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松本市美術館館長 竹内 順一

 一番心掛けるのは、「松本市美術館でなければできないこと」をすることだと思います。
 この美術館が設立されるまでに、長い経過がありました。その経過のなかで美術館建設を切望する人々のこころのなかにそれぞれの「理想の美術館像」ができていました。そのいわばこころのなかの美術館像はきっと今も生きているはずです。こうした「プレ・ヒストリー」の延長上にこの美術館があると思います。この美術館でなければできないこととは、この理想の美術館像と無縁ではないと思います。
 理想像はあくまで理想像であってどんな展覧会をするか、どんな作品を収集するかなどは決まっていません。それを具体化することがこの美術館でなければできないことだと思います。すでに7年経ち、その具体化に向けて、歩みを始めております。その延長上で仕事をしたいと思います。
 一方、現在この美術館で働いている学芸員、事務職員もそれぞれ自分の描く理想の美術館像があります。特に7年という実践の場を経て、この理想像はより具体化しているはずです。いわば「美術館の内なる理想像」もぜひ集約したいと思います。

 現在美術館は冬の時代の真只中にあります。経済環境の悪化はもとより、美術館の入館者は減少し、また若者たちが美術館に来なくなっています。こうした状況のなかで、美術館を運営していくには、かつてのように大型外国展を連続してやるというようなことはもはや不可能です。
 とはいえ、今でしかできないこともたくさんあるはずです。それをぜひ見つけ出し、館員の皆さんと協力し、やっていきたいと思います。このことも、この美術館でしかできないことに繋がると思います。

 公立美術館のキャッチフレーズで一番多いのは「開かれた美術館」です。無論このことは当たり前のことですが、キャッチフレーズを掲げただけでは、何も始まりません。自分たちがやりたいことをはっきり公言し、説明責任を果たせば自分たちのやりたいことと、「開かれた美術館」とは矛盾しないと思います。

 「プレ・ヒストリー」、「内なる理想像」、「ぜひやりたいこと」。この3つのキーワードを繋ぐことが私の仕事だと思っています。何卒よろしくお願いいたします。



施設概要・設立の経緯

建設場所 松本市中央4丁目2-22 展示部門 2,454.50m2
敷地面積 10,185.92m2 教育普及部門 1,164.50m2
建築面積 3,495.62m2 調査研究部門 382.00m2
延床面積 7,741.87m2 収蔵部門 1223.50m2
主構造

鉄筋鉄骨コンクリート造

管理用用部門 2,517.37m2
階数 3階(一部4階) 屋外展示部門 230.00m2
市民創造広場 660.00m2
駐車場 普通車82台


平成 5年 3月 美術館基本構想策定委員会を設置 
平成 6年 11月 策定委員会から「基本構想に関する提言書」を受理 
平成 8年 6月 候補地を旧警察跡地外に決定
平成 8年 11月 美術館懇談会を設置 
平成 9年 1月 懇談会から「報告書」を受理 
平成 9年 3月 「美術館基本構想」策定 
平成 9年 9月 美術館建設検討委員会を設置 
平成 10年 3月 「基本計画」策定 
平成 10年 6月 宮本忠長建築設計事務所、設計委託 
平成 10年 8月 美術館外構整備研究会を設置 
平成 10年 12月 「基本設計」完了 
平成 11年 7月 「実施設計」完了 
平成 13年 9月 建物完成予定 
平成 14年 4月 美術館竣工および開館





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