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桐分校

更新日:2026年7月23日更新 印刷ページ表示

少年刑務所
桐分校のある松本少年刑務所

 桐分校は、日本で唯一、また世界的にも例のない、刑務所内に設置された公立中学校です。桐分校のような学校は、ここ松本市にしかありません。全国の受刑者の中から、義務教育を修了していない人や、十分な教育を受けられなかった人で、学ぶ意欲の強い人が選ばれ、入学してきます。

なぜ桐分校ができたのか

 昭和28年当時、松本少年刑務所に収容されていた少年受刑者のうち、約8割が新制度による義務教育を修了していませんでした。その背景には、就学環境に恵まれなかったことや、学制改革の時期に当たっていたことなどがありました。そのため、全体的に学力が十分に身に付いていない状況にありました。
 当時の所長や関係職員は、こうした実情を憂慮しました。そして、「自分の過ちを正そうとする意欲を呼び起こし、社会復帰後の再出発の原動力とするためにも、施設にいる間に、少なくとも新しい義務教育を修了した程度の学力を身に付けさせたい。また、正規の資格証明を与えたい。これらのことは、矯正施設において特に重要である」と考え、義務教育修了資格を取得させる方法について、さまざまな調査・研究を行いました。
 その結果、施設内に中学校を設置し、中学校課程の教育を受けられるようにすることが最もよいとの結論に至りました。
 この構想について、長野県教育委員会、松本市教育委員会、旭町中学校は深い理解を示しました。しかし、その実現には法的な課題もありました。そこで、昭和30年2月、法務省は監獄法施行規則を改正するなどの法的措置を講じ、松本市議会は旭町中学校桐分校の開設を決議しました。
 こうして、日本の刑務所史上例のない、矯正施設内の公立中学校「旭町中学校桐分校」が誕生しました。第1回入学式が行われたのは、昭和30年4月6日のことでした。

教育目標

 旭町中学校本校の教育目標である「剛(たくましく)」「愛(やさしく)」「聡(かしこく)」を受け継ぎ、分校生の実態を踏まえながら、学力差を小さくすることや、学習への苦手意識を取り除くことを大切にし、次の6点を重点目標としています。

  • 落ち着いて、しっかり勉強しよう(学習生活の確立)
  • 進んで考え、進んで行動しよう(自主性の確立)
  • 協力して、楽しい桐分校にしよう(社会性の確立)
  • 健康な身体をつくろう(健康生活の確立)
  • 勤労精神を養い、働く喜びを体得しよう(勤労精神の涵養)
  • 偏見やすさんだ気持ちを和らげ、美しいものを美しいと感じよう(情操教育の確立)

どんな人が入学しているのか

入学資格

 全国の受刑者が対象です。刑務所での生活態度が良好で、強い学習意欲があることなどが入学の条件です。

入学までの手続き

 全国の刑務所からの応募者の中から、法務省矯正局長が、東京矯正管区長及び松本少年刑務所長による選考に基づき、入学候補者を決定します。その後、入学認定会議において、旭町中学校長が一人ひとりと面接し、入学の可否を決定します。

入学する生徒の様子

 桐分校には、全国各地の施設から入学を希望する人が集まります。
 分校設立当初から昭和40年代までは、20歳前後の青年層の生徒が多く在籍していました。昭和50年代からは平均年齢が上昇し始め、昭和60年代から平成に入ると、その傾向はさらに顕著になりました。
 平成31(2019)年度からは、義務教育を修了している人でも、社会復帰に向けて学び直そうとする強い意欲があれば、入学が認められるようになりました。

入学の動機

 入学を希望する理由の多くは、「国語や数学が分からないことが恥ずかしく、将来、自分が困るから」「勉強に励み、人間として成長したいから」といったものです。
 そこからは、受刑しているという目をそらすことのできない現実に向き合いながら、自らのこれまでの人生を見つめ直し、学ぶことを通して更生の道を歩み、将来に明るい展望を持ちたいという切実な願いがうかがえます。
 その願いは、多くの来賓が見守る中、緊張と喜びに包まれた入学式に臨むことで、「もう後には戻れない。何としてもやり通さなければ」という、さらに強い決意へと変わっていきます。

学習の様子

 授業は、午前4時間、午後3時間の合計7時間行われます。各教科では、その年の生徒の実態に応じてカリキュラムが工夫されています。
 特に、基礎的・基本的な内容を重視する立場から、中学校課程ではありますが、小学校の学習内容を必要に応じて取り上げたり、一人ひとりに応じた課題を設定したりすることで、確かな力が身に付くよう工夫しています。
 このような学習は、夏休みや冬休みもなく、就学期間である1年間を通して続けられます。1日7時間の授業に加え、夜間3時間の自習を含めると、1日10時間の学習となります。
 学ぶことから遠ざかっていた生徒たちにとって、1日10時間の学習を続けることは、並大抵のことではありません。それでも、生徒たちは今日も黙々と学び続けています。
 令和6(2024)年度には、開校以来初めて女性を受け入れました。そして、令和8(2026)年度からは、女性と男性を同時に受け入れ、男女共学となりました。

桐分校
少年刑務所内にある桐分校入口


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