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松本城下北の要 武家のまちと商家のまち

更新日:2023年5月1日更新 印刷ページ表示

武家のまちと商家のまち

認定年月日

令和2年(2020年)3月27日

保存活用団体

安原地区まちづくり協議会
安原地区歴史研究会

構成する文化財(関連文化財群)

人の往来と物流由来の文化財

善光寺街道
一里塚跡

木戸・番所跡、一里塚跡
江戸幕府の街道整備制度で、1里(36町)毎に塚を築き、里程の目安としたり、旅人の一時休息の場にした。塚は、直径約9m、高さ約1m70cm、その頂に榎木か松などを植えた。萩町の北入口の道の両側に、後期小笠原藩主により善光寺街道開設時(1614年)に開設された。

石造物
追分:庚申塔・馬頭観音像・廻国供養塔・道祖神
元原:庚申塔

松本城とその時代の文化財

町割りと街路
町名
生活用水路
辻井戸

辻井戸
堀り井戸で共同井戸。上部マンホール方式で保存。深さ5m90cm、石積み井戸。中ノ丁町内には4ヶ所の井戸があった。
城下町北部(標高600m以上)は女鳥羽川扇状地の扇史部に位置し、地下水位が深く乾燥地で、生活用水確保のため、辻々に共同井戸を整備し、10戸くらいで共同利用。

橋倉家住宅

橋倉家住宅
江戸時代の武家住宅の貴重な遺構。建物は、嘉永2(1849)年の東ノ丁大火で焼失後の嘉永3(1850)年の建築。平屋1部2階建、延床面積約162平方メートル。部屋の配置は田の字状、便所は離れ棟にあり、廊下で連結。元の屋根は板葦、壁は土壁、外に辻井戸有。

宝栄寺
稲荷社
常法寺跡
木戸番所跡

木戸・番所跡、一里塚跡
<木戸>木製の開き戸の門。<番所>木戸等番人の詰め所。城下町の北入口に位置し、善光寺街道でもあったので、大木戸と番所が置かれ、出入する人身・物資改めが行われた。城下町の4方の入口、町人町から武家屋敷への入口、或いは辻々に木戸や番所があった。

鉄砲矢場跡
石造物
十王堂跡:念仏供養塔・地蔵菩薩・千手観音

安原十王堂跡(北の十王堂)
城下の安泰・安寧と住民や旅人等の人心安寧をはかる目的で、石川藩主(康長)が文禄年間(1592~1596年)建立。城下町の主要道出入口の東西南北4ヶ所に設置した。堂内に十王信仰に基づき十王堂を祭る。林昌寺の末寺として維持される。明治4年廃仏毀釈で堂、十王像焼失。

天白神社:きつね・狛犬・石灯籠・手洗鉢

天白神社
石川藩主(数正)により城の鬼門の位置に「天白道場」として建立し、場内に稲荷(倉稲魂命)と八幡(誉田別名)を祭る。数正の出身地には、天白道場があり天白信仰有。後期戸田藩主時代の1727年、岡宮神社人により、天白神社として再興され、北部武家町の土産神として祭礼は9月8日~9日に行われている。

石造物:手洗鉢(1782年)、石灯篭3対(1757・1823・1849年)

社殿内:「大天白両社」額、きつね2体、狛犬1体

摂取院跡:子育地蔵尊・如意輪観音・庚申供養塔

摂取院跡① 摂取院跡②

曹洞宗派。生安寺の末寺として1624年頃開基(当初浄土宗)

子育地蔵尊:江戸中頃、庚申塔は2基、子ども好きだった和尚の徳を偲んでの浄財で造立したと云われており、近隣は勿論遠く南信・木曽方面からも参拝された。

暮らしと伝統文化由来の文化財

ぼんぼん
青山様
七夕
提灯
神輿
七夕人形
三九郎様
オンマラサマ

ストーリー

 善光寺を目指す旅人は、安原地区で松本城下を抜け、岡田宿へと進んでいきました。安原地区は松本城下の北部にあたり、和泉町・安原町と続く町人地とその周囲に広がる武家地、明治以降拡大した市街地とで構成されています。城下町の北の口にあたるということから一里塚跡があり、さらには城下町の建設にあたった石川氏が城下の入口に設けたという十王堂の跡や石川氏が崇拝したという天白社もあり、その後水野氏時代に拡大した天白丁・中ノ丁・東ノ丁といった武家地もあって、松本城下の成立とその後の拡大の様子を見ることができます。
 善光寺街道沿いの小路や商家の土蔵、武家屋敷の屋敷割や長野県宝橋倉家住宅のような武家住宅も残り、そこには生活用水の確保のために設けられた辻井戸も残っていたりして、町人と武士の生活が隣り合う地域としての文化を今に伝えています。
 松本城下町の伝統行事であるぼんぼん・青山様を今に伝えていて、現在も辻井戸の場所がその集合地になったり、城下町の道祖神信仰を伝えるオンマラサマがまつられていたりと、古くから続く民俗行事が近世以来の町割りを舞台に営まれ、当地の風物詩となっています。

活動

 地区内文化財の調査・研究・記録保存・保存整備を継続的に行います。講演・講座のほか、安原地区ウオーキングマップを活用し、歩きながら学習する活動も行っています。地元小学校のコミュニティスクール事業では、毎年6年生の「歴史のまち歩き」の講師を務めています。文化財案内板の維持管理・新規整備にも努めます。こうした活動を通し、城下町のまちなみを残して活かし、次世代へ継承していきます。

資料

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