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長野県宝橋倉家住宅活用修理事業
橋倉家住宅は、昭和51年(1976)に長野県宝に指定され、平成14年(2002)に松本市の所有になりました。以降、公共施設の活用検討を進めましたが、活用の目途がたたず、それに伴う本格復元整備が課題となっていました。
今回、当初の姿に復元する方針を見直し、活用を見据えた建物利用に必要な最低限の修理と耐震対策へ方針を改めて、県宝橋倉家住宅活用修理事業を実施することになりました。事業実施にあたっては、修理と調査、建物活用の試行を行いましたが、ここでは令和5年度に実施した修理工事の概要について紹介します。
修理工事
令和4年度に実施した耐震診断の結果により、壁や屋根の耐震補強、老朽化が著しい部材の交換等が必要でしたが、多額の費用を要するため、早急に対応が必要な部分に限定して工事を実施しました。
雨水対策
敷地北側からの雨水と土砂の堆積により、土台の腐食が進行していることから、建物外周部の土のすきとり及び雨水対策工事を行いました。建物際に水が溜まらないよう主家北側、便所東側及び南側中庭の地盤面を下げて、砕石敷き、縦樋の増設及び雨水桝を増設しました。
建物北側
着工前、すきとり、砕石敷完了
中庭
着工前、すきとり砕石敷完了
屋根修理
主家の屋根は比較的良好ですが、内部の梁の墨書等の保護のため明り取りを鉄板で覆いました。外廊下から便所にかけては屋根材の老朽化が著しく、雨水流入により腐食した部材の修理と屋根材の葺き替えを行いました。
外廊下・便所
着工前、既存鉄板撤去後、腐食部撤去後、屋根葺き替え完了
外壁及び土台修理
外廊下両面の土壁の剥がれが進行しているため、崩落防止対策として合板補強、雨水の対策として波板の張り上げによる応急的な措置を行いました。また、北側土台の腐食が大きい箇所は部材交換を行いました。
便所
着工前、便槽部・南壁面木部解体、仮復旧後
便所既存外壁部、仮復旧後
内装補修
建具の破損修理、畳の交換、土間等の補修などを実施し、引き続き建物を維持できる環境を整えました。
四畳
着工前、内部状況、完了
土間
着工前、施工中、完了
便所
内部 着工前、完了
西側外壁 着工前、完了