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令和7年1月21日 市長定例記者会見
【資料1 1月6日工事開始 松本城 旧博物館解体工事 登城はぜひ太鼓門から】
【市長】
私からは、松本城に関連して3点お伝えします。
松本城は、今年元日から昨日(1月20日)までで、合わせて3万人余りの方に観覧いただいておりますが、今月(1月)6日からは、旧博物館の解体工事が始まっています。現在は、仮囲いや足場の組み立て、資材の搬入などを行っていますが、左側の写真(資料1)にありますように、大名町から正面の松本城公園への入り口のところは、通行幅を2メートル程に制限しています。解体工事は、2・3月に建物内部のアスベストの検査などを行いまして、建物本体は、今年の6月から7月末にかけて解体します。下の写真(資料1)のように、外堀の南側から東側にかけてぐるっと回る形になりますが、建物本体が解体されてなくなる夏以降は、東側から天守を見ることができるようになります。
本来、正式な登城ルート、正門は東側の太鼓門で、これから博物館の解体工事が始まると、真正面からの入り口がなかなか窮屈な状態になりますので、できる限り太鼓門を通って入っていただけるように、観覧に訪れた方々などにはお伝えしていきたいと思っています。松本城公園の正面のところに図入りの看板(資料1)を立て、そうした呼びかけを行っていきます。
ちなみに、太鼓門につきましては令和3年から耐震工事を実施していますが、今年の秋頃には完了する予定です。1595年頃に石川康長によって築造され、お城の入り口を守るためのさまざまな工夫が行われています。門を二重に構えた枡形門で、門の石垣に使われている玄蕃石は、松本城で最も大きな石です。こうした見どころもあることから、今年、博物館の解体工事期間中、できるだけこの本来の登城ルートの太鼓門から入場していただけるように、さまざまな呼びかけをしていきたいと思っています。
夏以降は建物の下の基礎部分を解体するということですが、基礎部分の外周部についてはそこに残すことになっています。結果として、10月末にこの解体工事は完了しますが、取り壊し後は当面更地にして、何らかの利用をしていただけるようなことを考えているところです。
【資料2 今週末 1/24(金)・25(土)・26(日) 国宝松本城氷彫フェスティバル2025 松本城公園・外堀大通りで分散開催】
次に、今週末に開催される松本城氷彫フェスティバル2025についてご説明します。今申しあげましたように、旧博物館の解体工事が行われる関係で、従来、旧博物館前を活用して行われていたイベントがそのままではできないということで、今年は松本城公園と外堀大通りで分けて開催します。メインの全国氷彫コンクールチャンピオンシップは、従来と同様に松本城の内堀の南側のところに制作・展示場所を設けます。一方、氷のジャンボ滑り台は、旧博物館前から西側に移動して、チャンピオンシップ氷彫展示場所の向かい辺りに設置します。
それ以外のステージイベントやワークショップは、外堀通りの北側の歩道スペースを会場とします。ジャズ・大道芸のパフォーマンス、蟻ケ崎高校書道部のパフォーマンスなどが予定されています。また、甲冑姿のアルプちゃんや、姫路市のキャラクターのしろまるひめなど、6体のキャラクターが撮影会などを行います。
従来通り、このフェスティバルに先立つ形でまちなかの展示も予定しています。駅前広場、美術館前といったところで氷彫をご覧いただくことができます。
ぜひ、大勢の市民の皆さん、松本城に観光などで訪れる皆さんに楽しんでいただければと思っています。
【資料3 12月から実施中 松本城堀浄化対策事業 内堀南西部 R6.12~R7.12まで実施】
3点目は、昨年度から行っている堀の浄化対策事業のしゅんせつについてです。令和5年度に行いました内堀の東部、左側の図(資料3)の白く塗ったところですが、この内堀東部のしゅんせつをした結果が、この作業前と作業後の写真です。ぱっと見なかなか違いが分かりにくいかもしれませんが、作業前は、浅いところは10センチも水かさがないといった状況で、水面から堆積物までの深さが平均20センチぐらいしかありませんでした。令和5年度のしゅんせつが終わった後は、今最も深いところで1メートル30センチの水深となっておりまして、見た目も魚が生息する環境にとっても、極めて良好な状態に変わっています。
今年の1年間、去年の12月からは、この赤く塗った部分の内堀の南西部、一番目につくところのしゅんせつを行います。面積で8千平方メートル余り、土の量で7500立方メートルに及ぶものです。できるだけ景観を損ねないように、ブイや重りは黒く塗り、配管はなるべくお堀の際の方に寄せることで、天守閣とお堀をセットで撮影することの妨げにならないよう工夫をしながら、作業を進めていきたいと思っています。
そして、この作業そのものについても訪れた方々に関心を持っていただけるように、日本語と英語での看板を設置し、具体的な方法について説明をするモニターを設けるといったことで、今回、令和11年度までで全ての堀をしゅんせつする予定ですが、そうしたプロセスにも興味を持っていただいて、松本城の歴史、これからの松本城の在り方に思いをはせていただければと思っているところです。
私からは、松本城に関して3点ご報告しました。
【記者】
旧博物館の解体工事に関してお伺いします。10月末で取り壊し後の跡地は当面更地にというお話でしたが、いつ頃こういう風に活用したいというお考えはあるのでしょうか。
【市長】
まず、建設されたときの高さまで盛り土を削って砂利敷にするというのが当面の対応です。将来的な整備計画、これからの10年間につきましては、昨年の3月に策定した史跡松本城整備基本計画というものがありますが、跡地について何らかの着手をするということは盛り込まれていません。この跡地は、古山地(こさんじ)御殿跡という施設のあった場所ですが、この古山地御殿跡を、将来的に何らかの整備をするのかどうかということにつきましては、第2期以降、10年後以降に改めて文化財課で検討していくことになるものです。
【記者】
この跡地は当面更地にということですが、ここの場所は北アルプスと天守を一緒に写すのになかなか良い場所だと思っているのですが、立ち入ることはできるようにするのでしょうか。
【市長】
そうです。
【記者】
更地の活用ですが、例えば、今の大手門の枡形広場のように、イベントの会場として活用するというお考えはありますか。
【市長】
基本的には、広場として立ち入れる状況にします。博物館の前で、氷彫フェスティバルのステージイベントが行われていたり、3X3の試合が行われたりという活用をこれまでもしてきましたので、そうしたものを含め、どういう活用をするのかというのは、具体的な事例を踏まえて判断していきたいと思っています。
【記者】
今回、史跡の内部での工事ということもあって、例えば大型の重機や車両が土橋を通過したり、内部で結構振動や騒音を伴う工事だったりが予想されるわけですが、何か文化財を保護する対策をされていたら教えてください。
【市長】
今、入り口のところは解体工事現場まで非常に厚い鉄板を引き、そうした地盤の低下などが極力ないように行っています。先ほど、建物を解体しますが、基礎部分については、内部の壁や床は取り除きますが、外構的なものについては残すと申しあげました。それこそが、遺構を破損する恐れがあることを意識しての対応でして、一番はその点かと思っています。
【記者】
トランプ大統領の就任についてお伺いします。だいぶ多様性が後退するのではないかという懸念もありまして、男性と女性の二つの性別のみを認め、それ以外のジェンダーの存在を認めないという方針も示されています。例えば、松本市が今までやってきた政策や臥雲市長の考え方と異なる点も多いと思いますが、トランプ大統領の就任について率直な受け止めをお願いします。
【市長】
外国の話ですので、我々が何か直接的な影響を及ぼせる、あるいは直接的な影響を受けることではないことがまず大前提だと思っています。また、アメリカの中でも国論を完全に二分するような、いわば社会の分断がトランプ政権の復活の前からずっと続いているわけでありまして、それが今回、どういう選択をアメリカ国民がするかという中で、トランプ大統領が掲げている、偉大な国として復活するのだという選択をアメリカ国民がしたということだと思います。結果として、今、就任演説やその後の発言などで明らかになりつつありますように、対外的な自由貿易の在り方は相当関税を設け、自国産業を守るという方向に大きく舵が切られそうです。また、移民の受け入れの制限も強烈な形で実行すると発言されています。大統領は、今のこのダイバーシティについても否定的な側面が強いという認識です。さらには、気候変動を踏まえた脱炭素社会への移行についても今のペースで進める必要はないということで、アメリカ国内では化石燃料を積極的に使っていこうと、この5年、トランプ大統領が一旦退任した後の世界全体の潮流とは違う方向を大きく示されていると思います。上下両院とも共和党が多数を持っているということは、少なくともこれから4年、アメリカの政治はそういう方向に動いていく可能性が極めて大きいということです。そのため、我々が松本市において執行したいことや日本政府が執行したいことと必ずしも歩調が合わないとしても、現実に起きることは今申しあげたような方向で物事が進むと思っていた方がいいと思いますので、その上に立って、自分たちが執行することをどのようなことで一歩一歩進めていけるかという取り組みをしていきたいと思います。
【記者】
博物館の解体に伴って太鼓門の方のルートを通ることを推奨されるということですが、これを機に正式な登城ルートを太鼓門の方に持っていくというある意味いいチャンスとも捉えました。堀を整備していく上で、もともとなかったという土橋の在り方について、以前にも何年か前の議会で、避難所になっているから車両も通れた方がいいから残したほうがいいという議員の発言もあったかと思うのですが、その本来のルートとして太鼓門の方を今後採用される考えがあるのかということと、整備をしていく上で土橋を残していくかどうかの方針をお聞かせください。
【市長】
かつてから今も、本来という意味で言えば、太鼓門から入るのが本来の登城ルートだということには変わりがないのだと思います。歴史的にそういうものだったということと、大名町から土橋を作って真っすぐ入るような今の状態は、本来の登城ルートが変わったということではないというのが、まず基本的な認識です。その上で、本来の登城ルートを通ってみましょうとこれから呼びかけていきますが、先ほども申しあげましたように、夏ごろには建物が全くなくなって、こちらからぐるっと回ることで、松本城公園に入るまでの一つの趣のあるこのルートと言いますか、道すがらになるのだと思っています。将来的には、まだ最終的な議論はこの春以降になりますが、市民の皆さんに対して私たちが提示している市役所の在り方からすれば、本庁舎がなくなって、三の丸エリアにふさわしい何らかの活用をしていただく場所にしていこうと考えています。そしてその際には、松本城と今の本庁舎の間の道路は、できるだけ車の通行が抑制できる道路にしようというのは、併せて庁内的には検討しているところです。より、この本来の登城ルート側への道すがらということの必然性を、将来的に作っていきたいというのが我々の考えです。そして、そうなったときには、今の歩道の幅や在り方も併せて見直しをしていきたいと思っていますが、その前に、まだそれはかなり中期的な話ですので、できれば今、こちらを通っていただく現状の歩道はかなり狭いですし、路面も少し荒れた状態になっていますので、今、庁内的には、この本来の登城ルートの歩道部分を当面快適に歩いていただけるような修繕を考えていきたいということで、検討しているところです。その上で、土橋の取り扱いにつきましては、今の南西外堀の復元に当たって先ほどご指摘になった議論が庁内的にもありましたが、今の我々の計画は、土橋を残しながら南西外堀は復元をしていくということで進めています。本来の登城ルートに回っていただくことを優先しながら、一方で、真正面から入っていただく経路も残すというのが私たちの基本的な考えです。
【記者】
中居正広さんの問題でのフジテレビの件でお聞きします。現在、フジテレビでのコマーシャルの差し止めの動きが広まっていて、コマーシャルだけでなく、行政がらみでいくと、総務省や消防庁が、フジテレビのドラマとタイアップしたポスターの配布を延期するなど、行政当局とフジテレビの関係にも影響が出始めています。松本市は観光地なので、これまでもフジテレビのドラマやバラエティー番組のロケに協力する場面がたくさんあったと思います。具体的に言うと、29年前は『白線流し』の舞台になったとき、撮影協力という形で、オープニングでクレジットが入ったということで、そのように、フジテレビに限らずテレビ局のいろいろな撮影協力の関係がありますが、フジテレビの撮影協力について今後どのようにされるのでしょうか。例えば、協力を一時的に見合わせることを検討するのか、協力はするけれども番組のオープニングやエンドロールなどの表示を見合わせてもらうのか、何か検討していることがもしあれば教えてください。
【市長】
現段階では検討していることはありません。その前提として、現在何かドラマのロケをしていただいているとか、これからロケをしたいという申請がすでにあるという状態ではありませんので、直ちにこの対応を検討しなければいけないという状況にはないと思っています。今後のことにつきましては、まだ中居正広氏とその女性のトラブルに関する和解事案の事実関係というものが明らかになっておりませんし、今回、広告の停止といったような動きが広がっている一番の根本は、この問題に対するフジテレビの社長の記者会見の在り方、その形式と内容といったことに、スポンサー企業をはじめとした利害関係者の皆さんが、コンプライアンス、ガバナンスといったことで疑問を抱いたという要素が大きいのではないかと受け止めています。いずれにしましても、今後もし、そうした疑念や批判をどのように払拭されるのか、その結果も見極めた上で、もしそうした申し出があったときには判断をしていく必要があると思っています。
【記者】
昨日の知事と中核市長の懇話会のことでお伺いします。市長の方で、県立高校の特色化という提案をされたということで、ブリーフィングのときに、先日の総合教育会議の中で話が2点あって、1点は今の県立高校が何をやっているかわからないという皆さんの共通認識があって、だから中学生が高校生に直接話を聞く場などを県とも一緒に作っていくという方向性だったと思うのですが、もう1点、何かあったのかというのと、そこについて何か昨日議論があったのか教えてください。
【市長】
総合教育会議の中でも意見交換で出ていたと思いますが、あれは公開で行いましたので、情報公開をもっとしてほしい、情報発信をしてほしいというさらに前提の部分で、今の松本市内の県立高校のそれぞれの高校のありようが、文字通り「特色のある高校」という意味で、少し十分でないという受け止め方を多くの市民の皆さんがされていると私は受け止めているということを申しあげました。これは直接的に私たちの権限の範囲の話ではありませんので、県立高校の管理・運営に当たる長野県であり長野県教育委員会に対して、再編の話とは別に、再編の対象になっていない松本市内の高校の在り方などについても、より学校現場と共に模索をしてほしいということを、教育改革会議では申しあげましたし、そうした意見があの場でも出ました。そのことを知事には昨日お伝えさせていただいたということです。
【記者】
観光のところで、知事と宿泊税の話は出ましたか。
【市長】
ここで申しあげられるような話としては出ていません。
【記者】
3月のJRのダイヤ改正についてお聞きします。JR東日本が、特急あずさの利便性を増すと言っています。ポイントは、一つは東京始発が1本から5本に4本増えることで、もう一つが白馬から東京に戻る時間を早めて、白馬滞在の主に外国人観光客が東京に戻りやすいようにすることのようです。他にも車両編成が増えたりということで、3月以降になりますが、市長はJRのダイヤ改正をどのように受け止めていますでしょうか。
【市長】
松本市にとって中央東線あずさという存在は、これからリニアの開通なども将来的に見据えたときに、非常に重要で、どのような形でこの後本当に存続させていけるのかという大きな問題だと思っています。これまで、長野県や山梨県、松本市や沿線自治体があずさに対する問題意識として持っていたのは、高速化と言いますか、5分でも10分でも速度を上げる方向で、単線区間の見直しや東京都内の区間の複線化といったことを求めてきました。ただ、JR側からすると、これが極めて現実性の乏しい、投資効果を見込めないということで、ほとんど動かない状況が続いてきました。一方で、この超高速化の鉄道がこの先開通してくれば、そこでの時間短縮よりも、快適性や定時制といったことに比重を移して、あずさの問題はJRと共に検討していくというスタンスに、長野県も山梨県も変わりつつあります。これは、松本市としても同様の認識に立って進めたいと思っていたことですので、今回、そうした自治体の動きとどういう連動があった結果かは分かりませんが、東京始発が増えたということは、一つ我々が求めていたことのポイントでした。そのため、東京始発が夕方の時間帯で増えたということは、我々としては前向きな見直しとして受け止めています。できれば、松本初の上りの列車が新宿止まりでなく東京まで行くというのも、例えスピードがそこで落ちたとしても、中央線快速などに乗り換えをせずに東京まで行けるということは、非常に利便性・快適性ということで大きいと思っていますので、JRに対しては、東京発着のさらなる増便を要望の機会があれば申しあげていきたいと思っています。いずれにしましても、Wi-Fi環境の充実をはじめとして、あずさの目指す方向は、東京と松本、さらにはその先に上高地などもにらんだ旅行・観光需要に対しての充実ということで、リニア新幹線との差別化を図っていくことだと思っています。極めて、コロナからの需要の急回復で、あずさの利用者は好調だと受け止めていますが、それがさらにプラスの方向に行くことを期待したいと思っています。
【秘書広報室】
以上で市長定例会見を終わります。
※この内容については、重複した言葉遣いや、明らかな言い直しがあったものなどを整理した上で作成しています。