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松本市上下水道局島内第一水源地〔4棟〕

更新日:2021年12月20日更新 印刷ページ表示

(読み方)まつもとし じょうげすいどうきょく しまうち だいいち すいげんち

  • 指定等区分 登録有形文化財
  • 登録年月日 平成27年(2015年)8月4日
  • 種別 建造物
  • 所在地 松本市島内3635-1
  • 所有者 松本市
  • 時代区分 大正時代

モダンな水道施設群

松本市の市街地には、松本市特別史跡に指定されている源智の井戸や槻井泉神社の湧泉など、湧き水が豊富にあり、昔から住民ののどを潤してきました。しかし、明治時代以降、市街地の人口増加や度重なる大火などにより、近代的な水道を敷設する必要性が高まり、大正時代の中頃から、水道水とするのに適した水源地の調査が始まりました。
その結果、隣村の島内村(現在の松本市島内地区)の奈良井川沿いに水源地(後の松本市第一水源地)を設け、600mほど東の城山に設置した配水地に水を一旦汲み上げた後に市街地へ流下させる方式が採用されました。敷設工事は大正13年(1924年)に竣工し、松本市の近代水道普及の始まりとなりました。
平成27年(2015年)、松本市の初期の水道事業を支えた下記の施設6件が、登録有形文化財に登録されました。

  • 松本市上下水道局 島内第一水源地 集水井及び会所
  • 松本市上下水道局 島内第一水源地 石垣及び階段
  • 松本市上下水道局 島内第一水源地 旧喞筒室
  • 松本市上下水道局 島内第一水源地 倉庫
  • 松本市上下水道局 城山配水地 接合井
  • 松本市上下水道局 城山配水地 旧配水池

※城山配水地の2件は、別のページで説明があります。

集水井及び会所

水源から湧水を集めるための施設が、集水井及び会所です。湧水は集水管と呼ばれる暗渠を通して3基ある会所に一旦貯められ、その後集水井にそれらの水を集める仕組みになっています。また、会所には、余分な水を奈良井川に流すための暗渠も通されています。

集水井はコンクリート造り、内側の直径が15尺(約4.55m)の円筒形で、地上に見える部分には十八角形の鉄骨製の蓋を載せています。壁の厚さは1尺2寸(約0.37m)で、壁の最上部には花崗岩の切り石を敷いています。また、底には円状に玉砂利を敷き詰めています。

会所は3基とも同じ造りで、コンクリート造り、内側が4尺(約1.22m)×4尺の四角い筒型をしています。また、壁の厚さは0.7尺(約0.22m)、壁の最上部に花崗岩の切り石を敷き、鉄骨製の屋根を載せており、集水井と同じような造りとなっています。

建設年は大正11年(1922年)で、松本市上下水道局で所蔵している工事日誌の大正11年8月15日の記事に「集水管敷設、会所、集水井の工事終わり祝賀会を一同にてす」とあります。建設当時の設計図も残っており、現在の姿とほとんど変わりがありません。90年以上前の造りをよく残している貴重な建造物です。

石垣及び階段

島内第一水源地の南側、集水井と会所のある場所は石垣で囲まれ、敷地北側の旧喞筒室とつながる部分に石の階段がつくられています。石垣は花崗岩が用いられ、敷地の東西南北の周囲150m余りに造られています。また、階段は4段あり、花崗岩の切り石で造られています。
建設年は定かではありませんが、松本市上下水道局で所蔵している工事日誌には、大正11年(1922年)11月から大正12年1月にかけて、石垣に使われたものと同じ石材が多く収められているという記事があり、このことから大正12年に石垣が造られたと推測されます。
設計図や写真などと比べると、造られた頃の姿がよく残されていると分かる建造物です。

旧喞筒室

「喞筒(しょくとう)」とはポンプのことです。
旧喞筒室は、島内第一水源地のほぼ中央にあり、現在は電気室や資料室として利用されていますが、昭和40年代までは、城山配水地まで水を揚げるポンプが設置されていました。鉄筋コンクリート造り、平屋建てで、梁間5間(約9.09m)、桁行14間(約25.46m)の大きさです。
また、外壁はモルタル仕上げの上に、白色の油性ペンキでコーティングされています。アール・デコ調の意匠が施されており、外壁上部の幾何学的なデザインと、壁面の3つ連なった菱形、入口の上にある松本市水道のエンブレムが特徴的です。
建設年は定かではありませんが、松本市上下水道局で所蔵している工事日誌には、大正12年(1923年)4月から6月にかけて喞筒室の工事やポンプの設置に関する記事が見られることから、大正12年に建設されたと考えられています。
現在、旧喞筒室からはポンプ等は撤去されていますが、建物自体は、設計図や残されている写真などから、造られた頃の姿がよく残されていると考えられており、貴重な建造物です。

倉庫

旧喞筒室の西側にある倉庫は、建築当初から倉庫として利用されており、現在も水道関連の書類が保管されています。
木造、平屋建てで、梁間3間(約5.46m)、桁行4間(約7.28m)の大きさです。小屋組はキングポストトラス構造(小屋の梁の真ん中から屋根の峰に向かって垂直に建材を立てて、屋根を支えている構造)で、松本市内では旧松本歩兵第五十連隊糧秣庫(登録有形文化財)が同じような構造を持っています。
建築年は定かではありませんが、松本市上下水道局で所蔵している工事日誌には、大正11年(1922年)5月に工事施工業者によって倉庫の建材が運び込まれたという記事があることから、大正11年に建設されたと考えられています。
現在、倉庫の外壁は、旧喞筒室と同じく白色の油性ペンキでコーティングされており、造られた当時の外観とは違います。しかし、それ以外に大きな改変の跡は見られず、ほぼ当初の倉庫の姿が残されていると考えられており、貴重な建造物です。このページのトップに戻る


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