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おもシロ!城郭つうしん 第14回 史跡松本城<松本城には「跡」がついていない!?>

更新日:2024年8月9日更新 印刷ページ表示

おもシロ!城郭つうしん

第14回 史跡松本城<松本城には「跡」がついていない!?>

第14回は、史跡松本城についてです。

前回は、史跡松本城整備基本計画というテーマの中で、史跡松本城についてお話をして、松本城は「国宝天守だけじゃない!」ということをアピールいたしました。今回は「史跡松本城」という名前に注目してみたいと思います。

 

史跡松本城標柱

 

実は、国の史跡に指定されているほとんどのお城には、「史跡〇〇城跡」というように「跡」がついています。調べてみたところ、現在史跡になっている「〇〇城」という名前のお城で、「跡」がついていないお城は「松本城」と「和歌山城」と「松江城」と「宇和島城」の4つだけで、それ以外の250近くのお城には「跡」がついています。(「特別史跡姫路城跡」、「史跡上田城跡」、「史跡犬山城跡」など)

たしかに、今残っているすべてのお城は作られた当時のそのままの姿ではありません。建物がなくなってしまったり、逆に新しい建物が建てられてしまったり、お堀が埋められてしまったり、土塁が削られてしまったり、市街化が進んでお城の範囲が狭くなってしまったりと…いろいろな変化が生じた結果、作られた当時に持っていた「機能」を失ってしまっています。そのため、今残っているお城の名前には「〇〇城跡」という言葉が正しいように思います。

 

では、なぜ松本城には「跡」がついていないのでしょうか?

4つのお城に共通する特徴から、何か見えてくるものがないかを調べてみました。

 

(1) 指定された時点で天守が残っている

共通する特徴として一番わかりやすいのが、指定された時点で天守が残っていることです。

しかし、「跡」がついているお城の中には、姫路城や彦根城、高知城など、指定された時点で天守が残っているお城が他にもいくつかあります。

 

(2) 史跡に指定された時期が古い(「文化財保護法」ができる前に史跡の指定を受けている)

史跡の指定は、大正8年(1919)に「史蹟名勝天然紀念物保存法」(現行の「文化財保護法」の前身の一つ)ができてから始まります。松本城は昭和5年(1930)、和歌山城は昭和6年(1931)、松江城は昭和9年(1934)、宇和島城は昭和12年(1937)に国の史跡に指定されています。このことから、昭和25年(1950)に「文化財保護法」ができるよりも前の、古い時期に史跡の指定を受けていることも共通の特徴としてあげられます。

しかし、指定された時点で天守が残っていて、「文化財保護法」ができるより前に史跡指定されたものの中で、「跡」がついているお城があと3つあります。

 

(3) 大きな変更がない(区分の変更や大規模な追加指定など)

(1)かつ(2)のお城は、松前氏城跡(福山城跡)、松本城、名古屋城、姫路城、和歌山城、松江城、宇和島城の7つになります。その中で、名古屋城と姫路城は史跡の中でも特に重要なものとして、特別史跡の指定を受けています。

特別史跡とは、「文化財保護法」ができたことで新たに設けられた区分です。名古屋城は昭和27年(1952)、姫路城は昭和31年(1956)に特別史跡に指定されます。

実はこの2つのお城、特別史跡になる前には、「跡」がついていませんでした。どうやら、特別史跡になる時に指定名称に「跡」が追加されたようです。

では、残る松前氏城跡(福山城)はどうでしょう?

松前氏城跡の現在の史跡の正式な名前は「史跡松前氏城跡 福山城跡 館城跡」と言います。松前氏が作った「福山城」と「館城」の2つのお城がセットで指定されています。

ですが、平成14年(2002)までは「福山城」のみが史跡に指定されており、指定名称は「史跡福山城」でした。「館城」を追加指定する際に、指定名称の変更が行われて「跡」が追加されたようです。

 

一覧表

 

これらのことから、史跡のお城で「文化財保護法(昭和25年)以前に史跡指定されたもののうち、指定された時点で天守が残っているもので、その後大きな変更がなく、指定名称の変更が行われなかったもの」には、「跡」がついていないということが言えそうです。

 

でも、もしかしたら、それ以外にも何か意味があるのかもしれません。例えば、「跡」がついていないから、「まだ機能している」という見方もできるのではないでしょうか?

松本城は地域の誇りとして、現代に至るまで、地域とともに歴史を歩んできています。市民の力によって守られた歴史を持ち、地域の中で今も「機能している=生きている」お城であるため、「跡」がついていない、という意味を持っているとしたら…個人的になんかいいな!と思います。

そして、名前はとても大事だと思います。私も名前を間違えて呼ばれたりすると、(その場では何も言えないことが多いですが)ムズムズとした気持ちになることがあります。

もし、松本城の史跡の名前が「史跡松本城跡」だったら、「国宝松本城」という名前にもムズムズしなかったかもしれません。でも、松本城には「史跡松本城」という、珍しくて素敵な名前がついているので、ちゃんと名前を呼んであげたいな、と思うのです…。

 

松本城

 

「史跡松本城」と「国宝松本城天守」。

どちらも素敵な文化財で、どちらも素敵な名前だと思います。(文化財課 福嶌)

 

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 おもシロ!城郭つうしん 第14回 史跡松本城 [PDFファイル/52KB]

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