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発掘された松本2017
発掘された松本2017は、平成30年(2018年)2月25日(日曜日)に、Mウイング6階ホールで開催されました。
平成29年(2017年)の発掘調査成果として3件の事例報告と、松本の発掘調査の歴史を解説する講演会を、219人の参加者の皆さんに楽しんでいただけました。
報告その1 横田遺跡第3次・大村塚田遺跡第3次発掘調査
本郷地区の南郷保育園周辺で行われた発掘調査です。今回は、一連の発掘調査として、2つの遺跡を調査しました。
横田遺跡からは、縄文時代・平安時代の竪穴住居跡や遺物が見つかり、集落の営みの様子が確認できました。
また、両方の遺跡から、自然にできた流路の跡が複数確認できたことから、調査地周辺では川の氾濫がたびたび起きていたことが考えられます。
竪穴住居跡(縄文時代)
土師器の杯(平安時代)
報告その2 松本城外堀跡南外堀第3次発掘調査
今回の調査は、南外堀や堀に関連する土塁の位置などを確認するために、松本城二の丸の南側部分(かつて外堀と接していた部分)の発掘調査を行いました。
その結果、版築(はんちく、土をつき固めて徐々に高くしていく工法)状に2メートル以上も盛られた整地層が見つかりました。
また、土塁の裾部には、崩落防止のためと考えられる石積みがあることも分かりました。
版築状の盛り土
土塁裾部の石積み
報告その3 松本城三の丸跡土居尻第9次発掘調査
昨年度から引き続き発掘調査を実施しました。
遺構として確認されていた石組水路は、だんだんと姿を現してきました。また、雨水排水のための水路もあることがわかりました。
石組水路は昭和30年頃まで使われていました。設置時期は不明ですが、松本城築城時に設置されたとすると、350年以上にわたって使われてきた重要な遺構であると考えられます。
調査地全景(東から撮影)
水路の石積みの様子
講演会 「松本の発掘40年を語る 成果と課題、今後の展望」
講師:直井 雅尚 (松本市教育委員会 文化財課)
昭和49年(1974年)の弘法山古墳の発掘調査をはじめとして、松本市内の代表的な遺跡・古墳の発掘調査について、長年現場で直接調査に携わってきた担当者が思い出を交えながら解説しました。
発掘調査によって判明したこと、課題となったことなどの分かりやすいお話に、多くの方が興味を持った講演会でした。
講師:直井 雅尚 氏
弘法山古墳発掘調査の解説