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議会基本条例
地方分権の時代を迎え、地方議会の果たすべき役割が増し、その機能強化が求められる中、松本市議会では、議会の活性化を図り、市民に親しみやすく開かれた市議会を実現するため、平成21年2月定例会において議員提案による「松本市議会基本条例」を全会一致で可決し、平成21年4月1日から施行しています。
「松本市議会基本条例」とは?
「市民とともに地域の主体性を高める」とする理念に則り、「市民の負託に応え、豊かなまちづくりの実現に寄与すること」を目的に「議会活動の原則」を定め、この原則に基づく取組み事項として、市民と議会の関係、行政と議会の関係、議会運営のあり方を明らかにしているものです。
また、このほかに議会の権能強化、政務活動費、議員定数・政治倫理など、議会に関する事項を総合的・体系的に定めており、議会にとって最も基本となる条例です。
ココがポイントです
議員間の自由討議
議会は「言論の場」であり、合議制機関です。現在でも、委員会では一部自由討議が行われていますが、今後、さらに積極的な「自由討議」に努めます。
市民参加の推進と議会報告会の開催
市民が議会活動に参加する機会を確保するとともに、議会活動を広報するための「議会報告会」を必要に応じて開催します。
議員の質問に対する市長等の反問権
一般質問等において、議論の争点及び論点を明らかにし、市民のみなさんにわかりやすい議論とするため、市長等が質問の趣旨、内容、背景、根拠の確認等のために反問する権利を明記しました。
議会として政策立案・提言
まちづくりの決定を担う議会として、政策立案及び提言を行ってまいります。
松本市議会基本条例
前文
地方自治の進展を図るためには、市民と自治体との信頼関係、協働の精神が不可欠である。
市民の意思を把握し、行政に反映する市議会は、市民と身近に接した市民の代表機関であり、市の意思決定機関である。
二元代表制は、市議会と市長がともに市民の信託を受け、対等な関係のもとに相互の牽制と抑制を図りながら一定の均衡を保ち、市民の福祉の増進と市勢の発展に努める制度であり、この実現のために市議会が担う役割、果たすべき使命はますます重要となっている。
松本市議会(以下「議会」という。)は、先人が築いた歴史と伝統を重く受け継ぎ、これに安住することなく不断の改革に努め、市民の代表として創意工夫を重ね、行動する議会として、市民とともに地域の主体性を高めることを決意する。
よって、ここに、住民自治を推し進め、団体自治を確立する地方自治の本旨に則り、全力をもって市民の負託に応えるため、本条例を制定する。
第1章 総則
目的
第1条 この条例は、議会に関する基本事項を定め、議会及び議員の役割、行動指針等を明らかにすることにより、市民の負託に応え、豊かな松本市の実現に寄与することを目的とする。
第2章 議会及び議員の活動原則
議会の活動原則
第2条 議会は、市民の代表機関として、次に掲げる原則に基づいて活動するものとする。
- 政策決定並びに市長その他の執行機関の事務について監視及び評価機能を果たすこと。
- 提出された議案の審議又は審査を行うほか、独自の政策の立案及び提言を行うこと。
- 市民への説明責任を果たすとともに、議会活動への市民参加を推進すること。
- 市民の意見を的確に把握し、市政及び議会活動に反映させること。
議員の活動原則
第3条 議員は、議会を構成する一員として、次に掲げる原則に基づいて活動するものとする。
- 議会が言論の場であること及び合議制機関であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。
- 日常の調査及び研修活動を通じて自らの資質の向上に努め、市民の代表者としてふさわしい活動を行うこと。
- 議会活動について、市民に対して説明責任を果たすこと。
議会改革の推進
第4条 議会は、議会の信頼性を高めるため、不断の改革に努めるものとする。
2 議会は、前項の改革に取り組むため、必要に応じて議員で構成する検討組織を設置するものとする。
会派
第5条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。
2 会派は、政策を中心とした同一の理念を有する議員で構成し、政策立案、政策決定等に関し、合意形成に努めるものとする。
第3章 市民と議会の関係
市民参加及び市民との連携
第6条 議会は、市民が議会活動に参加する機会の確保に努めなければならない。
2 議会は、議会における会議を原則公開とする。
3 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号)に規定する公聴会制度及び参考人制度を活用し、議会の審議に反映するよう努めるものとする。
4 議会は、市民に対し説明責任を果たすとともに、市民の意見を的確に把握するため、市民との意見交換の場を設けるものとする。
情報公開及び広報広聴の充実
第7条 議会は、議長が別に定める基準により、その有する情報を常時公開する。
2 議会は、インターネット、広報誌等の多様な媒体を用いて、情報を発信し、及び市民の意見の把握に努めるものとする。
3 議会は、議会の活動を広報するため、必要に応じて議会報告会を開催するものとする。
第4章 行政と議会の関係
市長等との関係
第8条 議会は、市長その他の執行機関及びその補助職員(以下「市長等」という。)と常に緊張ある関係を保持し、事務の執行の監視及び評価を行うものとする。
2 議会審議における議会と市長等との関係は、次に掲げるとおりとする。
- 本会議における議員と市長等との質疑応答は、論点及び争点を明確にして行うものとする。
- 議長から本会議及び委員会に出席を要請された市長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問に対して質問趣旨の確認等のため反問することができる。
議会審議における論点情報の形成
第9条 議会は、市長が提案する重要な政策について、議会審議における論点情報を形成し、その政策水準を高めることに資するため、市長に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。
- 政策の発生源
- 提案に至るまでの経緯
- 他の自治体の類似する政策との比較検討
- 市民参加の実施の有無とその内容
- 総合計画との整合性
- 財源措置
- 将来にわたるコスト計算
2 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、前項の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の説明を市長に求めるものとする。
3 議会は、当初予算について、予算編成の方針及び内容等について市長等から説明を受けるため、当初予算説明会を開催するものとする。
政策立案及び政策提言
第10条 議会は、条例の制定、議案の修正、決議等を通じて、政策の立案及び提言を行うものとする。
第5章 議会運営
議会運営
第11条 議会は、議員相互間の議論を尊重し、公正、公平かつ効率的な議会運営に努めなければならない。
2 議会は、議長、副議長等を選出するときは、その経過を明らかにしなければならない。
委員会
第12条 委員会は、それぞれの設置目的に応じた機能が十分発揮されるよう運営されなければならない。
2 委員会は、地域住民に関わりが深く、かつ関心の高い事案については、必要に応じて当該地域において開催することができるものとする。
3 委員会の審査に当たっては、傍聴者に審査資料を貸与するものとする。
第6章 議会の権能強化
議会の機能の強化
第13条 議会は、市政の執行に関する監視・評価機能並びに政策の立案及び提言に関する機能の強化を図るものとする。
調査機関及び検討会等の設置
第14条 議会は、市政の課題に関する調査のため必要があると認めるときは、有識者等で構成する調査機関を設置することができる。
2 議会は、市政の課題に関する調査のため必要があると認めるときは、議員で構成する検討会等を設置することができる。
研修及び調査研究
第15条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため、議員研修会等の開催に努めるものとする。
2 議員は、議会活動に資するため、積極的に研修及び調査研究に努めるものとする。
交流及び連携の推進
第16条 議会は、他の自治体の議会と政策及び議会運営等について意見交換するため、積極的に交流及び連携を図るものとする。
議会事務局の体制整備
第17条 議会は、議員の政策の形成及び立案能力の向上を図り、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査・法務機能の充実強化及び組織体制の整備を図るものとする。
第7章 政務活動費
政務活動費
第18条 松本市議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年条例第1号)の規定により政務活動費の交付を受けた会派は、政務活動費の適正な執行に努めなければならない。
2 議会は、議長が別に定める基準により、政務活動費の収支報告書を公開する。
第8章 議員定数、政治倫理
議員定数
第19条 議員定数の改正に当たっては、市政の現状と課題及び将来の予測と展望等を十分に勘案するとともに、市民の意見を聴取するものとする。
2 議員定数の基準は、人口、面積、財政力及び市の事業課題等を比較検討し、決定するものとする。
3 議員定数の条例改正議案は、市民の直接請求による場合及び市長が提出する場合を除き、検討経過等を明らかにして、委員会又は議員から提出するものとする。
政治倫理
第20条 議員は、市民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、良心と責任感を持って、議員の品位を保持し、識見を養うよう努めなければならない。
第9章 補則
他の条例との関係
第21条 この条例は、議会に関する基本的事項を定める条例であり、議会に関する他の条例等を制定し、又は改廃する場合においては、この条例との整合を図るものとする。
検討
第22条 議会は、この条例の施行後、常に市民の意見及び社会情勢の変化等を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。