本文
柏木古墳出土品
(読み方)かしわぎ こふん しゅつどひん
- 指定等区分 松本市重要文化財
- 指定年月日 昭和62年(1987年)4月14日
- 種別 考古資料
- 所在地 松本市中山3738-1 松本市立考古博物館
- 所有者 松本市
- 時代区分 古墳時代
先人の文化財保護意識のたまもの
大正14年(1925年)に発掘された中山箱井・柏木(かしわぎ)古墳の出土品は1点の欠失もなく保管されてきています。地主の小笠原悦太郎氏や当時の村長水城仙次氏をはじめとする当時の中山村民の文化財保護意識のたまもので、中山古墳群の中では内部構造、出土状態、副葬品の全内容が判明している数少ない例のひとつです。
柏木古墳は径15mの円墳で、南に開口する片袖式の横穴式石室を内蔵していました。石室の奥壁幅は2.1mで、松本平の古墳中では規模の大きな方です。盗掘された痕跡はなく、小笠原氏の画いた精緻な副葬品配置図が残されています。
副葬品には武器・馬具・装身具・土器があります。武器には直刀と鉄鏃があり、直刀は5口で、うち3口は平棟平造り(ひらむねひらづくり)の大刀で倒卵形鐔(とうらんけいつば)を具えています。その中には銀象嵌(ぎんぞうがん)を施したものがありました。馬具は轡(くつわ)と辻金具で、素環の轡が5組もあります。装身具は勾玉(まがたま)・管玉(くだたま)・切子玉などの玉類と18点を数える金環。土器には喪葬用の須恵器(すえき)が多く、蓋(ふた)付きの高坏(たかつき)や提瓶(ていへい)、これに土師器(はじき)のハソウと高坏が加わります。これらの遺物は後期古墳の典型的副葬品のセットで、殊に数多い儀刀と轡、それに喪葬用須恵器の存在は中山古墳群を築造した氏族の性格をうかがうのに充分です。