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鉄磬残欠 附 鉄剣残欠 鏡残欠
(読み方)てっけい ざんけつ つけたり てっけん ざんけつ かがみ ざんけつ
鉄磬残欠(附鉄剣残欠鏡残欠)
- 指定等区分 松本市重要文化財
- 指定年月日 昭和37年8月31日
- 種別 工芸品
- 所在地 松本市内田2573
- 所有者 牛伏寺
- 時代区分 平安時代
いにしえの牛伏寺をしのぶ
牛伏寺(ごふくじ)の旧跡、鉢伏山中腹の蓬堂(よもぎどう)跡から出土したと伝承されるもので牛伏寺の蔵品です。いずれも鉄製で、錆が目立ちます。
磬は鉄の鋳物で大きく破損し、中央部を欠失していますが、左右の袖と他に小破片を残しているので、磬全体のおよその形態がわかり、その大きさも小形の方です。幅5cmほどの山形式ですが、つくりは簡略で、面は片面、中央部を欠くため撞座(つきざ)の位置は不明です。片面式の磬(けい)は平安時代後期の遺品に多くみられ、寺歴につながる貴重なものです。磬は、釣り下げてたたいて音を出す打楽器で、仏事の際、合図として打ち鳴らして使用されました。
磬は松本市内の他の地域でも出土しており、和田地区太子堂中野尻から出土して重要文化財に指定されている孔雀文磬(くじゃくもんけい 松本市立博物館蔵)と、白板地区宮渕出土の蝶形磬(ちょうがたけい 東京国立博物館蔵・重要文化財)が有名です。
鉄剣は5点あり、長さは21cmから27cmを測ります。また、鏡と推測される銅片10点は厚さ0.5mmと極めて薄いものです。
鉢伏山中腹からは、青銅製経筒(松本市重要文化財)も出土しており、これらの出土遺物は、蓬堂にあった経塚の埋納品の一部であると考えられています。