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奉納絵馬「潮干狩之図」

更新日:2021年12月20日更新 印刷ページ表示

(読み方)ほうのう えま しおひがり の ず

  • 指定等区分 松本市重要文化財
  • 指定年月日 平成18年3月27日
  • 種別 絵画
  • 所在地 松本市会田4040-1
  • 所有者 会田御厨神明宮
  • 時代区分 江戸時代

海から離れた四賀に伝わる潮干狩りの絵馬

会田地区の会田神明宮(しんめいぐう)にある絵馬で、潮干狩りの様子が描かれています。縦77.0cm、横159.0cmと大きな絵馬で、杉板に彩色され、周囲を額装しています。
画面の落款(らっかん)に、
「天保二 辛卯 花月 北鵞齋弘探 印(朱文) 印(白文-弘探画印)」裏面に墨書で、「天保二 辛卯 三月 原山村 明照院弘探 敬白 越後國 大工 藤村音松作之」とあり、天保2年(1831年)の制作とわかります。

描き手である北鵞齋弘探の経歴は不明な点が多いです。絵馬の裏面にある原山村(松本市中川原山地区)には明照院は存在しませんが、原山村にかつて修験者が住んでいたという伝承があり、弘探は明照院と称する修験僧であったとも考えられます。また当地には、無住のお堂と弘探を結びつける史料も伝存しません。

絵馬は彩色の剥落や褪色が進み生彩を欠きますが、遠景に富士の頂と山なみ、松樹、そして海に浮かぶ白帆の舟を配し、中景から近景に、砂浜で潮干狩りに戯れる唐子(からこ)、また着物の裾をはしょり潮干狩しに興じる女性、世間話に手を休める美人を描いています。江戸庶民の暮らしをかいまみせるほのぼのとした絵馬です。人物は遊女、または芸妓とみられ、艶やかな雰囲気が伝わってきます。彩色は、紅、藍、緑青、墨などを効果的に用い、さらに砂浜の表現に梓川の黒砂を用い、質感を出す工夫をこらしたと伝えられています。

海を持たない信濃でこのような絵馬は珍しく、神明宮に詣でた土地の人たちにとっては、珍しい風景と感じたに違いありません。このページのトップに戻る


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