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松本城天守土台支持柱残欠
(読み方)まつもとじょう てんしゅ どだい しじちゅう ざんけつ
松本城天守土台支持柱残欠
- 指定等区分 松本市重要文化財
- 指定年月日 平成7年(1995年)4月28日
- 種別 建造物
- 所在地 松本市丸の内4-1
- 所有者 松本市
- 時代区分 安土桃山時代
お城を支え続けた支持柱
天守台の上に立つ五重六階の松本城天守は石垣上端から大棟まで高さ約25m、重量は約1000トンと推定されています。そのうえ、天守は南から西にかけて内堀に、北から南にかけては、本丸に面する地盤が軟弱な位置にあります。こうした条件の中で、約1000トンの重量を支えるために、天守台の内部および内堀側の石垣の根石の地盤沈下と前方(堀側)へのずれを防ぐための、特殊な工法が施されていたことが、昭和25~30年(1950年~1955年)にかけて行われた解体修理の際に確認されました。天守台の四面の石垣に天守の重量が全部かからないように、天守台の中に天守の土台を受けるように、1列に4本ずつ、4列で計16本の柱が立てられていたのです。
柱は丸柱で、長さ約4.95mの栂(つが)材で、柱頭はほぞによる土台差しになっていました。また、この丸柱は、柱のほぼ中央部、天守台下端より2.85m下がったところにある胴差しで継がれていました。
これによって天守台は、石垣の内部に土台支持柱を組み、石垣を積みながら石垣内部を充填し、土台支持柱を埋め立てたことが明らかになりました。また、明治以降天守が傾いていたのは、この支持柱の腐食に原因することもわかりました。また、堀側の石垣根石下は、筏地業(いかだじぎょう)と呼ばれる特殊工法によって根石の沈下を防いでいることもわかりました。
松本城天守土台支持柱残欠は、現在は直径約36cm、長さ約135cmの寸法しか残っていませんが、松本城天守の構造を考えるうえで重要な注目すべき文化財なのです。