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第33回松本市景観賞 受賞作品

更新日:2022年12月2日更新 印刷ページ表示

松本市景観シンポジウムについて

 令和4年度における松本市景観シンポジウムは、新型コロナウイルスの感染者状況等を踏まえ中止とします。

 

第33回松本市景観賞について

 松本市景観賞は、景観に対する市民意識の高揚と、良好な景観形成に向けた市民のまちづくり活動の推進を図るものとして、平成元年にはじまりました。
 第33回松本市景観賞としては、最優秀景観賞1件、部門賞3件、奨励賞5件の計9作品が受賞となりました。令和4年度までの応募総数は897件にのぼり、受賞作品数は283件をかぞえます。

 

最優秀景観賞

庭と暮らす家

所在地:波田地区

設計者:株式会社スタジオアウラ

施工者:有限会社建築工房時遊館

造園:三楽

 「森で暮らすように住まう平屋」というコンセプトのとおりに、閑静な住宅地に建てられた広々とした開放的な庭が特徴的な住宅です。自然を感じられるように庭が創られていながら一切の塀がなく、周辺の環境・人々に対して「緑の安らぎ」と「ゆとり」を感じさせ、松本ならではの住宅景観となっています。
 庭の一部分には、残土を活用して起伏が作られており、庭を単調にしない工夫が見られます。また、敷地内の住宅と植栽の配置が熟考され、松本の風土に合った樹木たちをアプローチ、中庭といった様々なアングルから感じられるよう計画されています。
 住宅部分はガレージを上手く目隠しとしており、住む方のプライバシーを確保する役割だけでなく、ガレージにはシャッターが設置されていないため、全体の解放感の一翼を担っています。
 これらの開放感を生む設えが「住宅と街の境界を曖昧」にさせ、住む人と街を繋げながら、この地区の良好な景観を形成しています。

部門賞(3件)

コレット(建築物・工作物部門)

所在地:松本市深志2-3-6

所有者:清水 永子

設計者:株式会社山田建築設計室

施工者:株式会社布山工務店

造園:株式会社縁樹

 松本駅に近いビルと駐車場に囲まれた場所にある店舗兼住宅です。現代的な外観と、建物の周り・中庭に植えられた緑とのコントラストが心地よく、小さいながらも素敵な暮らしが想像されます。
 緑化計画においては、風土を考慮し、限られた敷地内でふんだんに植えられた木々や、環境色のフェンスにつる植物を這わせる方法など、様々な工夫が見られます。東西南北全ての面に緑化が施されており、どの面も街に緑のアクセントを与えています。
 以前の建物で使われていた看板「コレット」のフォントが引き続き使われ、「コレット」の切り文字看板のみがシンプルに壁に配置されており、建物のデザインと一体化された点にも魅力を感じます。
 大型の建物が林立する中心商業地にありながら、周辺の環境に負けない魅力が詰まっており、「この場所にこの建物があること」に意味を感じさせる建物です。

チョットきれいな緑地公園(オープンスペース部門)

所在地:松本市島内7530-1

所有者:松本市

管理者:公益社団法人松本地域シルバー人材センター

 市民にもあまり知られていない郊外に立地する、豊かな緑と水が織りなす美しい公園です。松本の山野にある木々が、二十数年の月日を経て大きな樹木になり、あるがままの自然となっています。日常の公園整備もいきとどいており、緑を感じながら気持ちいい時間を過ごせます。
 この公園では湧水が活用されており、豊富な水が溢れ出す噴水、魚が泳ぐ澄んだ池、公園内部を囲むように流れる川、爽やかな水の音が聞こえてくる滝があります。緑だけでなく、松本の豊かな湧水を五感で感じることができます。

松本の家(建築物・工作物部門)

設計者:伊礼智設計室

施工者:株式会社国興

造園:荻野景観設計株式会社

 比較的古い戸建て住宅や集合住宅が多いこの地区の住宅地において、伝統的な瓦葺きの屋根と白洲壁の外壁が景観へのアクセントになっていることに加え、建物を低く抑えた端正な佇まいが近隣景観の核となっています。また、一般的に閉鎖的になりがちな住宅建築において、街との関係を融合させるような設置手法が考えられた住宅です。
 道路から車庫を通して中庭が見えるようになっており、住宅を閉鎖的にせず、緩やかに街に対して開かれていることがとても快く感じました。車庫には余計なものが設置されておらず、道路から中庭にかけての見せ方が工夫されており、通行人と緑を共有する点が魅力的です。車庫の内側には木材が使われており、中庭との調和・連続性を感じさせます。

奨励賞(5件)

ユカシカドFACTORY

ユカシカドFACTORY写真1 ユカシカドFACTORY写真2 

所在地:松本市和田4020-38

所有者:株式会社ユカシカド

設計者:創実ファシリティーズ株式会社

設計者:株式会社SNARK

施工者神稲建設株式会社中信支店

プロジェクトマネジメント:トレイルヘッズ株式会社

サインデザイン:OUWN株式会社

 工業団地内でひと際目を引く工場であり、特に壁面に個性的なフォントで大きく描かれているのが企業名ではなく施設である「工場」を示す「FACTORY」であることに新鮮さを感じます。縦筋の壁が個性的な建物に加え、南面と東面のロゴがすっきりとした印象を与えています。資材搬入口のシャッターに描かれたアルファベットにおいても、工場名の字体と統一されています。
 無機質にならざるを得ない工場の建屋に対して、駐車スペースは芝生となっており、緑化計画への配慮がされています。踏圧に強い野芝を選択し、芝生保護を施している点に工夫が見られます。
 これからの松本の工業団地の在り方を考えさせられる工場です。
 南西角の白いボックスなどの建屋以外の設備に対する配慮、また南側の公園と何らかの形で繋がる工夫があればより良くなったと思います。

爽爽のコートハウス

爽爽のコートハウス写真1 爽爽のコートハウス写真2

所在地:庄内地区

設計者:株式会社スタジオアウラ

施工者:有限会社建築工房時遊館

造園:株式会社庭蒼

 落ち着いた住宅街の端に建つシンプルですっきりとしたデザインが特徴的な住宅です。住宅街に面したガレージにはシャッター等の遮るものがなく、開放感があります。一方、人通りが多い地域の側には人から見える位置には日常的に緑を楽しんでもらえるよう、自由に育った落葉広葉樹を植えるという配慮が見えます。
 南面・東面のスリットが中庭の閉鎖感を和らげ、中庭と街を完全に遮断しないようにしています。このスリットには、住む人のためにプライバシーを守りながら中庭へ爽やかな風が流れていく工夫と、街の人々が住む人の暮らしを「ほんの少し」感じられるような気配りが施されています。このような工夫と気配りが「松本で暮らす」と「松本の景観」を両立させていく鍵ではないでしょうか。
 できれば、駐車場の側面とその周囲のコンクリート舗装に工夫があればより良くなったと考えます。

松本市医師会館

松本市医師会館写真1 松本市医師会館写真2

所在地:松本市城西2-5-5

所有者:一般社団法人松本市医師会

設計者:株式会社アーキディアック

施工者:北野・アスピア建設共同企業体

 松本市医師会館は駐車場を隔てて松本城を西から望める場所に移設して、新たな建物として生まれ変わりました。高さを抑えた建物は、近づくと少し揺らぎのあるタイルが縦貼りで使われており、圧迫感を和らげているように感じられます。タイルと同じ縦長の窓と、幾何学的で重層的な特徴のある庇が、建物全体の統一感を生んでいます。また、松本城周辺の景観を阻害しないよう配色が考えられており、松本の景観を大切にしている想いが感じられます。
 こまくさ道路側には空地を設け、道行く人に圧迫感を与えないように配慮されています。この空地には桜が植えられており、道行く人が緑を感じることができます。今後桜が成長すれば、松本城の桜たちと一緒に白と黒に映える美しい桜の景観を見ることができるでしょう。
 敷地入り口に立てられた看板のデザインや、城側の空間の扱いに建物と同じような配慮があれば更によかったと思います。

「さんぽみち」と「緑の小径」

「さんぽみち」と「緑の小径」写真1 「さんぽみち」と「緑の小径」写真2

所在地:松本市梓川倭2682-1

所有者:社会福祉法人梓の郷

設計者:株式会社倉橋建築計画事務所

施工者:山岸建設株式会社

 田園集落の入り口付近に建つ大きな三角屋根が印象的な高齢者施設です。建物の大きな屋根は、地域の伝統的な民家形式である本棟造がモチーフとなっており、「みんなが集まる大きな屋根の家」のような安心感を与えています。
 地域住民によってきれいに手入れされた敷地に隣接する歩道「緑の小径」の雰囲気を引込むように庭が造られており、緑の小径から庭まで「連続性」を感じます。もともとこの地域にあるものを建物まで引き込む工夫が施されています。
 同様に、正面のアプローチにも徒歩で来所される方への配慮があればより良くなったと思います。

里山にとけこむ住まい

里山にとけこむ住まい写真1 里山にとけこむ住まい写真2

所在地:里山辺地区

設計者/施工者:住友林業株式会社

 目前に田園風景が広がる新しい住宅地に建つモダンな住宅です。白壁を基調として、深い軒と黒い外壁タイルがアクセントになっています。
 敷地全体の植栽量がとても多く、綺麗な緑化計画となっています。住宅部分は道路から充分にセットバックされ、道路から直接見える部分にふんだんな植栽を行うことによって、周辺の環境と人々に対して閉鎖感を感じさせません。また、植栽をうまく配置することで植栽が目隠しの役割を果たし、住む人のプライバシーを確保しています。
 自然豊かな風景が残るこの地区を意識しており、緑化計画による周囲の景観への配慮が感じられます。そのような中で、敷地の内外を仕切る塀については、形が固いために印象が強い感じがしました。

 

第33回 松本市景観賞総評

景観賞選考委員会 会長 石井信行

 新型コロナ感染症のパンデミックをきっかけに在宅勤務が広がり、やや感染症が収束してきてからも一部の職場では在宅勤務が継続しています。そのような状況において、居住する家や地域で過ごす時間が増えるにしたがい、自身の生活空間に対して関心を持つ人が増えてきているという話も聞かれます。一方、パンデミックによる各国の人や物の行き来が制限されたり、ロシアによるウクライナ侵攻による各種物資の値上がりや、供給不足などが日本を含め世界的に問題となっています。また、昨今の円安も働いて、輸入に頼っていた建材や製品の価格が国産と近づいてきています。このような状況は、今後の松本市の景観づくり、まちづくりにも影響を与えるでしょう。影響が実際に現れるには未だ時間がかかるはずですが、今年度の受賞作品を見ると全体的にシンプルでありながら、人間のスケールでの気遣いが評価されたものが多いようです。
 今年度の最優秀景観賞は建築物・工作物部門に応募された「庭と暮らす家」に授与されることになりました。周囲の家に対して、2〜3倍広い敷地を有する個人住宅で、広さだけについてなら贅沢な家となりますが、その広さを地域に開き、道ゆく人が、敷地内に入ることはできないものの、その庭を共有できることを、「花いっぱい運動」発祥の地であり、オープンガーデン活動を長年続けてきている松本市の郊外住宅として提案できることを示していると評価しました。
 部門賞は、建築物・工作物部門から2件、オープンスペース部門で1件、計3件を選びました。新型コロナ感染症による活動自粛の影響もあるようで、まちづくり部門の応募自体が少なく、残念ながら受賞はありませんでした。建築物・工作物部門で受賞した「コレット」は店舗併用住宅で、無機質な金属素材の外壁に対比するように東西南北全ての面に配置された植物の緑が心地良い街角景観を形成しており、都市中心部において大規模なビルに囲まれた小規模な建築においてその存在を主張するために緑が有効であることを示しています。もう1件は、中庭を有する平屋の個人住宅である「松本の家」で、景観的なまとまりが図られて来なかった地区において、今後の景観づくりの核になるものと期待して選出しました。
 松本市景観賞は、市民の方々に選出された作品自体の良さだけではなく、選考委員会がそれらの作品に見いだした価値に興味を持って頂くことも期待しています。

景観賞選考委員会 副会長 宮沢 功

 松本市景観賞では、今までも審査基準が地域特性への配慮、松本らしさの創出等がテーマとなっていました。長年の審査の中で松本らしさとは何なのかをしっかり捉える必要があり、今年は審査を進めていく中で「新たな松本らしさ」の可能性を感じました。
 今年の応募作品には、松本にある山岳景観・自然景観の魅力をそれぞれの作品に景観として導入する試みがありました。気候や四季の移ろいによる自然景観の変化を楽しむと同時に、これらの試みによって自然景観の中で生活する人々の日常生活と感情が癒され、豊かでおおらかな気持ちに変えてくれるでしょう。松本が昔から持っている山岳景観・自然景観の奥深さは、人々の心や日常的生活に良い影響を及ぼし、松本で生活することが生きがい・満足感となり、これからの松本の未来を考えるときに、「積極的で新たな松本らしさ」を踏まえた街づくりとして発展し、山岳景観・自然景観が魅力的な要素として松本市の中で活性化すると考えます。
 今回の応募作品のいくつかは上記の要素に対して取り組んだ結果、受賞となりました。それらの内容を説明します。
 最優秀景観賞『庭と暮らす家』は、松本らしい自然景観の特徴を個人の庭として構成しており、結果として周囲の人々に対して松本らしい自然景観の特徴を伝え、周囲に自然の潤いを感じさせ、植物の生命を感じることができる「新たな松本の特性」を明らかにしています。
 部門賞『コレット』は、街中における店舗兼住宅の新たな建築様式と、街並み形成への新たな可能性を提示しています。『松本の家』も、一般住宅として松本の景観を背景に成立する新たな住宅の姿を提示していることが評価でます。上記2点は今までなかった店舗兼住宅、一般住宅における「新しい松本らしい様式」が提案され、これからの進展が期待されます。『チョット綺麗な緑地公園』は、松本における自然景観の良さを広報し、築いてもらうための提案と言えます。
 奨励賞『ユカシドFACTORY』・『爽爽のコートハウス』は、新しい町並み形成として提案され、『松本医師会館』は松本の自然の特性を施設の外溝として展開することの意味を提示しています。また、『「さんぽみち」と「緑の小径」』・『里山にとけこむ住まい』は、歴史的な松本の自然要素を活かすことが新たな視点として受賞となりました。

 

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