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乗鞍高原一の瀬のミズバショウ群落とレンゲツツジ群落
(読み方)のりくらこうげん いちのせ の みずばしょう ぐんらく と れんげつつじ ぐんらく
- 指定等区分 市特別名勝
- 指定年月日 平成19年3月30日
- 種別 名勝地
- 所在地 松本市安曇4307-1ほか
- 所有者 大野川区、大野川区営企業株式会社
自然と牧牛がつくりだした景観
ミズバショウ群落
一の瀬牧場のミズバショウ群落
乗鞍高原のミズバショウ(サトイモ科)は、湿地のシラカバ林やヤハズハンノキ林などの夏緑樹林の中に生育しています。とくに、一の瀬のヤハズハンノキ林内にはミズバショウの大群落があり、4月~5月の開花期には可憐な白い花を咲かせて、みごとな景観がみられます。ミズバショウ群落は、観光のための無秩序な開発・利用などによって破壊されるおそれがあるので、今後は群落のある地域を永く保全していくことが必要です。
レンゲツツジ群落
レンゲツツジ(ツツジ科)は、乗鞍高原ではひろくみられ、多くはシラカバとともに生育しています。一の瀬は牧場として利用されてきたので、多くはシバ草地となっていますが、その中にまばらに生えるシラカバとともにレンゲツツジがみられ、シラカバの白色と、レンゲツツジの赤色が見事なコントラストを見せる、特有の景観を形成しています。シラカバとレンゲツツジ以外の植生がほとんど見られないのは、牧場に放牧されている牛がレンゲツツジ以外の植物を食べてしまうためです。つまり、この特有の景観は牧場としての利用によって維持されてきたものであるということができます。
現在、一の瀬の放牧地としての利用度が低くなり、他の植物を食べる牛が減ってしまった結果、レンゲツツジ群落はほかの植物群落に移りかわりつつあります。レンゲツツジ群落は、乗鞍高原を代表する美しい植物群落の一つであるとともに、過去における持続可能な自然利用のあり方を象徴するものですから、この群落を保存するための措置を講じ、あわせて自然と人間活動の関係を学ぶ場として活用することが必要です。