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日用品
提燈
提灯(ちょうちん)の誕生は、室町時代といわれています。行灯(あんどん)を持ち歩きやすいように工夫したもので、現在の電灯や懐中電灯の役割を果たしてきました。提燈の絵柄は用途によって違い、かつては、祭りや神事の需要も多く、特に家紋入りの提燈は、一家のシンボルとして氏神様の祭りの折などにともされました。
また、商都松本の反映と威勢を示すシンボルとしても立派な提燈が作られましたが、近年は需要が減り、松本市内の提灯屋さんは2軒を残すのみです。
松本箒
箒は、全国に産地がありますが、信州では、松本(野溝)と中野で作られてきました。この地で箒づくりが盛んになったのは、土地が乾燥していて、箒草(ホウキビ)の栽培に適していたことからで、その歴史は慶応年間までさかのぼることができます。
農家の副業として、最盛期には120戸から130戸の農家で作られていましたが、電気掃除機の登場などに押されて、現在は、箒の文化を継承する意味合いで製作されています。草の香りが残り、しなやかで耐久性もたかく、座敷の掃除などに、一家に一本欲しい品です。
みすず細工
みすず細工とは、割竹を編んで作る生活用品のことです。松本や東筑摩(ひがしちくま)郡の副業・伝統産業として名高いものの一つで、明治30年代に生産のピークを迎えました。生産者の多くは、農閑期の農家で、原料となる篶竹(すずたけ)の別名がみすず竹であることからみすず細工の名が生まれました。
行李や文庫、ざるなどの生活用品が作られ、柳宗悦の著書でも紹介されています。