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竹渕遺跡・竹渕南原遺跡 1985年(昭和60年)
川に挟まれた中世の集落
竹渕遺跡と竹渕南原遺跡は、松本市南部の寿地区、田川と牛伏川が合流する付近の低地にあります。
この2つの川は古くから暴れ川として知られ、遺跡周辺でも洪水が多く発生しました。
遺跡の存在は昔から知られていましたが、住宅地と重なっていたこともあって発掘調査の機会もなく、昭和60年(1985)のほ場整備事業にともなう初めての発掘調査で遺跡の内容が知られることになりました。
竹渕遺跡からは、竪穴住居跡2軒、掘立建物跡2軒、柱穴群のほか水田跡と暗渠排水跡が見つかり、内耳鍋・鉄器・砥石などの出土品から、中世以降の集落跡であることが確認されました。
また、柱穴のひとつには、穴の底に「礎板」という木板が据えられていました。
礎板は、軟弱地盤の土地で、建物の沈みこみを防ぐために柱の下に入れるもので、平たい石を据える礎石と同じ役目を果たすものです。
洪水が多かったこの場所ならではの先人の工夫といえます。
竹渕南原遺跡の調査は、竹渕遺跡の調査地から約150m北側で行われました。
暗渠排水跡3基が見つかりましたが、住居跡は出土しませんでした。
カメラでパチリ!
柱穴群(竹渕遺跡)
礎板出土状況(竹渕遺跡)
実測図(22~25は竹渕遺跡、30~33は竹渕南原遺跡出土)
発掘調査報告書
『松本市竹渕・南原遺跡 緊急発掘調査報告書』<外部リンク>
松本市文化財調査報告39
松本市教育委員会 1986年
※書名をクリックすると奈良文化財研究所の「全国遺跡報告総覧」にリンクします。
場所を地図で確認
※地図をクリックすると「松本デジタルまっぷ」の「遺跡地図」にリンクします。
Facebook掲載(初出)
2023年7月5日