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桜ヶ丘古墳出土品

更新日:2021年12月20日更新 印刷ページ表示

(読み方)さくらがおか こふん しゅつどひん

  • 指定等区分 長野県宝
  • 指定年月日 平成22年(2010年)10月18日
  • 種別 考古資料
  • 所在地 松本市中山3738-1
  • 所有者 松本市(考古博物館)
  • 時代区分 古墳時代

金色に輝く冠と甲冑を身にまとった地方豪族の副葬品

中学生による古墳の発見
浅間温泉街の南東に突き出た丘陵の突端に位置する桜ヶ丘古墳は、昭和29年(1954年)に女鳥羽中学校の生徒たちによって偶然に発見されました。この発見を契機に翌年には学術調査が行われ、この古墳は5世紀後半に築造された円墳であることが判明しました。この調査の最中に、竪穴式石室の中から出土したのが、黄金色に輝く金銅製の天冠と武具・鉄製武器・装身具等の副葬品です。天冠は昭和44年5月15日に長野県宝に指定され、副葬品は昭和63年3月17日に松本市重要文化財に指定されました。その後、平成22年10月18日、松本市重要文化財の副葬品63点が金銅製天冠と合わせて桜ヶ丘古墳出土品として長野県宝に指定されました。

出土品の意義
武具・武器を副葬品の主体とする桜ヶ丘古墳は典型的な中期古墳ですが、深志盆地を俯瞰する山頂に立地し、粘土で被覆された石室構造をもつことから古式古墳の残映もうかがえます。
出土品には、武具類の三角板革綴衝角付胄 (さんかくいたかわとじしょうかくつきかぶと)1点、革綴頸甲(かわとじあかべよろい)1点、長方板革綴短甲(ちょうほういたかわとじたんこう)1点からなる甲胄(かっちゅう)一式があります。鉄製の甲冑は中期古墳の副葬品の代表ですが、大部分は鉄板を鋲で留めた鋲留めの甲冑であり、本例のように皮の紐で綴じられているものは全国的にも数が少なく、県内では1、2例しか知られていない希少なものです。
武器類は、剣5点、直刀1点、矛(ほこ)1点、鏃(やじり)5点が出土しています。
また、装身具類は、金銅製天冠1点、天冠に付着していた黒漆塗りの竹製竪櫛(たてぐし)1点、玉類の瑪瑙(めのう)製勾玉(まがたま)1点、濃紺色のガラス製丸玉9点、ガラス製小玉32点、滑石(かっせき)製臼玉5点が出土しています。天冠は両面に金鍍金(めっき)を施した厚さ約1ミリメートルの銅板を素材とし、鉢巻き状の冠帯(細帯式)に3本の立飾りがついています。冠帯は中央の立飾りと一体で、上辺は緩やかな山形を呈しています。中央の立飾りは3つに分岐する花形装飾があったと推定され、左右には鳥翼状立飾りがつきますが、右側の飾りは埋葬当時から欠損していたようです。
桜ヶ丘古墳出土品は武力の象徴である武具・武器類と、権威の象徴である天冠・竪櫛等の装身具が同一古墳から出土した貴重な例であり、同時に埋葬されたのか、別時期に追葬されたのかといった課題はありますが、郷土の歴史を考える上で重要な資料です。このページのトップに戻る


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