方向性を民間資本の投資を促していくような取り組みにしていきたいと思っております。
【記者】
スマートロックについて追加でお尋ねします。一連の流れを見ると、スマートフォンも持っていないとほぼ利用できないと思いますが、本格導入をされた際に窓口対応は完全に無くすお考えでしょうか。
【市長】
原則的にはそうであります。団体利用ですので、スマートフォンの利用がどなたもできないことはないというのが基本的なスタンスであります。これも6月末までの実証実験の間に、必ずしもそうでない方もいるのではないか、そのための対応も残しておく必要があるのではないか、ということは念頭に置いておきたいと思いますが、やはり利用者の利便性の向上と、そういうところに人手を割かなくて済むということになれば、本当に必要な部分へサービス向上のために職員の労力を振り向けられますので、デジタル化、あるいは合理化、効率化については、スマートフォンを所持していない方々への目線を忘れることなく、一方でスピードを緩めないで進めていけることが望ましいと考えております。
【記者】
担当課の方がいらっしゃるのでお聞きしますが、最終的に101施設に導入する場合、どれぐらいの予算なのか教えてください。
【市長】
まず物理的に設置できないものがゼロではないと思っていますので、6月末までの実証実験の中で、本当に101施設に付けられるかどうかが大前提であります。1個あたりの電子キーボックスの価格は2万円程度でございます。
【秘書広報室】
以上を持ちまして、市長定例記者会見を終了します。
※この内容については、重複した言葉遣いや、明らかな言い直しがあったものなどを整理した上で作成しています。