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雨堀遺跡 1980年(昭和55年)
東山山麓の縄文集落
松本平の東を区切る筑摩山地、とりわけ高ボッチから鉢伏山の西山麓には、小河川にはさまれた台地が連なり、その上には縄文時代を中心とした遺跡がいくつも分布しています。
内田地区の塩沢川右岸にある雨堀(あんぼり)遺跡もそのひとつで、昭和55年(1980)に土地改良事業にともなう発掘調査が行われました。
A地区・B地区の2カ所で進められた調査では、縄文時代中期の住居址19軒を発見し、遺跡が中期に繫栄したムラであることがわかりました。
特にA地区では、約400平方メートルの調査範囲内に、時期の異なる17軒の住居跡が互いに重なり合ってひしめいており、ほぼ同じ場所で繰り返し家を建て替えた様子がうかがえます。
住居跡からは、生活道具である土器・石器のほか、釣手(つりて)土器・土鈴・石棒といった祭祀のための道具など、大量の遺物が良好な状態で出土しました。
なかでもA6号住居跡から出土した深鉢のひとつはほぼ完全な形で、表面に施された動物を思わせる抽象的な文様は、考古博物館入口ロビーの陶板レリーフにデザインされています。
また、毎年恒例の土器づくり講座では、この土器をはじめとした残りのよい土器をモデルとして、多くの参加者が形や文様の再現を楽しみました。
カメラでパチリ!
調査地遠景。段丘の上のなだらかな斜面です。
A地区を南東から撮影。手前の住居跡は第3号(向かって左)・第2号
A6号住居跡出土土器
A6号住居跡出土の深鉢のひとつ。文様を覚えて次の写真にお進みください。
考古博物館の入口ロビー。深鉢の文様が展開され、陶板レリーフに描かれています。
発掘調査報告書
『松本市内田雨堀遺跡 緊急発掘調査報告書』<外部リンク>
松本市文化財調査報告20
松本市教育委員会 1981年
※書名をクリックすると奈良文化財研究所の「全国遺跡報告総覧」にリンクします。
場所を地図で確認
※地図をクリックすると「松本デジタルまっぷ」の「遺跡地図」にリンクします。
Facebook掲載(初出)
2023年1月16日