本文
木造薬師如来坐像(牛伏寺)
(読み方)もくぞうやくしにょらいざぞう(ごふくじ)
木造薬師如来坐像
- 指定等区分 重要文化財
- 指定年月日 大正3年8月25日
- 種別 彫刻
- 所在地 松本市内田2573
- 所有者 牛伏寺
- 時代区分 平安時代
薬師様が立てられた大願の一つ「除病安楽」
像高148センチメートルの堂々たる薬師如来坐像です。檜(ひのき)材の寄木(よせぎ)造、漆箔(しっぱく 下地を漆塗りにしたうえに金箔をおくこと)です。牛伏寺木像釈迦如来坐像と同様に螺髪(らほつ)を細かく刻み、髪際(はつさい)は一文字に結び、切れ長な彫眼です。衲衣(のうえ)を緩やかに着け、両足裏を見せて結跏趺坐(けっかふざ 足を組んで座ること)しています。右手は施無畏(せむい)の印相、左掌は膝上にして薬壷をのせています。
釈迦如来坐像と相似た定朝様に造像されており、平安時代末の作風です。ただ薬師如来の方が釈迦如来に比べて面相も大きめに、眉(まゆ)の彫りも深く、切れ長な目の抑揚や固く結んだ口元など彫りがやや強く、また衣文の線も太くなっていることから、平安時代末でも釈迦如来といくぶん差があるとみられています。台座は後補の方座です。
薬師如来は東方瑠璃(るり)光世界の教主であるので、薬師瑠璃光如来ともいわれます。正面に瑠璃殿と書いた額が掲げられている薬師堂は折々見かけることができます。ただ当像の薬師堂については、もとどこにあったのかは不明です。
長野県内の重要文化財に指定されている薬師如来像は、当寺のほかに、長野保科の清水寺、麻績村日向の福満寺、下伊那吉田の瑠璃寺などにありますが、いずれも平安時代の美しい像です。