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旧竹内度量衡店店舗兼主屋(松本市はかり資料館 第一展示室)西棟
(読み方)きゅうたけうちどりょうこうてん てんぽけんおもや(まつもとしはかりしりょうかん だいいちてんじしつ)にしとう
- 指定等区分 松本市登録文化財
- 登録年月日 令和6年3月25日
- 種別 建造物
- 所在地 松本市中央三丁目434
- 所有者 松本市
- 時代区分 明治時代
家屋築造制限法直後の町家
本物件は、松本城下町の中町通りの東側に位置し、中町通りに南面しています。現在の建物は、土蔵造りで外壁は白漆喰の仕上げ、正面に塗り込めの袖壁を設け、腰壁は海鼠壁です。建物の範囲は正面に向かって左から間口2間半の部分であり、半間の土間をはさんで東棟と接続しています。内部は、1階を展示室と事務室、2階を物置として利用しており、当初の間取りは手前からミセ、オエ、ザシキを配す一般的な間取りでした。オエ上部には斜めに掛ける梁を菱形に組み、梁組の剛性高める工夫がされているのが特徴的です。
建設年は、小屋梁の墨書から明治21年9月であると考えられます。中町では明治21年1月4日に大火があり、直後に長野県が公布した家屋築造制限法のもと、土蔵造町家の建設が進められていました。現存する建物はこうした歴史を伝えるものです。
竹内度量衡店は、伊那市出身の田中敬一郎が東京のはかり屋で修業し、暖簾分けをして明治35年に創業した、はかりの製造販売を営んだ店舗です。製糸業が盛んであった松本において、繭の計量をはじめ、雌雄の選別などはかりは欠かせないものでした。平成元年から、はかりを中心にした資料館として現在にいたります。明治21年の大火直後に建てられた、耐火を意識した特徴がよくあらわれた中町を代表する土蔵造りの町屋で、改変は経ているものの、当時の造りや間取りがよく残されており、まちなみの歴史的景観に寄与しています。