本文
議会案 令和6年6月定例会
議第3号 義務教育費国庫負担制度の堅持・拡充を求める意見書
上記の議案を別紙のとおり提出する。
令和6年6月27日
提出者 経済文教委員会委員長 上條 一正
別紙
義務教育費国庫負担制度の堅持・拡充を求める意見書
2021年に公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律(昭和33年法律第116号。以下「義務標準法」という。)が改正され、2021年度から5年計画で小学校における35人学級が実現しました。
長野県の小中学校においては、2013年度に35人学級編成が全学年で実現し、複式学級の学級定員についても独自に8人としていますが、義務標準法の裏付けがないため財政的負担が大きいままとなっています。
厳しい財政状況の中、独自財源により人的措置を行う自治体もありますが、公教育において財政規模の小さな県では十分な教育条件整備ができず、教育の地域格差が生じることが懸念されます。
したがって、国におかれては、地方教育行政の実情を十分に認識し、地方自治体が計画的に教育行政を進めることができるように、下記の措置を講じられるよう強く要望します。
記
1 子どもたちの教育の機会均等とその水準の維持向上を図るため、義務教育費国庫負担制度を堅持・拡充すること。
よって、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
議第4号 へき地手当等支給率を近隣県並みの水準に戻すことを求める意見書
上記の議案を別紙のとおり提出する。
令和6年6月27日
提出者 経済文教委員会委員長 上條 一正
別紙
へき地手当等支給率を近隣県並みの水準に戻すことを求める意見書
へき地教育振興法は、へき地における教育水準の向上を図ることを目的とし、都道府県の任務として、へき地における教育の特殊事情に適した学習指導、教材等についての調査、研究及び資料整備、へき地学校へ勤務する教職員の定員決定への特別の配慮や教員の研修機会の確保などを規定しています。また、へき地学校に勤務する教職員に対して支給するへき地手当の月額は、文部科学省令(以下「省令」という。)で定める基準を参酌して条例で定めるとしています。
しかしながら、長野県は平成18年度から、1級地のへき地手当率を省令で定める基準の8分の1となる1%にするなど、大幅な減額を行いました。
現在では、地域手当の一律1月7日%分を加えると基準の3分の1程度となっていますが、へき地手当の原資は、基準に基づいて国から県に交付されているにもかかわらず、省令で定める率に準拠し、へき地手当を支給している近隣県のへき地手当支給率との間に大きな差がある状態です。
へき地学校を取り巻く生活環境・交通事情等は改善されていますが、それ以上に都市部の社会的・経済的・文化的諸条件は向上しており、相対的な格差は一層拡大しているのが実情です。へき地手当率の改善が行われなければ、へき地学校における教職員配置をはじめ、へき地教育にますます大きなゆがみが生じることは必至であり、本県の教育水準の維持及び地方自治体の将来の担い手の育成に大きな影響を与えることにもなりかねません。
したがって、県におかれては、下記の措置を講じられるよう強く要望します。
記
1 教育の機会均等と中山間地域における教育水準の向上を図るため、へき地手当及びへき地手当に準じる手当の支給率について、都市部との格差(相対的へき地性)が一層拡大している実情を十分把握しつつ、近隣県との均衡を勘案し、平成17年度以前の水準に戻すこと。
よって、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
議第5号 さらなる少人数学級推進と教育予算の増額を求める意見書
上記の議案を別紙のとおり提出する。
令和6年6月27日
提出者 経済文教委員会委員長 上條 一正
別紙
さらなる少人数学級推進と教育予算の増額を求める意見書
令和3年4月に公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(昭和33年法律第116号。以下「義務標準法」という。)が改正され、令和3年度から5年計画で、小学校における35人学級が実現しました。
しかしながら、多様化・複雑化する課題の解決を図りながら、児童生徒の豊かな学びを実現していくためには、さらなる学級定員の引き下げが必要です。
複式学級の学級定員についても長野県は独自に小中学校ともに8人としていますが、義務標準法の裏付けがないため財政的負担が大きいままです。
また、学級増に伴う教員増を臨時的任用教員の配置により対応していたり、小学校の専科教員が県基準ではなく国基準の学級数で配置されているなど、課題もあります。
学校現場では、膨大な業務量に加え、一人ひとりの子どもに寄り添った対応が求められ、深刻な人手不足の状況です。教員は多忙を極め、教材研究や授業準備の時間を十分に確保することが困難な状況となっています。
子どもたちの豊かな学びを実現するためには、さらなる少人数学級推進と抜本的な定数改善計画に基づく教職員定数の見直しが不可欠です。
したがって、国におかれては、地方教育行政の実情を十分に認識し、地方自治体が計画的に教育行政を進めることができるように、下記の措置を講じられるよう強く要望します。
記
1 どの子にも行きとどいた教育をするために、さらなる少人数学級推進と教育予算の増額を行うこと。
2 複式学級の学級定員を引下げること。
3 教職員定数の基礎定数算出に用いる係数を引上げること。
よって、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
議第6号 障害者相談支援事業等を社会福祉法上の社会福祉事業と位置付けて消費税非課税事業とすることを求める意見書
上記の議案を別紙のとおり提出する。
令和6年6月27日
提出者 厚生委員会委員長 牛丸 仁志
別紙
障害者相談支援事業等を社会福祉法上の社会福祉事業と位置付けて消費税非課税事業とすることを求める意見書
令和5年10月4日付けで、こども家庭庁支援局障害児支援課並びに厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課及び精神・障害保健課から各都道府県及び市町村の障害保健福祉・児童福祉主管部局宛てに、障害者相談支援事業等は消費税非課税事業と誤認されているが、課税事業であるという旨の事務連絡が発出されました。
当該事務連絡は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号。以下「障害者総合支援法」という。)第77条第1項3号等を根拠として市町村が行う障害者相談支援事業等については、社会福祉法(昭和26年法律第45号)第2条第2項及び第3項の各号いずれにも該当せず、社会福祉事業には該当しないこと、また消費税関係法令上、他に非課税とする旨の規定もないことから、消費税の課税対象であるとしています。
しかし、障害者相談支援事業等では、社会問題と言われる8050問題や、障害や病気についてのご本人やそのご家族の相談、居場所の相談等多様な相談の窓口として自治体から委託を受けた民間事業者が事業を実施しています。
また、基幹相談支援センター事業では、事業所の相談窓口も実施し、支援の質の向上を目的とした研修や、自立支援協議会の開催によって、障害や病気のある方々を真ん中にした地域づくりの一端でもあります。
本来であれば、自治体が実施すべき事業である点からも公共性が高い事業であることは間違いがありません。
この事業こそが、社会福祉事業の中心であり、障害者総合支援法の基本理念(第1条の2)にある「全ての障害者及び障害児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活又は社会生活を営むための支援」の柱になる事業であり、「障害のある方々が尊重される地域づくり」を実施してきた事業になります。
したがって、国におかれては、下記の措置を講じられることを強く求めます。
記
1 今まで実施してきた事業の内容や性質から、早急に、障害者相談支援事業等を社会福祉法上の社会福祉事業と位置付けて消費税非課税事業とすること。
よって、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
議第7号 精神障がい者の入院に対する福祉医療の適用を求める意見書
上記の議案を別紙のとおり提出する。
令和6年6月27日
提出者 宗田 まゆ美
こば 陽子
花村 恵子
吉村 幸代
上條 美智子
別紙
精神障がい者の入院に対する福祉医療の適用を求める意見書
精神障がい者は身体障がい者などより職業につける機会が少なく、経済的に苦しい生活を余儀なくされている方が多いなか、保険が適用される医療費の自己負担は通院以外、一般と同じ3割負担になっています。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)では、身体障害、知的障害及び精神障害を一元化して、障害福祉サービスを共通した制度で提供することになっています。しかし、福祉医療による保険が適用される医療費の助成については身体障がい者及び知的障がい者は診療科にかかわらず助成されていますが、精神障がい者は通院医療費のみです。その結果、入院医療費の自己負担を気にして身体的ケアが遅れることも稀ではありません。
精神障がい者の入院医療費にも福祉医療を適用して入院時の経済的苦境を救うことが早急に求められています。
したがって、長野県におかれては、精神障がい者(障害等級1級及び2級保持者)の入院医療費にも福祉医療が適用されるよう、県下の市町村に対して必要な財政措置を行うことを強く求めます。
よって、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
議第8号 訪問介護費の引下げ撤回と、介護報酬引上げの再改定を早急に行うことを求める意見書
上記の議案を別紙のとおり提出する。
令和6年6月27日
提出者 宗田 まゆ美
こば 陽子
花村 恵子
牛丸 仁志
吉村 幸代
上條 美智子
別紙
訪問介護費の引下げ撤回と、介護報酬引上げの再改定を早急に行うことを求める意見書
2024年度から訪問介護報酬が引下げとなる。厚生労働省は、介護事業経営実態調査(2023年度調査)の結果、訪問介護の収支差率が平均7月8日%であることを引下げの理由としている。
しかし、同収支差率中央値4月2日%を基軸として見ると、収支差率が0%未満の赤字事業所が36.7%あるとともに、収支差率が0~10%の事業所が最も多く、訪問介護事業所の厳しい経営実態がわかる。(株)東京商工リサーチの調査によれば、2023年の訪問介護事業所の倒産は67件と過去最多となっている。
中山間地域などでは、移動効率が悪く、訪問件数は少ない。さらに、加算を得るためには条件があり、どの事業所でも加算が取れるわけではない。このような中での訪問介護報酬の引下げは、さらなる訪問介護事業所の経営を厳しくすると同時に訪問介護員の人手不足が一層進むことが懸念される。また、介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」という。)を訪問介護事業所に委ねている自治体もあり、総合事業への影響も懸念される。
在宅介護を支える訪問介護事業所の経営安定と訪問介護員の人手不足の解消は喫緊の課題である。今回の訪問介護報酬引下げは一刻も早く撤回すべきである。また、訪問介護員の人手不足解消のためには、訪問介護事業所で賃金引上げが可能となる訪問介護報酬の引上げが必要である。
したがって、国におかれては、下記の事項を実施するよう強く求める。
記
1 訪問介護費の引下げ撤回と、介護報酬引上げの再改定を早急に行うこと。
よって、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
議第9号 女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求める意見書
上記の議案を別紙のとおり提出する。
令和6年6月27日
提出者 内田 麻美
芝山 稔
塩原 孝子
神津 ゆかり
菊地 徹
こば 陽子
別紙
女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求める意見書
女性に対するあらゆる形態の差別撤廃をうたった女性差別撤廃条約(以下「条約」という。)が1979年の国連総会で採択され、日本も1985年に批准しました。
さらに、この条約の実効性を強化し女性が抱える問題を解決するため、女性差別撤廃条約選択議定書(以下「選択議定書」という。)が1999年に国連総会で採択されました。2024年6月24日現在、条約締約国189か国のうち115か国が選択議定書を批准していますが、日本はまだこれを批准していません。
選択議定書は、条約で保障された人権を侵害された被害者が、国内の救済手続きを尽くした後、女性差別撤廃委員会に通報し、女性差別撤廃委員会がこれを検討の上、見解を条約締約国に通知する個人通報制度などを定めており、選択議定書を批准することによって、国際的な人権基準に基づく女性の権利侵害の救済や、性別による不平等をなくす取組の実効性が強まることになります。
世界経済フォーラムが発表するジェンダー・ギャップ指数2024年では、日本は146か国中118位と、昨年に引き続き主要7か国では最下位のままです。
その一方で、2020年12月に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画において、「諸外国のジェンダー平等に向けた取組のスピードは速く、我が国は国際的に大きく差を拡げられている。まずは諸外国の水準に追いつけるよう、これまでの延長線上にとどまらない強力な取組を進め、法制度・慣行を含め、見直す必要がある。」とし、「選択議定書については、諸課題の整理を含め、早期締結について真剣な検討を進める。」と明記しています。
したがって、国におかれては、女性の人権保障・差別撤廃の取組を強化し、ジェンダー平等社会の形成を促進するため、選択議定書を速やかに批准するよう強く要望します。
よって、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
議第10号 地方自治法の改正により創設された国の補充的指示制度の慎重な運用を求める意見書
上記の議案を別紙のとおり提出する。
令和6年6月27日
提出者 芝山 稔
神津 ゆかり
犬飼 明美
菊地 徹
別紙
地方自治法の改正により創設された国の補充的指示制度の慎重な運用を求める意見書
第213回国会(常会)において、地方自治法の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)が可決されました。
これは、地方自治法に新たな章として「第14章 国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と普通地方公共団体との関係等の特例」を追加し、「大規模な災害、感染症のまん延その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」が発生し、又は発生するおそれがある場合に、閣議決定を経て、各大臣が地方公共団体に対して必要な指示を行うという国による補充的な指示の制度を創設するものです。
その目的は、個別法の規定では想定されていない事態のため、個別法の規定による指示が行使できない場合において、国が地方公共団体に対して補充的な指示を行い、地方公共団体がその事務処理について国民の生命等の保護を的確かつ迅速に実施できるようにするものであり、確かに、緊急非常事態においては一定の合理性を有するものではあります。
しかしながら、令和5年9月27日開催の第33次地方制度調査会第19回専門小委員会で全国市議会議長会会長が発言したとおり、「非平時における国の地方公共団体に対する指示権の創設は、関係する地方公共団体の自主性・自立性と抵触する」おそれがあることは否定できません。また、改正法案が閣議決定され国会に提出された令和6年3月1日には全国知事会会長がコメントを出し、「今後も起こりうる想定外の事態に万全を期す観点から、その必要性は理解するものの、憲法で保障された地方自治の本旨や地方分権改革により実現した国と地方の対等な関係が損なわれるおそれもある」と指摘しています。
加えて、改正法案の国会審議過程では、衆議院において、補充的な指示を行った場合に国会への報告を求める規定(改正後の地方自治法第252条の26の5第4項)を追加する修正がなされるとともに、衆参両院において、補充的指示制度の運用に係る附帯決議がなされるなど、内閣提出法案の文言以上に慎重な運用が求められたところです。
以上を踏まえると、改正法により創設される補充的指示制度は、緊急非常事態においては確かに一定の合理性を有する制度ではあるものの、その運用に当たっては、地方自治の本旨、地方公共団体の自主性・自立性、地方分権改革により実現した国と地方の対等な関係といった観点から、一層の慎重さが求められます。
したがって、国におかれては、改正法の施行に当たり、下記の事項を徹底するよう強く求めます。
記
1 国による補充的な指示について、その安易な行使により地方公共団体の自主性・自立性が損なわれることがないよう、衆議院及び参議院の附帯決議を十分に踏まえた慎重な運用を図ること。
よって、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
議第11号 離婚後共同親権において子どもの最善の利益を最優先することを求める意見書
上記の議案を別紙のとおり提出する。
令和6年6月27日
提出者 神津 ゆかり
宗田 まゆ美
菊地 徹
別紙
離婚後共同親権において子どもの最善の利益を最優先することを求める意見書
離婚後に父と母の双方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入を柱とする改正民法が成立しました。条文の最大の問題は、父母の合意がなくても離婚後共同親権を家庭裁判所が決めるというしくみをつくり、すでに離婚している人にも遡及されることです。
真摯な合意がないのに親権の共同行使を強いれば、別居している親による干渉、支配を復活・継続する手段となり、結果として子の権利や福祉が損なわれてしまう危険が否定できません。
「日常行為」や「急迫の場合」は単独親権を行使できるとしていますが、何が「日常」で、何が「急迫」かが不明確で、裁判に訴えられたり、場合によっては損害賠償さえ求められたりする事態も想定されます。親の資力が要件となっている公的支援において、離婚後も父母の所得が合算され、所得制限のある公的支援から除外される懸念も浮上しています。
何よりも、子どもの最善の利益の優先と意見表明権の尊重が明記されていません。「子どもに対する親の権限」を振りかざすこととなる離婚後共同親権は、DV被害者親子をさらに追い詰めることになります。
したがって国におかれては、下記の措置を講じられることを強く要望します。
記
1 離婚後共同親権において子どもの最善の利益を最優先にした見直しをすること。
よって、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。