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波多腰家住宅〔11棟〕

更新日:2021年12月20日更新 印刷ページ表示

(読み方)はたこしけ じゅうたく

  • 指定等区分 登録有形文化財
  • 登録年月日 平成12年(2000年)4月28日
  • 種別 建造物
  • 所在地 波田6492
  • 所有者 個人
  • 時代区分 江戸時代

波多堰を開削した六左の生家

波多腰家は中波田にある旧家で、屋号を丸八といい、享保14年(1729年)から代々庄屋を勤めていました。波多腰家が現在の敷地に移転したのは、寛延元年(1748年)と伝えられています。
波多腰家住宅は、波多堰を開削完成させた波多腰六左の生家として知られています。元治元年(1864年)に下波多村の庄屋となった六左(1839年~1900年)は、水利関係のある村々と折衝して波多堰開削の同意を得て、明治元年(1868年)松本藩に開削を願い出て、許可を受けています。六左は心血を注ぎ、莫大な資材を投じて、延長75町21間(約8.3キロメートル)の波多堰を完成させ、200町歩の良田を開きました。六左は戸長、波多堰開渠掛、郡会議員などを務め、藍綬褒章を受けています。
屋敷地には、主屋のほか、味噌蔵・米蔵・納屋・土蔵が並び、主屋・米蔵・味噌蔵・納屋・灰屋・蔵・文庫蔵・表門・門・中門・南門の11棟が登録有形文化財になっています。
建物の建築年代は江戸時代から昭和時代にわたりますが、屋敷構え全体が良好に保存されており、近世における下波多村の庄屋層の屋敷景観をよく伝える貴重な遺構です。

主屋

主屋は、間口8間半、奥行8間半の本棟造りの建物です。切妻造の大屋根を架け、西妻を正面として式台と大戸口を構えています。正面妻壁に左右対称に出格子を構え、棟には雀踊りを飾るなど整った意匠からなる本棟造の好例とされています。
建築年代は、現在地に移ったと伝える寛延元年(1748年)頃の建築と考えられます。背後に接続する離れは江戸末期の増築ですが、この部分にある座敷は質が高く、床飾りの意匠も優れており、松本藩主の滞在に使われたものです。

米蔵

米蔵は、主屋の北側に位置して東西に建ち並ぶ倉庫群のひとつです。桁行7間、梁間3間、二階建で大規模で質の高い土蔵造りです。腰壁は亀甲目地の瓦張としています。屋根は置屋根形式の切妻造とし、正面に塗籠の下屋を設けています。
建築年代は、地棟に「于時明治十二己卯代十月八日甲子建之 波多腰八九郎代造之」とあることから、明治12年(1879年)の上棟であることがわかっています。

味噌蔵

味噌蔵は、米蔵の西に隣接する間口2間、奥行2間半の小規模な土蔵で、東西棟の東妻を入口としています。大壁造の外壁の一部に現在下見板を張っています。内部には中二階が設けられています。
建築年代は、地棟に「于時廿三年三月大安日建之」とあり、明治23年の建築であることがわかります。屋根は近年取り替えていますが、旧来の置屋根形式を守っています。倉庫群の角地に位置し景観上重要な建物です。

納屋

納屋は、米蔵の東に隣接する間口9間の長大な東西棟の建物です。柱を一間毎に立て並べ、貫を五段に通した成の高い平屋で、屋根は切妻造、桟瓦葺としています。内部は三間毎に間仕切り、土間床の納屋三室を並べています。南正面は各室の西端間を入口とし、他の2間は腰壁を縦板張としています。建築年代は明治時代後期と推定されています。

灰屋

灰屋は、表門を入った左手に位置する南北棟で、味噌藏と矩折れに建っています。間口3間半、奥行2間で、屋根は切妻造、桟瓦葺としています。西面して、南端1間分は柱と貫を現した真壁造とし、戸口を挟んだ北側は大壁造で腰廻りを石積みとしています。建築年代は、明治時代後期と推定されています。

蔵は、主屋の東北方、納屋の東に隣接して建つ二階建の土蔵です。東西に棟を向けて南面し、間口は3間半としています。屋根は置屋根形式で切妻造、桟瓦葺とし、正面に下屋庇が設けられています。
建築年代は、地棟に「昭和癸酉年八月甲子ノ日 先代波多腰周次郎起工 弥六代建之」とあり、昭和8年に上棟したことがわかります。

文庫蔵

文庫蔵は、主屋の背後に位置し、中庭を挟んで主屋と向かい合わせに西面して建っています。切石の土台上に建つ二階建の土蔵で、外壁は漆喰塗で腰廻りを海鼠壁としています。屋根は置屋根形式の切妻造、桟瓦葺としています。両妻の二階窓を華やかに縁取り、窓上に屋号の紋を飾っています。
建築年代は、地棟に「大正年代起工 周次郎起工 昭和六年七月二十三日 弥六代建之」とあり、昭和8年に上棟したことがわかります。

表門

表門は西面する屋敷の正面に位置し、門柱2本の上部を貫でつないだ冠木門の形式をとります。斜め後方に控柱を立てて支え、門の左右に塀が接続しています。

門は、主屋正面の前庭部分と、主屋西北方の倉庫群とを画す塀に開くものです。背後に控柱を持つ棟門の形式で、屋根は切妻造、桟瓦葺としています。軸部は比較的成が高く、両開の格子戸を構えています。瓦葺の屋根を備えた両袖塀とともに庭内の景観を構成する重要な要素となっています。

中門

中門は、主屋の正面、式台と上手座敷との境から前方に延びて、主屋正面の前庭と、座敷の庭を画す塀に開いています。棟門の形式で両開の板戸を構えています。屋根は切妻造、桟瓦葺としています。瓦葺の屋根を備えた両袖塀とともに庭の景観を構成する重要な要素となっています。

南門

南門は南面東寄りに位置する通用門で、門の形式は表門と同様に門柱2本の上部を貫でつないだ冠木門で、内開きの板戸を構えています。このページのトップに戻る


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