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樹幹注入の効果検証結果について
樹幹注入の効果検証結果について
趣旨
令和2年度及び令和3年度に松枯れ対策として施工した樹幹注入の効果を検証するため、枯損状況等を調査しました。
地区ごとの調査の方法
⑴ 四賀地区
樹幹注入の効果検証を行うため、薬剤販売会社の協力により次のとおり調査を実施しました。
ア 樹幹注入を実施した施工区域の中で調査区域を抽出
イ 当該調査区域内において、注入木の全数を調査
ウ 目視による判定で枯死率を算出した上、当該施工区域内の未注入木の枯死率と比較し、効果を検証
エ 調査区域において無作為で未注入木を抽出・選定し、上記ウの検証を実施
オ 無作為抽出した注入木の枝から検体を採取し、残留薬剤の濃度が有効基準値以上かを検査
⑵ 里山辺地区
効果検証の参考とするため、森林環境課職員が上記⑴アからエまでの調査を実施しました。
四賀地区における令和4年度調査の概要及び検証結果
⑴ 調査概要(位置図 別紙1のとおり)
ア 調査者 薬剤販売会社(株式会社ニッソーグリーン。以下「実施業者」という。)
イ 内容 目視による調査及び薬剤成分の濃度調査
ウ 期間 令和5年2月から同年4月まで
エ 調査本数(表1)
(ア) 注入木 令和2年度施工分6,851本のうち702本
令和3年度施工分2,053本のうち300本 計1,002本
(イ) 未注入木 182本
オ 結果の取扱い 実施業者及び市で共有
カ 経費負担 実施業者が負担
⑵ 枯死率調査結果(表2 詳細は別紙2のとおり)
ア 令和2年度の注入木について、令和3年度調査における枯死率は 3.3パーセントでしたが、令和4年度調査では新たに2本が枯れ、令和3年度から令和4年度までの2年間の累計で枯死は25本、枯死率は3.6パーセントとなりました。
イ 令和3年度の注入木について、枯れた木はなく、枯死率は0パーセントでした。
ウ 未注入木について、15本の枯れを確認し、枯死率は8.2パーセントでした。
エ 四賀地区の注入木及び未注入木の枯死率を比較すると、注入木の枯死率は未注入木の枯死率より5.7ポイント低くなりました。
⑶ 濃度調査結果(表3 詳細は別紙2のとおり)
注入木33本から検体を採取し、全ての検体で有効基準値以上の濃度があることを確認しました。
⑷ 検証結果
ア 注入木の枯死率は未注入木の枯死率に比べて低く有意差も認められることから、樹幹注入の効果が現れているものと考えられます。
イ 注入木から採取した検体全ての残留濃度が有効基準値以上であったことから、枝及び幹全体に薬剤が行き渡り、樹幹注入の効果が現れているものと考えられます。
里山辺地区における令和4年度調査の概要及び検証結果
⑴ 調査概要(位置図 別紙1のとおり)
ア 調査者 森林環境課職員
イ 内容 目視による調査
ウ 時期 令和5年3月
エ 調査本数(表4)
(ア) 注入木 令和2年度施工分647本のうち113本
令和3年度施工分660本のうち119本 計232本
(イ) 未注入木 50本
⑵ 枯死率調査結果(表5 詳細は別紙2のとおり)
ア 令和2年度の注入木について、令和3年度調査における枯死率は1.8パーセントでしたが、令和4年度調査では新たに7本が枯れ、令和3年度から令和4年度までの2年間の累計で枯死は9本、枯死率は8.0パーセントとなりました。
イ 令和3年度の注入木のうち11本が枯れ、枯死率は9.2パーセントでした。
ウ 未注入木について、4本の枯れを確認し、枯死率は8.0パーセントでした。
エ 里山辺地区の注入木及び未注入木の枯死率を比較すると、注入木の枯死率は未注入木の枯死率より0.6ポイント高くなりました。
⑶ 検証結果
ア 里山辺地区においては、注入木及び未注入木の枯死率に有意差があるとは認められないといった結果になりました。
イ その原因は、薬剤成分の残留濃度調査を実施していないことなどから正確には分かりませんが、次の理由が考えられます。
(ア) 周辺の被害地から飛来するカミキリムシの増加により、感染率が上がった可能性があること。
(イ) 令和3年度の注入時にセンチュウ感染の目安となる松ヤニ滲(しん)出調査を実施し、未感染であることを確認しましたが、既にセンチュウに感染していた可能性があること。
(ウ) 注入した薬剤が効果を発揮する状態(枝先まで薬剤が行き渡った状態)になる前(注入後約3か月以内)に感染した可能性があること。