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移住者インタビュー(稲葉さん)

更新日:2026年3月23日更新 印刷ページ表示

稲葉さん(神奈川県から移住/単身)

心も体も健康に過ごせるような環境を求めて松本に移住した稲葉さん。

移住後にたくさんの人と繋がり、人生がガラッと変わったと話してくれました。

稲葉さんプロフィール画像

▲脱穀作業をする稲葉さん

Q.松本市に移住するまでの経緯を教えてください。

出身は神奈川県平塚市です。
社会人になってから横浜で一人暮らしをしていた時期があったんですけど、3年くらいでまた平塚に戻って、それからは平塚の実家にずっと住んでいました。
何回か転職はしているんですが、実家から通ったり、リモートワークしたりしました。
そこから遠く離れた松本に移住だったので、本当に人生の一大事でした。

​​Q.移住を考えたきっかけは何ですか?

子供の頃から自然が好きだったんです。農業体験をやったりしたこともありました。
大人になってからはソロキャンプをすることが自分のリフレッシュ方法になって、つらいことがあるとキャンプに行っていました。
ソロキャンプを始めたのはコロナ禍になる直前くらいで、好きな芸能人がテレビでキャンプをしている様子を見て、自分もやってみたいと思ったことがきっかけです。なのでまだ始めて5~6年です。
でもそれより前から、地元の近くの山に登ったりとかはしていました。
大学では農業系の学校で栄養学を学んでいましたし、なんとなく自然を感じる方に行く習性がありますね(笑)
いろいろな理由が重なりましたが、自然の中にいるときが一番心が休まるし、健康でいられる気がするってことに気づいて、それを一番に据えたら、「移住」という選択肢に出会った感じです。​

Q.移住先を松本市に決めた理由は何ですか?

2024年に何度か松本に行く機会があったんです。
1回は、家族旅行も兼ねて、松本に住んでいる前職の先輩に会いに行きました。
その時ちょうどクラフトフェア(※1)がやっていて、散策しながら「素敵な街だな」って思ったんですけど、その時はそれだけで…
その後、私生活でいろいろ大変なことがあって疲れてしまって、ソロキャンプをしようと思っていた時に、たまたま知り合いから「松本の奈川にある高ソメキャンプ場(※2)がおすすめだよ」って教えてもらって…
いつも神奈川県内だったので、たまには遠くに行ってみようと思って、車で行きました。
高ソメキャンプ場に2泊して、上高地(※3)にハイキングにも行って、すごく癒されました。
その帰り道に、「ここだったら心も体も健康に過ごせそう」って直感しました。
自然の近くに住みたいっていう気持ちは前からあったんですけど、ピンとくる場所には出会っていなくて、初めて「ここに住みたい」って思いました。
そこからすぐに動き始めました。

(※1 クラフトフェアまつもとは、毎年5月に開催されている250以上の出展数を誇るクラフトフェア。出展作品は陶器、木工品、ガラス細工、金属製品、あるいは染め織物まであり、さまざまな種類の工芸品に出会えるのが魅力。ホームページはこちら<外部リンク>

(※2 松本市奈川の標高約1,200mに位置する、白樺林と乗鞍岳の絶景が自慢の高原キャンプ場。ホームページはこちら<外部リンク>

(※3 松本市の北アルプス南部にある、標高約1,500mの日本屈指の山岳景勝地。ホームページはこちら<外部リンク>

​​Q.移住について誰かに相談しましたか?

親には相談しましたが、心苦しかったです。
自分が年を重ねるにつれて親も高齢になってくるし、今実家を出ることに申し訳なさを感じて、家族もどう思うのかなっていう葛藤があったんですけど、応援してくれました。
2024年の家族旅行の時に戸隠神社(※4)にも行ったんですが、参道を歩いているときに私が気持ち良さそうにしている様子を母親が感じ取っていたようで…
「こういう自然の中にあなたが住みたいって思う気持ちが分かる」と言ってくれました。​

(※4 長野市北西部にある、霊山・戸隠山の麓に鎮座する2,000年以上の歴史を持つ社。ホームページはこちら<外部リンク>

Q.移住のための情報収集や下見はしましたか?

2024年9月に東京で「ふるさと回帰フェア」(※5)に参加しました。
松本市のブースで話をいろいろ聞いて、その時に職員の方から里山辺(さとやまべ)地区(※6)の良さを教えてもらいました。
確かその職員の方の奥さんの実家が里山辺にあると聞いて…
ブドウ園が多い場所で、写真を見せてもらったりして、「のどかな良いところですね」という会話をしたのを覚えています。

その後、やっぱり住む場所は歩かないと分からないだろうと思って、10月に実際に松本に行って、「移住者が営むゲストハウスMAP」(※7)に載っていたゲストハウスに泊まって、里山辺地区と島内(しまうち)地区(※8)と渚(なぎさ)地区(※9)を見て回りました。
里山辺を見た理由は、「ふるさと回帰フェア」で職員の方と話したことが印象に残っていたのと、バスで駅まで行けること、宿泊先のゲストハウスで働いているスタッフの方に相談した時に、のどかだけど市街地までの距離が遠すぎず、私の希望にピッタリなのが里山辺なんじゃないかって教えてもらったからです。
島内を見た理由は、私音楽も好きで、家にピアノを置きたいっていう希望があったんですけど、もしそれができなかったらピアノをレンタルとかですぐに弾ける環境がいいと思って調べたら、島内にある音楽文化ホール(※10)の練習室が借りられることが分かったからです。
渚を見た理由は、松本駅のお城側より北アルプス側の方がキャンプや登山に行きやすそうで、雰囲気も落ち着いていそうだと思って候補に入れました。
その滞在中は、公共交通機関の雰囲気が分かった方がいいと思ったので、移動は電車とバスを使って、あとはとにかく歩きました。
あと、物件の内見も予約してあったんです。
事前に大手の不動産業者に電話して、楽器可のところで、リモートワークなので仕事部屋と寝室2部屋欲しい、という条件のところを探してもらっていて、ちょうど里山辺に内見できる物件があったので、契約はしなくてもちょっと見てみようくらいの気持ちで見てみたら、「ここいいな」ってなって。
でもまだ会社と調整ついてないし、今は決められないと伝えたんですけど、3ヶ月だったら待ってくれるって大家さんが言ってくれたので、その後会社と調整して、2025年1月に引っ越しました。

(※5 年に1度、全国の移住窓口が東京へ集まる国内最大級の移住相談フェア。)

(※6 松本駅から見て東にある地区。松本駅から車で約15分~20分。)

(※7 松本市の移住ポータルサイト「まつもと暮らし」で、移住者が営むゲストハウスを紹介しています。詳細はこちら

(※8 松本駅から見て北西にある地区。松本駅から車で約15分、電車(JR大糸線)で約5分~10分。)

(※9 松本駅から見て西にある地区。松本駅から車で約5分、電車(松本鉄道上高地線)で約3分。)

(※10 松本市音楽文化ホール。市民から「音文(おんぶん)」と呼ばれ親しまれている音楽専用ホール。ドイツ製のオルガンを備え、最高級の音響効果を持つ、クラシック音楽に最適な693席のメインホールでは、年間を通じてさまざまなコンサートや発表会、プロの演奏家のCD録音などが行われている。ホームページはこちら<外部リンク>

Q.下見の際に意識して見たポイントはありますか?

私はとにかく現場を歩く派なので、2万歩くらい歩いたんです。
歩いていて気持ちいいかどうかとか、山の見え方がどうかとか、景色がどうかとか。
あと、公共交通機関がいざとなったら使えるかどうかっていうところが自分の中の大きなポイントだったので、それは気にして調べました。
路線図で見るといっぱい走っているように見えるんですけど、実際に使ってみると本数が少なくて朝と夕方しかないとか、1時間に1本あればいい方なんだなとか。
このあたりはやっぱり見ておいて良かったなと思いました。

​​Q.移住後のお仕事について教えてください。

移住した後も、リモートワークの仕事をそのまま続けてやっていました。
その会社は神奈川にいた時から合計で3年弱くらい働いていたところで、3年以内には正社員になりましょうっていう契約だったので、ちょうどその切り替えについて考える時期でもあったんです。
でも、実は以前体調を崩して仕事を休んだことがあって、移住してからも調子の悪い日があったりしたので、仕事について、このままでいいのかなと不安に思っていました。
松本に来てからいろいろな人と繋がって、休日に地域の活動とか田んぼの手伝いとかをさせてもらえる機会が増えて、体調を崩しているときでも田んぼの作業には自然と足が向いたので、やっぱり自分には自然との関わりが必要だなと感じて、仕事も自然系のものに変えようと思い、移住から1年くらい経った頃に会社を退職しました。
それから転職活動をして一度は仕事が決まったんですが、仕事内容が合わずにすぐ辞めることになってしまったので、落ち着ける職場を見つけられるまで、まだしばらく探し続けようと思っています。
あと、今年の5月くらいから山辺のぶどう園でお手伝いさせてもらうことになっているのですが、しばらく収入が不安定になってしまうので、家賃が安い家に引っ越しました。
でも山辺エリアは気に入っているので、そこは変わらずです。

​​Q.移住後のお住まいについて教えてください。

最初に住んだ家は一軒家で、築50年以上の物件だったのですごく寒くて…
人に教えてもらって防寒対策をいろいろやりました。
ホームセンターでポリカーボネートを買ってきて二重窓を作ったり、隙間をパテやテープで埋めたり…
何とか過ごせましたけど、それでもやっぱり寒かったです。
暖房器具は石油ストーブと1人用の小さいこたつを使っていました。
エアコンが冬は全然効かなかったので、脱衣所にセラミックヒーターも置いていました。
お風呂の配管が凍ってお湯が出なくて、大家さんに電話したこともあります。
引っ越した後の家も築古なのですが、日当たりは良くなって前の家より少し暖かいです。
でも引っ越して早速、配管が凍って洗濯機が使えなくなっちゃって…
もうだんだん慣れてきちゃいました。

二重窓

▲稲葉さん手作りの二重窓

​​Q.地域の方との関わりはありますか?

移住してから、本当に不思議なことがいっぱい起こるんですよね。
移住してすぐに、移住支援金について相談しに市役所の移住推進課に行ったときに、対応してくれた職員の方から"ヨクスムマツモト"(※11)という団体が主催する移住者交流会のことを教えてもらったんです。それが始まりです。
それで実際にその交流会に参加したんですね。
その交流会の中で、移住生活で季節ごとにやりたいことを書いて発表するコーナーがあって、私は「春に田植え、秋に稲刈り」って書いたんです。
そしたら、"ヨクスムマツモト"の代表の方が「入山辺(いりやまべ)地区(※12)で"田んぼのわプロジェクト"っていうのがあって、そこの方にお繋ぎしますよ」って言ってくれて、私も「お願いします」って言って繋げてもらいました。
"田んぼのわプロジェクト"は、"こんな山辺にするじゃん会"という地元の方達が立ち上げた会があって、いろいろイベントをやっているんですけど、その中の1つです。
農業体験として手で田植えをしたり、昔ながらの農機具で草取りしたり、他の地域の方も参加して交流するようなことをやられていて、私はタイミング良く4月から全部の活動に参加できたんです。
農作業のあとに毎回おこひる(農作業の休憩のときに食べる軽食)をみんなで食べるのがすごく楽しかったです。
たくさんの方と繋がりができて、イベントで出会った方の家で福神漬けの漬け方を教えてもらったり、山菜採りに行ったり、地区の文化祭のバックヤードの仕事を手伝うことになったり…良い出会いがたくさんありました。
特に"田んぼのわプロジェクト"の代表の方(以下Aさんとします)が私と年代が近いこともあって仲良くしてくださり、いろんなイベントに誘ってくれました。
その方の存在は私の中ですごく大きいです。
最初はあくまでも参加者だったんですけど、名前を覚えてもらったり、イベントのお手伝いに声をかけてくださったりして、それがすごく嬉しかったです。​

(※11 松本地域(松本・安曇野・塩尻など)への移住者たちが2017年に立ち上げ、移住支援に取り組んでいる任意団体。​)

(※12 松本駅から見て東にある、里山辺地区の更に東側に隣接する地区。松本駅から車で約20分~30分。里山辺地区との総称で「山辺(やまべ)」と呼ぶことがある。)

田んぼのわプロジェクト 田植えの様子

▲"田んぼのわプロジェクト"による農作業の様子

Q.松本での暮らしの満足度はいかがですか?

満点を超えているくらいです。
本当に嘘じゃなくて、こんなにたくさんの人と繋がれたことが不思議で、そのおかげで満足度がすごく高いです。

― 満足度の高さを表す具体的なエピソードはありますか?

神奈川県の山の方に住んでいる友達夫婦がいて、毎年臼を使って本格的な餅つきをするんですね。それに私が憧れていて、以前お邪魔したこともあるんですけど。
何年か前にその友達のお父さんから「餅つきの臼が1個余ってるけど、いる?」って言われて、そのときは平塚の実家にいたので置く場所も無いし、でも憧れはあるから、「私にいつか家族ができて、餅つきができる状態になったら欲しいです」って言ったんです。
松本に移住してきて、今の家だったら臼を置けるかもと思って、夏に実家に帰省したときにその友達に「餅つきの臼ってまだもらえたりする?」って聞いたら、なんともらえることになったんです。
それで車に臼を乗せて、神奈川から松本に持ってきたんですけど、車から降ろすときは1人だから困ってしまって…
Aさんにまず連絡して、「突然意味が分からないお願いで申し訳ないんですが、一緒に臼を運んでもらえませんか?」と言ったら、Aさんの旦那さんが、お知り合いやAさんの妹さんの旦那さん(農家の方)に声をかけてくれたんです。
いろんな展開になって最終的に、Aさんの妹さんの旦那さん(以下Hさんとします)が臼を運んでくださり、その時にいろいろ立ち話をしたことがきっかけで、その後Hさんのキャベツ畑を見せてもらったり、秋には稲刈りも手伝わせてもらって、Hさんご家族とも親交を深めていきました。
それから冬になって、年末に"田んぼのわプロジェクト"で育てたもち米を使って、なんとあの臼で、Aさん夫婦やHさんご家族を含めた山辺エリアで出会った皆さんと餅つきをすることができたんです。
この出来事は私の移住生活の集大成だと感じて、とても嬉しかったです。
臼は、引っ越した新しい家には置けるスペースが無かったので、Hさんが預かってくれることになって、その時にHさんの奥さん(Aさんの妹さん)が「来年はうちで餅つきしようね」って言ってくれて…
もうどうやってお礼をしていいか分からないくらいお世話になっていて、山辺っていう地域に本当に幸せを感じているし、恩返ししたいけど今はなかなか返せていなくて、申し訳なくなるくらいです。

臼 もちつき 餅が並ぶ食卓

▲稲葉さんが譲り受けた臼と、餅つきの様子

​​Q.不満足ポイントは何かありますか?

寒い期間が長いことと、冬の光熱費が想像以上に高いことです。
でも一番大変だったのは、福祉医療制度の引き継ぎですね。
もともと定期的に通院したり、行政の福祉制度を利用していたのですが、神奈川県と長野県では同じ名前の制度でも運用が全く違いました。
松本に移住するにあたって、神奈川県で利用していた制度をそのまま使いたくて相談したんですけど、提出する書類が違ったりして、なかなかうまくいかなかったです。
福祉関係の職員・スタッフさん達にたくさん相談して協力してもらって、最終的にはなんとか引き継ぎができたんですけど、そういうことがもっと簡単にできればいいなと思いました。​

Q.移住後に増えた支出はありますか?

在宅ワークだったこともあり、冬の光熱費は衝撃でした。
プロパンガスで、料金が1ヵ月9,000円とかになった。電気代も同じくらいでした。
灯油代と水道代も合わせたら、一番高くなった月で3万弱になっちゃって…
特に1年目の冬は節約する方法とかもまだ見つけられていなかったので、とにかく凌ぐって感じでした。
夏はエアコンつけても電気代が5,000円台だったと思うので、2倍くらい違う。
暖房器具は石油ストーブを使っているので、燃料の灯油を定期的に買いに行く作業も増えました。重いし結構大変です。
幸い神奈川に住んでいた頃から車は持っていたので、買わずに済みました。
車を買うことになっていたら、たぶん金銭的に移住できなかったと思います。

Q.​​松本のいいところ・お気に入りの場所はありますか?

松本は四季がはっきりしていて、移ろいも美しく、その時々に楽しめる自然や食べ物、行事が身近にあるところがいいと思います。
お気に入りの場所は温泉ですね。温泉が近いのはすごく嬉しいです。
白糸(しらいと)の湯(※13)が安くて近いし、枇杷(びわ)の湯(※14)と桧(ひのき)の湯(※15)も好きです。

(※13 美ヶ原温泉の唯一の日帰り入浴施設。松本駅から車で約25分。)

(※14 浅間温泉の日帰り入浴施設。松本駅から車で約20分。)

(※15 入山辺地区にある扉温泉の日帰り入浴施設。松本駅から車で約35分。)

散歩道での風景

▲稲葉さんお気に入りの風景

​​Q.これから移住される方にメッセージはありますか?

松本は自然も街もすごく素敵なんですけど、やっぱり一番は人が素敵ってことを伝えたいです。
もちろんいろんな方がいるけど、たとえば日常でふと訪れるようなお店の店員さんに優しさを感じます。
ダイソーの店員さんが優しくて、それに感動して思わず友達や家族に電話したときに伝えました(笑)
だんだんとその環境に慣れてきている自分を感じることもありますが、そういうふうに人と接することができるのはとても素晴らしいことで、自分も見習って感謝の気持ちを忘れないようにしたいな、と思っています。​

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