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安塚古墳群 1978年(昭和53年)
古墳時代終末期の古墳群
安塚古墳群は、アルピコ鉄道上高地線新村駅の西側に広がる古墳群です。
江戸時代の絵図にも古墳が描かれているように、昔から存在が知られていましたが、水田開発で古墳の地表部分は失われていて位置がわからない状態になっていました。
1978年(昭和53年)ほ場整備事業の実施に伴い、地元研究者らが連日現地の立ち合い調査をしました。
その結果、整備予定地に古墳が埋もれていることが判明、川原石を積み上げた横穴式石室を伴う9基の古墳の発掘調査が行われました。
古墳の築造年代は、出土した銙帯金具(かたいかなぐ、役人が身に着けた革帯の装飾金具)と、須恵器の形式から8世紀と考えられています。
また、火葬の骨が多く仏教文化の浸透も窺えます。
中央では既に古墳が造られなくなった時代、当地ではまだ有力者の墓として存続していたことを示していますが、ここに葬られた有力者は、おそらく奈良井川河西部の開発に大きく関わった人々だったと考えられます。
なお、調査した古墳の多くはほ場整備事業により失われてしまいましたが、石室が3つに分かれている珍しい形式の6号古墳は現地に保存され、松本市特別史跡に指定されています。
カメラでパチリ!
遺跡遠景
8号古墳
8号古墳出土品。下段は、3方向から撮影した銙帯金具。
現在の6号古墳。現地保存されており、いつでも見学できます。
6号古墳の石室。画面中央の側壁部分に石室を区切る立石が見えます。
発掘調査報告書
『新村安塚古墳群 緊急発掘調査報告書』<外部リンク>
松本市文化財調査報告16
松本市教育委員会 1979年
※書名をクリックすると奈良文化財研究所の「全国遺跡報告総覧」にリンクします。
場所を地図で確認
※地図をクリックすると「松本デジタルまっぷ」の「遺跡地図」にリンクします。
Facebook掲載(初出)
2022年12月7日