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移住者インタビュー(はるかさん)
はるかさん(東京都から移住/単身)
初めて旅行で松本に訪れた際、「ここでお店をやりたい」と思ったというはるかさん。
その思いを形にして、現在飲食店を営んでいます。(「移住者が営むお店MAP」にも掲載中)
お店のことから愛犬との暮らしのことまで、幅広くお話をお聞きしました。
▲(写真1枚目)はるかさんが営むお店「mealstop」
▲(写真2枚目)料理を作るはるかさん
Q. 松本に移住するまでの経緯を教えてください。
出身は神奈川県です。
高校卒業後に調理師学校に入って、卒業して東京で就職して、それからずっと東京です。
都内で10年くらい、いくつかの飲食店に勤めましたが、独立して代々木上原にある飲食店に間借りする形でお店を開きました。
松本に移住したのは2023年の4月です。
Q. 移住を考えたきっかけは何ですか?
元々東京の代々木上原で間借りを2、3年くらいやっていたんですけど、自分だけのお店が欲しくて、間借りしながら物件も探していました。でもいい物件に出会えないまま時間が経ってしまって、「もう東京じゃなくてもいいかもしれないな」って思い始めて…
ずっと代々木上原でやっていて、お客さんも付いてくれていたから、それで世田谷とか他の場所に行くのも中途半端だなって。自分の中で、「代々木上原じゃなくていいんだったら、東京じゃなくてよくない?」っていうフェーズに入っていたんですよ。
なので、漠然とした気持ちではあったけど、移住も視野に入れてどこかに旅行に行ってみようと思ったんです。
その時たまたま何かで見た移住のランキングで長野県が1位だったんですよね。ずっと都会にいて地方で暮らしたことがないから、やっぱり上位の場所の方が馴染みやすそうみたいな、移住者が多いほうがオープンなのかなと思って。
それで実際に松本に旅行に来て、「ここでお店やりたいなぁ」ってすぐ思いました。自然環境と、飲食店の雰囲気とか、全体の雰囲気がすごく良かったんです。
たまたま利用した飲食店が良かったってのももちろんあるんですけど、もっと全体的に、お店が多いとか人が出歩いているとか、それが私の抱いてた長野県とか地方のイメージと全然違っていたんです。夜になるとみんな家に帰って街は真っ暗っていうイメージを持っていたけど、実際は夜も賑わっているし、何か特定のお店がすごいというより全体的に人が多いし、みんな飲食店好きだなと思いました。「東京とあんまり変わらないな」って。
ここだったら、東京と変わらず飲食業やっていけるんじゃないかなと思いました。
▲mealstopの料理
Q. お店を始めるまでは、どのように過ごしていましたか?
自分のお店はいつかできればいいなと思って、とりあえず仕事は紹介してもらったところでお手伝いさせてもらいました。
東京の仲良い友達に「松本に移住しようと思ってるんだ」って言ったら、その友達がたまたま松本の飲食店のオーナーさんと友達で、紹介してもらいました。それでそのオーナーさんに連絡したら、「ちょうど人いないから」って雇ってもらえて。でも独立する予定だったから、パートタイムみたいな形で手伝わせてもらいました。
その後他のお店も掛け持ちして、計9ヶ月ぐらい働きながら、自分のお店のための物件も探していました。
移住する前から松本に住んでいる人を紹介してもらえたので、事前に情報収集もできて、雑談の中で松本ってこんな感じだよみたいなのを聞けたので助かりました。
Q. 物件探しはどのようにしましたか?
東京にいる間に、自宅の物件を探したんですけど、犬を飼っているのでペット可の物件じゃなきゃダメだし、そのうえ遠隔だしなかなか内見もできないし、大変でした。
基本全部ネットで、大手の不動産屋さんで探しました。
かかった期間は3ヶ月かくらいかな。10月に松本に移住するって決めて、そこから年明けくらいまで物件探して、4月に引っ越しました。
松本に来て、働きながらお店の物件を探した時も、同じように大手の不動産屋さんで探しましたね。
お店の物件は、前のお店の内装が残っていて、1回スケルトンにしなきゃいけないから、それにお金がかかってしまいました。工事は、私の父がそういう仕事をしているので、設計と施工も両方やってもらいました。
― お店を始める時は、どこかに相談しましたか?
商工会議所(※1)に相談しました。何か補助金が使えるかなと思って相談してみて、事業計画も作りました。
最終的に、松本市の空き店舗活用事業補助金(※2)を利用することができました。
(※1 事業を営む方のために相談や指導を行う民間組織です。松本商工会議所のホームページはこちら<外部リンク>)
(※2 松本市には、創業される方向けに様々な支援制度があります。詳細はこちら)
▲mealstopの店内
Q. 移住後にギャップを感じたことや、不満足ポイントはありますか?
中心市街地から自宅までだいたい6kmなんですけど、その距離感が東京で暮らしていた時と違う。
東京の人ってどこでも自転車で行くし、どこでも歩くから、「6kmなんて余裕だな」っていうテンションでいたら、松本だとすごく遠く感じました。
しかも道の状態が悪い。最初は自転車で通勤していたんですけど、道ボコボコで、3回くらいパンクしちゃいました。
あと、物価も高く感じます。野菜とか安いのかなって思っていたんですけど、高かった。東京より高いものもある。調味料系とかも東京の方が安い気がする。なので、原価的な意味でも、東京の方が安くできていたりしました。微々たるものですけどね。
出来るだけ安く抑えるために、お店で使う野菜とかは自分でスーパーや直売所(※3)で買い出ししています。手間はかかるけど、そのほうが自分の目でちゃんと見られるし、いいかなって。
(※3 松本市内にはいくつか直売所があり、市内外から多くの方が買い物に訪れます。詳細はこちら)
Q. 地域の方との関わりはありますか?
自宅は賃貸の一軒家で、町会(※4)に加入しています。不動産屋さんに、引っ越したら町会長さんと手続きするようにって紹介されました。
町会の活動は、だいたい3ヶ月に1回、公園とか側溝の掃除とかがありますけど、今のところ全部参加しています。
東京にいた時はそういうの無かったので、負担に感じることもあるけど、参加することで近所の方との関係も築けるし、街のこといろいろ教えてもらえるし、良好に過ごさせてもらっています。
(※4 松本市では「町会」と呼ばれる居住地区の区域内の世帯で構成される自治組織があります。町会ごとに特色ある活動が行われており、集会は月1回という町会もあれば、年1回という町会もあります。活動内容や頻度は、所属する町会により異なります。町会活動の詳細はこちら)
Q. 松本の好きなところ、生活の楽しみはありますか?
街に川が流れているところ。すぐそこに川があるってすごいと思う。綺麗だし、川沿いでごはんが食べられるなんていいですよね。
東京だったら、わざわざ多摩川まで行かないといけなかったりするし。
あと、人がみんな優しい。よその人に対して優しいなと思います。オープンていうか、閉鎖的じゃない。
お店に来てくれたお客さんに、「東京から来ました」って言うと、「松本に来てくれてありがとう」って言ってくれて、すごい歓迎されてるような感じがして、外から来た身としてはめちゃくちゃ有難いなって。すごい受け入れてくれてるなって思う。
地方にあんまり行ったこともないし、住んだこともなかったから、閉鎖的なところもあったりするじゃないかって思ってたけど、全然そういうのがない。
生活の楽しみは、お店が休みの日に、車で犬とアルプス公園(※5)に行くのがすごく楽しいです。
松本に来てから免許を取ったんですよ。
一番の理由は、犬を飼っているので、帰省する時とか電車に乗れないから連れて帰れるように、と思って取って、その後車も買いました。
今は通勤も車なんですけど、免許を取って車を買って本当に良かった。なんで今まで免許を取らなかったんだろうって思うくらい、めちゃくちゃ便利。行動範囲が広がったし、それだけでも移住してきた価値があると思います。
(※5 松本市蟻ケ崎にある公園。園内には博物館や小さな動物園、アルプスドリームコースターなどがあります。ホームページはこちら<外部リンク>)
― お気に入りの場所はありますか?
アルプス公園が大好きです。人が少ないし、自然いっぱいで、犬と思いっきり遊ぶのが楽しい。
東京だと例えば代々木公園とかありますけど、人は多いしゴミも多い。
アルプス公園って、こんなに緑がいっぱいで綺麗で、人も少なくていいの?みたいな。みんな知ってるかな?って思うくらい。
▲(写真1枚目)公園で気持ち良さそうに過ごすはるかさんの愛犬
▲(写真2枚目)松本に来てから購入した車
Q. これから移住する方にアドバイスはありますか?
松本はいいところだから、迷ってるなら1回住んでみたらいいと思います。
私も東京で築いてきたコミュニティがあるから、帰れる場所がなくなるわけじゃないし、みんなは今も友達だし、ただちょっと遠くに引っ越しちゃっただけで…
ただの引っ越しみたいなイメージで、1回来てもいいんじゃないかなって思います。