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広報まつもと1月号 新春市長特別インタビュー

更新日:2022年12月22日更新 印刷ページ表示

特別インタビュー

 松本市では、昨年2月に、教育大綱「子どもが主人公 学都松本のシンカ」を策定し、多様性・創造性・主体性を育む学びの重点施策に取り組んでいます。2023新春にあたり、松本市教育顧問の荒井英治郎氏<外部リンク>(信州大学教職支援センター准教授)をナビゲーターに、臥雲松本市長が今後の展望について語りました。

※YouTube「松本のシンカ」でインタビュー動画公開中
▶ロングバージョン

▶キーワードを詰め込んだショート動画

インタビュー内容
「子どもが主人公 学都松本のシンカ」に込めた思い
多様性・創造性・主体性を育む学び
子どもを誰一人取り残すことのないシステムの構築
個性を伸ばす特色ある教育
少人数や異年齢を活かす就学の選択肢
遊びや体験を大切にした幼児期と小中学校の学びの連携
2023年の抱負

「子どもが主人公 学都松本のシンカ」に込めた思い

荒井:教育大綱「子どもが主人公 学都松本のシンカ」に込めた、市長の思いをお聞かせください​ 

市長:私は市長になる前から、日本の教育について、「子どもが主人公」という本来で言うと当たり前のことが当たり前になっていないと感じていました。これは、ぜひ松本の教育の旗印にしていきたい。「子どもが主人公」であるということは、実は親にとっても、地域社会で暮らしている人にとっても、非常に嬉しいこと、喜びを感じること、ある年齢以下の子どもたちだけのことではないということを、皆さんにもわかっていただければと思います。 
 明治初期に地方都市松本で開智学校をいち早く開校させた先人の方々の進取の気性が、「学都」という言葉に込められていると思います。ただ、これがどこか過去のものになってしまっていないか、歴史や伝統は非常に誇らしいものであるけれど、いまの松本の教育環境は、果たして皆さんから共感をしてもらえるものだろうかという思いがありました。現状維持ではいけないだろう。もっと未来に向けて「シンカ」していくことが、松本の教育を考えるときには必要だと思います。

多様性・創造性・主体性を育む学び

荒井:感染症の拡大を受けて、これからの時代に求められる資質や能力、市長が大事にしていきたいものは何でしょうか。

市長:学びの視点として、私は、多様性・創造性・主体性の3つを、松本で大切にしていきたいと思います。予測困難で必ずしも解答が既にあるということではない時代に、子どもたちが生きていく。そのための力が、この3つの言葉に凝縮されると思っています。いま何が問題なのか、問いを自ら立てて、チャレンジをしていく。しかも1人で答えにたどり着けない難しい問題が多々あるとすれば、協調性やコミュニケーション能力、そうしたものが身に付いていないと、これから子どもたちが生きて、豊かで幸せに暮らしていくことにつながっていかないと思います。非認知能力というテストで数値化することが難しいような個性や能力というものを、松本の子どもたちに備えていってもらう、そういう教育をぜひ皆さんと共に作っていきたいと思います。

荒井:「情動」といわれるような、心を動かされる、動かしていくコミュニケーションなど、さまざまな体験が重要だといわれていますね。

子どもを誰一人取り残すことのないシステムの構築

荒井:大綱の重点の一つ「子どもを誰一人取り残すことのないシステムの構築」については、どのようなことをイメージされていますか。​

市長:発達障害をはじめとした特別な支援が必要な子どもたちが非常に増えていることや、もっとトータルで力強い支援が行 えれば、プラスの学びを誰一人取り残さず展開できることから、10年以上前に設置した「あるぷキッズ支援室」をもっとしっかりしたものに格上げし、切れ目のない支援の受け皿を作っていこうと検討をしています。「松本市インクルーシブセンター」という誰一人取り残さない支援の中心となる組織をもう一度きちんと整備していきたいと思っています。医療的サポートができる体制や、保育士や先生たちの子どもたちへのサポート研修など、さまざまな専門家の皆さんに集まってもらえる形で作っていければと思います。

荒井:行政が行う切れ目のない支援として、包摂しながら温かみのある専門的な支援が非常に重要になってくると思います。

個性を伸ばす特色ある教育

荒井:学校に対しては個性化がなかなか進まないという批判もあります。各学校に応じた個性的な取り組みを進めることについてのお考えはいかがですか。​

市長:個性を伸ばす教育や子どもたち一人ひとりに合った学びの環境は、松本のような地方都市において、特に小中学校でそうした選択肢は、当然そう多くありません。経済力や家庭環境に関わらず、個性を伸ばす、個性に沿った学びを誰もが受けられることが、本来、教育に必要なことで、公立の学校がそうしたものになっていけるかどうかが、いま問われているんだと思います。学校教育の多様化に取り組み、公立の学校で個性を伸ばす教育を、松本市が率先してやっていきたいと思います。
​ そのために、松本の小中学校の中で主体性のある取り組みによって特色を出していきたい学校に手を挙げてもらう。さまざまな支援を松本市教育委員会が行って、「子どもが主人公」、多様性・創造性・主体性を育む学びを推し進めるリーディングスクールをスタートさせ、学びの選択肢を広げていくことに取り組んでいきます。

荒井:具体的に応援したい取り組みはありますか。​

市長:具体的なイメージもありますが、校長先生、学校の先生たち、子どもたちや保護者の皆さんが、こういう学校にしたいと言ったときに、できるだけ自由にそうした取り組みができる環境を整えることが、私の仕事だと思っています。先生の人件費や人事配置は県の権限で制約がありますが、できる限りその学校の目指すことを実現していく人材の配置や費用を賄うこと。さらに、専門家のアドバイスを聞いたり、先進的な私立学校と交流したり、そうしたことを主体性を持って行っていこうという学校に手を挙げてもらい、しっかりとサポートしていきたいと思っています。​​

少人数や異年齢を活かす就学の選択肢

荒井:コロナ禍で「地方の時代」ともいわれるようになって、個性あふれる地方の教育の取り組みに市外の方も関心を持ち始めています。松本市において、教育移住などのお考えはありますか。

市長:松本にとって大きなチャンスだと思っています。どうやって働くか以上に、どこで暮らすか、どこで生きていくかということの優先順位が上がってきた。どこで子どもを育てるかも一体で、そうした選択を一人ひとりが問い直しています。
​ そのときに、公教育の多様化によって、都会の私立学校が先駆けているようなことができる状況を、まずは作る。中でも過疎地にある学校は、なかなか社会経験を積めないとか、少人数のデメリットとか、情報や知識を身につけるハンディキャップというネガティブな方向に行きがちだったところを、今この価値を逆に持っていけるような環境が整いつつあります。安曇地区、奈川地区、四賀地区のように、恵まれた自然、落ち着いた学習環境、少人数だからこそ異年齢でいろいろな学びや遊びや体験ができる。
​ ぜひ小規模特認校制度を活用して、いろいろな子どもたちにそういう学校に通ってもらえるようにしたいと思っています。今年度から始めた安曇小中学校だけではなく、ぜひ、来年度以降、地元の皆さんともしっかりと意見交換をしながら広げていければと思っています。
​ もう1つは、国内短期留学に近い、区域外に就学できる制度をもう少し前向きに捉えて、積極的に活用し、市外からの子どもたちを一時的にでも、まず学校に通ってもらえるようにする。地元の方からも要望をいただいた安曇地区で実現に向けて取り組んでいけたらと思っています。

遊びや体験を大切にした幼児期と小中学校の学びの連携

荒井:乳幼児期の教育と義務教育との関係、特に、学校間や保育施設等との連携について、どのようにお考えでしょうか。​

市長:小学校に通う前と通い始めてからの段階が途切れてしまわないように、もっとシームレスにつながる状況が好ましいと思います。特に、就学前までの幼児教育の大切さは、さまざまな研究結果として指摘されていますし、小中学校と保育園・幼稚園が一体的な取り組みをできるように、1つの仕組みとして作っていければと思います。
​ そのために、可能であるならば、保育園・幼稚園と小学校が同じ場所にあることが望ましい。幼保小中一貫の学びというものを、松本の教育・学びの1つの特色にしていけたらと考え、これもどこかでモデルとなるような保育園と小学校の一体化というものを実現していきたいと思います。

荒井:今まで学校段階で「分ける」ということが多かった中で、異年齢の他者と触れ合い「まぜる」学びは、大きな可能性を秘めています。あるべき学びのあり方を関係者で対話しながら追求していただけたらと思います。​​

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2023年の抱負

荒井:最後に今後の意気込みをお聞かせください。​​

市長:今年は兎年です。耳が長いですよね。まずはいろんな方々がこう思う、もっとこうしたらという話をしていただけるようにして、それをちゃんと聞くこと。特に教育に関しては、皆さん考えを持っておられますので、そうしたことをしっかり聞く年にしたいなと思います。その上で、「子どもが主人公」、多様性・創造性・主体性を育む学びを、松本に定着、発展させていく、その飛躍の年にしたいと思います。

荒井:教育分野ではさまざまな当事者と対話をしていくことがとても大事になってきます。ありがとうございました。

握手​​

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