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旧昭和興業製糸場
(読み方)きゅう しょうわこうぎょう せいしじょう
- 指定等区分 登録有形文化財
- 登録年月日 令和元年9月10日
- 種別 建造物
- 所在地 松本市島立2196-1 (松本市歴史の里)
- 所有者 松本市
- 時代区分 大正時代
かつての製糸場をいまに伝える貴重な建物
旧昭和興業製糸場は、大正14年(1925年)に創業した下諏訪町の吉澤製糸所(代表:吉澤義太夫)の製糸場です。吉澤製糸所の施設はさまざまな会社の手を経て、昭和50年(1975年)に設立された昭和興業製糸場が製糸事業を継承し、平成7年(1995年)に閉鎖されるまで操業が続けられました。平成8年(1996年)には、旧財団法人日本司法博物館が製糸場の譲渡を受け、動態保存を目的に現在地へ移築復元されました。正確な建設年を伝える資料は見つかっていませんが、移築復元の際には施設内で最も古い建物であると判断されており、吉澤製糸所が創業した大正14年に建設されたと推定されています。
建物は、木造平屋建て、平入りです。L字形の平面で、梁間6.3メートル(21尺)、桁行23.6メートル(78尺)の本体部分の西側に12尺四方を突出させ、その西側に下屋を差し掛けています。間取りは各部屋の境に隔壁が設けられており、中央を通路として全体が連続したつくりになっています。繭の買い付け、保管、乾燥、選繭に続いて、煮繭、繰糸、揚返(再繰)、出荷という工程を行っていた部屋が横並びに現存しており、製糸場における作業工程を具体的に知ることができる点でも高い文化的価値を有しています。
この製糸場が稼働していた当時の様子は、昭和11年(1936年)発行の『全国器械製糸工場調』(農林省蚕糸局)に記録されています。また、関係者への聞き取りから昭和12年(1937年)頃の様子が復元されており、『松本市歴史の里整備事業報告書』に掲載されています。現在、煮繭場、繰糸場、揚返(再繰)場には動態保存を目的として建物と共に移設された器械を置いています。全体として建設当初の姿をよく保ち、製糸のための工場として典型的な形式を伝える貴重な文化財です。
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