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学都松本推進事業
住民の寄付によって旧開智学校校舎が建設され、旧制高等学校を積極的に誘致するなど、松本市は、学びに対する市民の意識が高いまち“学都松本”として発展してきました。現在では、博物館・美術館・公民館といった社会教育施設や大学などの教育機関が充実し、また、スポーツ・文化芸術活動が盛んに展開されています。松本市では、教育を重んじる風土を継承し、市民の日常の学びの充実を目指して、“学都松本”を推進する多彩な事業を展開しています。
1年間を通じて、体験的なイベントや教育施設や専門家の連携によるイベントを開催しますので、新たな価値が生まれる「豊かな松本の学び」を、ぜひ体感してください!
令和7年度 学都松本推進事業(予定)
未就学児のための美術ワークショップ 「アートのABC」
自由な表現活動によって豊かな感性と表現力を育む連続講座。原則として第1回から4回すべてに参加できる方が対象です。出来上がった作品はすべてお持ち帰りいただけます。
日程 令和7年4月26日(土曜日)、7月5日(土曜日)、9月13日(土曜日)、11月1日(土曜日)
会場 松本市梓川アカデミア館 第2ギャラリーまたは野外公園
料金 各日500円(材料費含む)
定員 先着15人
講師 山崎英樹氏
詳細やお申込みは、事業のホームページをご覧ください。
図書館トークライブ ~ライブラリレーまつもと~
「地元の人が活躍する場」をテーマに、市民の方を講師に迎え、講演会形式・ワークショップ形式の企画を行います。月に1回程度開催します。
第1回は、身近にある外来植物について学び、駆除の体験をします。
日程 令和7年4月26日(土曜日)午後1時30分~午後3時30分
会場 松本市中央図書館 3階視聴覚室
定員 20人
詳細やお申込みは、事業のホームページをご覧ください。
パラ☆スポくらぶ
障害の有無に関わらず、みんなで一緒にパラスポーツを楽しみましょう!ボッチャ、車いすバスケットボール、車いすテニス、フライングディスク等のパラスポーツを体験します。年に15回程度の開催を予定します。
日程 土曜日(年に15回程度を予定)・午後2時~午後4時(受付:午後1時45分から) ※初回は令和7年4月26日(土曜日)
会場 市内体育館 ※初回は南部体育館
対象 小学生以上(障がい者の有無に関わらずどなたでも参加可) ※松本市内在住・在学・在勤優先
詳細やお申込みは、事業のホームページをご覧ください。
親子体操教室
市内の体育施設を広々使って親子で一緒に体を動かします。自宅でも実践できる親子の触れ合いから、自宅では取り組みにくい身体活動、同年代のお子様と複数人で楽しむ経験などを通じて、子どもの心身の健康的な発達を促す教室です。
日程 毎週木曜日 午前10時30分~11時30分 各10回(前期5月22日~7月24日、後期10月2日~12月18日)
会場 市内体育館など
対象 2歳以上の未就園児とその保護者 ※申込期間に2歳に達している未就園児から対象
受講料 各期・1組3,200円 ※保険料を含む。初回時に現金支払い。子どもが1名追加となる毎に300円プラス
講師 保育士や健康運動指導士、スポーツ指導者等の資格を持った外部講師
詳細やお申込みは、事業のホームページをご覧ください。
現在計画中の事業
【5~6月を予定】文化財探訪その2
【5~7月頃を予定】文化財を守ろう市民アクション ~オオキンケイギク~
【7月以降を予定】教職員研修を市民の学びに
【7月・10月を予定】松本城下町の舞台
【7月下旬を予定】夏休み 学校給食センター親子見学会
【8月以降を予定】図書館・博物館のお仕事探検ツアー
【10月を予定】ファミリースポーツカーニバル
【11~12月を予定】まつもとだいず大作戦 ~食改さんとお豆腐作り~
令和6年度 学都松本推進事業(開催済みのイベント)
未就学児のための美術ワークショップ ~アートのABC~
5月24日(土曜日)に、松本市梓川アカデミア館で第1回「五月の青い空に泳ぐ鯉のぼりをつくろう」を開催しました。用紙を好きな形に切って床で色を塗る子、手に絵の具を塗って壁の鯉のぼりに手形をつける子など、制約のない空間のなか、自由な発想で伸び伸びと作品づくりを進めました。出来上がったのはどれも「天才的な」作品ばかり。今後の3回のイベントでも、どんな作品が出来上がるのか楽しみです。
今回は松本短期大学と連携し、米窪准教授のゼミから保育士を目指す5人の学生さんが参加してくれました。子どもたちの製作意欲をかきたてる学生さんの声掛けは、絶妙でした。
「学びに、遊びと体験を。」は学都松本の大切なコンセプトです。子どもたちの無限の可能性を広げる環境と、それを支える多様な人々の活動を、学都松本推進事業を通して紹介していきます。
文化財探訪ツアー ~四賀会田宿~
5月26日(日曜日)は、四賀地区の会田宿でまち歩きを開催しました。会田宿は、善光寺街道の難所「立峠」の南に位置する重要な宿場です。当日は、地元で歴史・文化を調査研究する市川さんから、街道や宿場のほか信仰や地質についても幅広く説明をいただきながら、会田宿から立峠の麓の岩井堂までの坂道を上がり続けました。周辺が山岳信仰の場だったことや石炭が採掘されていたことなど、宿場の周辺の様子を実地で知り、会田宿の暮らしや生業を総合的な視点で体感的に知ることができました。
市内各地にはそれぞれの地域に根付いた文化財があり、それを調査し普及するために活動している人々がいます。その想いは、松本城や旧開智学校校舎を保存した先人たちから継承された、学都松本の気風です。文化財を通して地域のアイデンティティを後世に伝えることを、学都松本推進事業でも大切にしていきます。
まち歩き ~時の鐘と松本城下のくらし~
6月10日の「時の記念日」にちなみ、6月9日(日曜日)に、時計博物館と城下町に時を知らせた鐘をめぐる、まち歩きツアーを開催しました。時計博物館の小林学芸員を講師に、まず、時計博物館で、江戸時代の時間の制度や、当時に使われた和時計の仕組みを聞きました。時計が貴重だった時代に、庶民が時間を知ることはとても重要だと分かったところで、松本城下町の散策です。まずは、松本城の太鼓門。かつては、櫓門の横に太鼓と鐘が設置され、ここから城下に時刻を知らせたそうです。次に向かった旧念来寺の鐘楼は、太鼓門から鐘の音が聞こえると、鐘を鳴らしさらに遠方へ時刻を知らせる役割がありました。こうした特別な鐘楼だったため、当時のまま保存されています。
「時」をテーマに時計博物館と現地をめぐる見学会でしたが、博物館だけでは「へぇー」で終わってしまうところを、まち歩きをセットにすることで「なるほど」と体感的に知識を得ることができました。これも、博物館と現地の文化財がともに豊富な、学都松本らしい学びだと感じました。
文化財を守ろう市民アクション ~弘法山古墳~
6月15日(土曜日)は、弘法山古墳に繫茂する特定外来生物のオオキンケイギクの駆除作業を、市民参加で実施しました。作業の前に、文化財課の発掘調査担当者から弘法山古墳の説明を受け、古墳時代の早い時期に造られ、前方後方墳という東日本に多い形であること、石は薄川や田川、奈良井川のほか梓川のものが使われていたこと、古墳に埋葬された人物は南松本駅周辺にあった集落に関係する人物であることなど、松本の歴史にとって非常に重要な文化財であることが分かりました。その後、「自分の手で弘法山古墳を守る」という高いモチベーションで、急な斜面に苦戦しながら駆除を進め、作業後に、参加者全員で古墳の最上部からまちを眺めたとき、当時の有力がここに古墳を作った理由が分かった気がしました。
貴重な文化財も、管理をしないと荒れていく一方です。今後も、学都松本推進事業では、参加型・体験型のイベントを企画していきます。
特別天然記念物に学ぶ ~白骨温泉の地形・地質のふしぎ現地見学会~
6月17日(月曜日)は、国の特別天然記念物に指定される「白骨温泉の噴湯丘と球状石灰石」について、現地で学ぶイベントを開催しました。講師は、信州大学の大塚勉先生です。現地見学の前に白骨温泉について座学で学びました。白骨温泉の白いお湯は、南の海のサンゴ礁がプレートの動きによって白骨の地に運ばれ石灰岩となり、湧き出る途中の温泉がその成分を溶かし込んだものとのことです。実際に白骨温泉を歩いてめぐると、温泉の炭酸カルシウム成分が白く固まった石灰華があちこちに見られます。特に、新たに整備された観察デッキ周辺では、高く重なった石灰華の層を見ることができ、白骨温泉の力強さと、何億年もかけた大地の壮大な動きを、まざまざと実感しました。
身近な温泉が、信州大学による研究の素材となり市民の学びの題材となることも、学都松本ならではです。引き続き、大学等との連携により、市民の学びの充実を進めていきます。
松本城下町の舞台見学会~天神祭~ ※自主参加事業
7月24日(水曜日)に予定していた松本城下町舞台の見学会は、雨予報のため中止となりました。しかし、当日は曇り空だったため、自主的に見学していた参加者がいたため、職員も一緒に見学しました。舞台(山車)が防水シートに囲われたり、舞台庫から出る時間が例年よりも遅くなるなど、十分な見学にはなりませんでしたが、天神祭の熱気を現地で体感することができました。10月の神道祭の際には、市街地の大名町に舞台が勢揃いします。そこでは、解説付きの見学会を予定していますので、ぜひお楽しみに。
夏休み給食センター親子見学会
7月24日(水曜日)から27日(土曜日)にかけて、市内3か所の学校給食センターで、親子向けの見学会を開催しました。西部、東部、波田のセンターのいずれも定員を越える応募があり、合計で約180人が参加したとても人気の企画です。調理場で野菜を洗ったり大きな鍋を使うなどの調理を疑似的に体験することで、普段食べている給食がどうやって作られているかを知ることができました。また、給食の試食では、味付けの工夫や栄養摂取量の調整など、家庭での調理に活かせる説明が栄養士からありました。子にとっては「食べること」を、親にとっては「作ること」を考える機会となり、楽しく体験的に食育を推進することができました。
松本城の歴史 夏休み子ども勉強会
晴天に恵まれた7月27日(土曜日)は、夏休みの自由研究におススメの「松本城の歴史 夏休み子ども勉強会」を開催しました。多くの親子に参加いただき、松本城研究専門員の案内で城下町を歩いて江戸時代の痕跡を探しました。昨年まではまち歩きだけでしたが、今年は、新しい博物館とのコラボ企画が実現。日本最大の城下町ジオラマに子どもたちも興味津々で、実際に歩いたコースをジオラマで振り返り、たくさんの発見や気づきがあったようです。まち歩きとジオラマがセットになったイベントは、子どもだけでなく、大人でも楽しめる学都松本の新たな体感的な学びになりました。
図書館・博物館のお仕事探検ツアー
8月5日(月曜日)は、図書館と博物館を「仕事」の視点で見学する、お仕事探検ツアーを開催しました。休館日だった図書館では、司書に教えてもらいブックポストに入れられた図書の返却作業を体験。バックヤードでは電動で動く書棚なども見学し、普段は見られない裏側を知ることができました。博物館では、学芸員が古時計の解体調査を実演し、縄文土器に触れるなど普段の見学にはない特別な体験を行ないました。施設はもちろん、そこで働く人や仕事自体にも興味を持ってもらうことは、キャリア支援の一環として大切なことだと考えています。参加してくれた子のなかから、将来の図書館や博物館が担う人が出てくれたらうれしいです。
松本城下町の舞台~神道祭舞台展示~
10月2日は、四柱神社の例大祭である神道祭にあわせて、大名町に展示された「松本城下町の舞台」の見学会を実施しました。7月の天神祭りの見学会は雨天のため自主参加事業となりましたが、今回は晴天に恵まれ、一堂に展示された舞台を文化財課職員の案内で見学しました。参加者だけでなく、外国人旅行客や地域探検をする地元小学生なども一緒になり、多くの皆さんと地域の文化財への理解を深める機会となりました。解説があることで、繊細な彫刻や華やか装飾などをじっくりと見ることができ、製作者の想いなど文化財の裏側にある歴史に触れられました。文化財は、ただ古くからそこに「ある」だけではなく、地域住民が脈々と「残す」活動を続けてきたからこそ、現在の私たちが触れることができます。その人々の活動も「学都松本」の一部であり、松本市民の気風でもあります。「学都松本推進事業」では、こうした市民の気風を後世に伝えていくことも目指して、今後もイベントを企画していきます。
だいず大作戦~食改さんと親子でお豆腐づくり~
11月30日に、親子でお豆腐をつくる体験イベントを開催しました。お豆腐の原材料が大豆であることを知らない子もいて、どうやってお豆腐ができるのか、「?」からイベントが始まりました。制作過程で、豆乳を飲んだり、湯葉を食べたり、おからを食べるなど、一つの食材から様々な食品ができることやお豆腐作りの大変さを体感することができました。実際、なべ底に大豆を焦がしてしまったり、上手くいかない場面もありました。多くの参加者から「難しかった」という意見をいただきましたが、それと同時に、「楽しかった」「もう一度やりたい」といったご意見もありました。
松本市は『学びに、遊びや体験を』を大きなテーマに掲げています。遊びのなかから得られる学びの楽しさと、そこから広がる「なんでだろう?」「こうすればいいかな?」「やってみよう!」といった探究心は、すべての子どもがもつ無限の可能性です。今回のお豆腐づくりも、実際に自分でやったからこそ「失敗」や「発見」が得られ、それこそがこのイベントの最大の成果だったと思います。親御さんは、思わず手を出したくなる場面の多かったと思いますが、ぐっと我慢していただき、ありがとうございました。
映画「手でふれてみる世界」上映会&トーク
信州大学人文学部と連携した映画観賞会の第2弾として、イタリアの視覚障がいのある老夫婦が、自ら手で触れて鑑賞できる美術館を創設したドキュメンタリー映画「手でふれてみる世界」を鑑賞し、上映後には、映画監督の岡野晃子氏、信州大学人文学の金井直教授、松本市美術館長の小川稔氏によるアフタートークを行ないました。
触れることで得られる情報の豊かさ、美術館の展示の在り方、インクルーシブな社会など、多くのことを考えさせられる映画でしたが、アフタートークでの参加者の関心は、「どうしてイタリアでは手でふれる美術館ができたのか」ということでした。岡野監督からは、イタリアでは1970年代から学校の特別支援学級が廃止され、障がいを持つ方を特別視することなく包括的な社会になっていることが語られました。また、金井教授からは、日本では、彫刻は美術館の鑑賞物であり触れないことが当り前になっているが、イタリアは、美術館という概念より前から、彫刻は屋外にあり触れられるものだったとの説明がありました。最後には、実際に彫刻を触って鑑賞するワークショップも行い、豊かな学びにあふれた時間になりました。
松本城のお堀を極めるツアー
現在、松本城のお堀の堆積物を取り除く浚渫作業が行われています。「学都松本」として、これを学びの機会にしようということで、「お堀」をテーマに作業見学と図書館・博物館を組み合わせたツアーを実施しました。図書館では、普段は書庫に保管されている明治時代初期の松本城の絵や、一般貸出している専門書などが紹介され、松本城への理解を深めることができました。その後、松本城公園に移動し実際の浚渫作業を見学。江戸時代から何度か浚渫が行われていることや、現在は、浅いところで水深が10センチほどしかないことなどの説明を受け、堆積物を吸い上げ脱水する作業を間近で見ることができました。また、文化財としてのお堀を傷つけないことを大切に、匂いなどへの配慮をしながら作業を進めていることが分かりました。博物館では、城下町ジオラマで江戸時代のお堀全体の説明を受け、自然環境を利用したお堀の造成や、防御機能などを知ることができました。
お堀の浚渫作業は、場所を変えながら令和11年度まで実施される予定です。今後も、図書館や博物館の資料も活用しながら、松本城を学ぶイベントを実施していきたいと考えています。