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牛伏寺光明真言頌
(読み方)ごふくじ こうみょう しんごんしょう
牛伏寺光明真言頌
- 指定等区分 松本市重要文化財
- 指定年月日 平成27年(2015年)7月7日
- 種別 古文書・書跡・典籍
- 所在地 松本市内田2573
- 所有者 牛伏寺
- 時代区分 室町時代
高野山の高僧の書
罪業と病気を退ける「光明真言(こうみょうしんごん)」
「光明真言」とは、陀羅尼(だらに:さまざまな仏様が会得したとされる真理やその言葉)のひとつで、これを唱えれば全ての罪業・病気を退け、知恵・財産・長寿を得ることができるとされました。その信仰の跡は、現在も松本市内各地に点在する光明真言供養塔の石碑に見ることができます。
高僧・宥快(ゆうかい)の書跡
牛伏寺の光明真言頌は、「偈頌」(げじゅ:仏教の功徳や教理を称えた詩)の形で、謹厳な楷書に巧妙な梵字を交えた独特な書跡です。軸装されている本紙のサイズは縦47.2cm、横49.0cmですが、原形が巻子本であったとすると大きすぎるため、初めから祈願用・観賞用として掛軸に仕立てられたものと考えられています。
書の冒頭は「月輪」(がちりん)という言葉から始まります。月輪とは満月のことで、欠けるところがなく、その光が清浄なことから、密教ではさまざまな象徴として用いられているものです。
文末には「応永十六年十二月日 法印権大僧都宥快記之」と記されています。これにより、筆者は高野山教学の大成者とされる高僧・宥快で、応永16年12月(1410年)65歳の時に書いたものと確認できます。
部分的に破損・汚れがありますが、全体を通じて書に一貫性があり、充実感あふれる宥快の書きぶりが見る側に伝わってくる作品です。