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寿小赤遺跡 1982年(昭和57年)
赤木山遺跡群のひとつ
寿小赤遺跡は、松本市南部の寿地区の、田川と赤木山丘陵にはさまれた平地にあり、丘陵の周囲の遺跡も含めて赤木山遺跡群と呼ばれています。
赤木山はすべてが遺跡といわれるほど、縄文時代中期を中心に旧石器時代から平安時代までの幅広い時代の遺跡が各所に広がっており、地元住民の手によって数多くの考古資料が発見されていました。
今回紹介する寿小赤遺跡は、赤木山遺跡群を構成する平地の遺跡で、昭和57年(1982)のほ場整備事業にともない発掘が行われました。
その結果、A・B地区からは、暗渠(あんきょ:地下を通る水路)排水溝跡が複数出土しました。
これは、水田の収穫量を増やすために工夫をこらしたもので、近世から昭和30年代まで使われていたものと考えられます。
また、A区西方の第3トレンチからは、鍛冶屋場の遺構が出土し、出土した鉄滓(てっさい)・青磁・白磁・無釉陶器などの遺物から、中世の遺構と考えられています。
なお、この調査をまとめた『松本市寿小赤遺跡 緊急発掘調査報告書』では、過去に赤木山遺跡群の代表的な遺跡である原渡前(はらどまえ)遺跡・石行(いしご)遺跡・北原遺跡などから出土した資料も紹介されています。
カメラでパチリ!
調査風景(E地区)
暗渠排水溝跡(B地区)
鍛冶屋場の遺構(第3トレンチ)
発掘調査報告書
『松本市寿小赤遺跡 緊急発掘調査報告書』<外部リンク>
松本市文化財調査報告27
松本市教育委員会 1983年
※書名をクリックすると奈良文化財研究所の「全国遺跡報告総覧」にリンクします。
場所を地図で確認
※地図をクリックすると「松本デジタルまっぷ」の「遺跡地図」にリンクします。
Facebook掲載(初出)
2023年3月10日