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木造千手観音立像

更新日:2021年12月20日更新 印刷ページ表示

(読み方)もくぞう せんじゅかんのん りゅうぞう

  • 指定等区分 松本市重要文化財
  • 指定年月日 平成18年3月27日
  • 種別 彫刻
  • 所在地 松本市保福寺町727-4(保福寺)
  • 所有者 保福寺
  • 時代区分 鎌倉時代

古様式を踏襲して造られた仏様

本尊はその造像様式から、かなり古い時代のものと思われます。しかし衣文の彫成は、彫りが深く力強いが、やや腰部が煩瑣(はんさ)であること、また衣文の端をはね上げる手法をとることなど、宋様式がうかがえることから、制作年代の上限は、鎌倉時代後半とみるのが妥当でしょう。
本像は、四十二臂の千手観音像で、桧(ひのき)材を用いた寄木造りで内刳(うちくり)を施しています。
像容は、頭部に仏面、化仏(けぶつ)を付植し、真手は胸元で合掌し、宝鉢手は腹前で鉄鉢(亡失)を戴き、左脇手の一手は鉄鈎(てっこう)、右脇の一手は錫杖(しゃくじょう)(亡失)をとり、蓮華座(後補)に直立しています。頭頂の仏面は欠損していますが、正面に化仏をいただき、天冠台上に二列に、忿怒面(ふんぬめん)を十一面付植しています。しかし普通はばらばらの忿怒面は、すべて瞋目閉口(しんもくへいこう)の忿怒面のみで、いずれも後補のものです。天冠台は紐二条、髪はマバラ彫りとし、地髪(じはつ)は3毛筋を刻みません。耳朶(じだ)は環状、面相は白毫相(びゃくごうそう)で、白毫は水晶です。顔立ちは豊かな頬張りをみせる円顔で、大きく弧を描く眉、切れ長の目尻を吊り上げた眼差し、引き締まった口許などは、やや厳しい表情を示します。なお彫眼には、白土彩(後補)と墨彩(後補)が施されています。体部は両肩に天衣、幅広の条帛(じょうはく)を懸け、腰下は二段折り返しの裳(も)、腰布を着すが、天衣の垂下部は欠損しています。
衣文は全体に様式化がうかがえますが、天衣及び条帛は、細部を省略し簡潔にまとめあげています。また腰下は深く刻まれ力強く、特に腰部は煩瑣に思えるくらいに彫り出し、その端を撥ね上げる手法をとっています。膝から脚部にかけては古様を踏襲したU字形のひだを、左右対称に重ねていますが、腰部の衣文の力強さにくらべてやや弱い印象をうけます。両足先に懸かる裳裾の造り、両裾端の処理は古様を踏襲しています。
現状は全身素地をあらわにしていますが、後補の際に彩色が施されたものか、わずかに古色塗りの痕跡が確認できます。保福寺の秘仏とされており、年に1度、1月15日に御開帳されます。このページのトップに戻る


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