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旧横内医院
(読み方)きゅうよこうちいいん
- 指定等区分 登録有形文化財
- 登録年月日 令和6年(2024)12月3日
- 種別 建造物
- 所在地 大字島立字門田1867番地1
- 所有者 個人
- 時代区分 昭和時代
和風住宅に洋風の医院をつけた和洋折衷の建物
旧横内医院は、東側の道路に前庭を介して建ち、敷地の西南部分には池や築山のある庭園が配されている。医院併用住宅として建てられ、小児科・内科、婦人科として昭和62年まで使われ、閉院後は住宅として使われている。施主の横内次郎氏は、主要道路であった県道(現松本市道)や上高地線大庭駅にも近くて利便の良いこの地を選定した。なお、次郎氏は文化人と交流があり、石井柏亭や一条成美といった画家などを招いていたという。
和風住宅に洋風の医院をつけた、和洋折衷の建物である。木造平階建て一部地階付きで、診療室部分は特注の洋瓦葺きで独逸破風、他は和瓦の入母屋の屋根で、玄関ポーチ屋根はむくりのついた入母屋破風となっている。円柱のポーチ柱は石に似せた研ぎ出し仕上げ、梁や軒は外壁と同じ洗い出し仕上げである。医院部分の外観は洋風でまとめられ、洗い出し仕上げの外壁に縦長の窓、腰壁は縦に目地が切られ石張り風である。住宅部分は一部を除き、土壁に漆喰塗りの真壁で和風となっている。内部は、医院部分と廊下を挟んで住居部分が配されており、住居部分も典型的な中廊下式である。
華美な装飾ではなく線を使った控えめな意匠など昭和初期らしさをもった洋風部分と、庭と調和した日本家屋部分のある、昭和初期に建てられた個人経営の医院併用住宅である。